ベルソーの目指している味(音)がして…

四十七研究所オーディオシステム

47 Laboratry



セッティング中の寺村氏

お客様で来てくださったのがきっかけでした。帰りぎわに「毛穴からしみこんでくるような音を聴きにきませんか」と言われ、しばらくして寺村さんのお宅を訪ね、寺村さんの音を聴いたその日から、「ひと目惚れ」ならぬ「ひと聴き惚れ」をしてしまって、以来ずっとオーディオでお世話になっています。振り返ればもう6年、ずっと毎日、心のこもった音の中で仕事をさせてもらってて、本当にありがたいことです。

人間の手で丁寧につくられた機械からは、より人間になじむ音が引き出されるようです。


ベルソーオーディオシステム〜


スピーカー    スペンドールBCU

パワーアンプ     Model4706C

D/Aコンバーター     Model4715

CDトランスポート     Model4716MG



4706
Stereo Poweramplifier
出生


寺村氏と木村氏の出会い



製作中


アメリカのオーディオ雑誌
「stereophile」

表紙を飾りました

47Laboratory 4704 PiTracer CD transport

この雑誌の中で、四十七研究所が
とても高い評価を受けています



オーディオに対する覚悟の重さと深さがナチュラル枠の極みを製品に与えた

1996年オーディオアクセサリー(夏の号) 「裏庭の匠」 文 小林洋一氏  より







木村準二氏



四十七研究所(東京 武蔵野市)


〜強力なインパクトだった気高いもの作りの姿勢〜

 パワーアンプ4706の登場は、かなりセンセーショナルであったように思う。これが,海外からでなく、日本で生まれただけに、よけいインパクトがある。 妙な上級志向とかハイエンド志向の貧しい精神が、このアンプにはまったく感じられない。 気高い独自性が4706にはある。物を作るということは、本来、こういうことなんだろうと気づかせてくれる。  ユーザーのニーズ、なんて気持ち悪いことば遣いからは、絶対に生まれてこない物だろう。作る人、つまり木村さんの「こういうアンプを作りたい」という気持ちが生み出した製品であるからである。  今まで、数々の有名オーディオメーカーで、インダストリアルデザイナーとしての仕事をしてきた木村さんだか、1992年に独立して、四十七研究所を設立した。  長く育んできたオーディオ機器に対する理想は、やはり自らの手でしか実現できないだろうと覚悟したに違いない。  強じんな覚悟がなければまた、オーディオ製品は作れないのかもしれない。私の結論はこれだ、というものがなければ、さまざまな形で主張を持つ、オーディオ製品を使う側の力に負けてしまうはずなのが、オーディオコンポーネントだ。本当はそうなのだと思う。  このアンプの発売が先になったが、実は四十七研究所で最初に取り組み,今なお開発中の物はCDプレーヤーである。「直感ですけどね、普通のCDプレーヤーは重力に逆らっているような気がしてしょうがないんですよ。つまりね、人間でいえば、そんなにうまいもの食わなくても、薬を飲んでれば大丈夫ですよ、という感じね」。  「小さいマブチ、モーターの上にディスクを乗せて500回転で回ってるんだから、あの振動はすごいわけ。たかだか2mmのシャフトでグルングルン回してるのね。回転体としてはまともじゃないよ。でもレンズで追いかけてるから、データはちゃんと出てくる」。

〜CDの可能性を探るためトランスポートを製作〜

 本来、インダストリアルデザイナーである木村さんの直感は、まずあのメカニズムに対する不信感なのだ。  「このトランスボートをいろいろやり始めてから6年目になるかな。CDの音はだめって皆言うけど、じゃあ誰かとことんやって、ここまでやったけど、やっぱり悪いと、こりゃあ諦めるしかない。というんだったらぼくもそう思うけど、誰もまだそこまでやってないわけじゃない。そうでしょう」。 「だから、無謀にも、じゃあオレがやろうか、と始めたの」。  プレーヤーを、ブラックボックスにしてまったのだから,おもしろ味は失われる。誰もがそう思っているけど、デジタル機器はそういうものだという納得もあっただろう。  しかし他でもない回転体である。メカニズムである。デザイナーの直感の方が絶対に正しい。  「とにかくサーボをかけまくってるから音は当然悪くなる。こういう矛盾で成り立ってる製品なのね」「これで、いじれるCDプレーヤーがあったら、CDに対する評価はだいぶ変わってくると思う。作る側の責任としては、もう少しおもしろいものを提供しないといけないよ。愛着が湧かないもの」。  アンプ4706のことよりも、話はもっぱらCDプレーヤーだ。部屋の中に置かれ、4706と共にシステムとして使われている最終案に近いプレーヤーは,見るからにメカニズムそのものである。  過去の仕事の中では、トーンアームのデザインが一番好きだったそうだ。「アームはね、外装部品でまとめてしまうことができないでしょう。外からかぶせてハイおしまい、というわけにはいけない」からだ。  CDプレーヤーみたいに、メカで成り立っているものは、いくらでもやりようがあると言う。トーンアームのおもしろさに通じるものを見つけ出しているのかもしれない。  開発という、もっともらしいがいかがわしくもある言葉が、木村さんの場合は似合わない。子供のように夢中で遊んでいるといったらいいだろう。製品として現れてくる姿に卑しさが微量もない。4706で、それはすでに証明されている。近いうちに発表されるだろうCDプレーヤーは、だから、ものすごく楽しみである。  洗練を極めて、シンプルに子供の心のように自由な木村さんのオーディオ観は、オーディオケーブルにも及ぶ。  モデル4708OTA−kitにこそ自由な精神が反映されているのではないだろうか。ピンケーブル2組、デジタルケーブル2組、スピーカーケーブルが作れるキットなのだか、まず驚くのが、0.4mmの単線ということ。樹脂削り出し2ピース構造のRCAピンプラグ、こんなことを、あっけらかんとやってしまう。  オーディオ製品を作るための覚悟の重さと潔さが、すべてに渡って感じられる。常識に流されずに作る姿は、おそらく、この人の生き方そのものに違いない。ナチュラル枠とでも言おうか。心は洗われる。