
奈良 唐招提寺
左上 東山魁夷さん障壁画「濤声」
左下 同 障壁画「山雲」
右下 国宝「鑑真和上坐像」


奈良唐招提寺「御影堂」は、毎年6月の5〜7日の3日間だけ一般公開されます。「御影堂」は、唐招提寺の森の奥に建てられ、国宝「鑑真和上坐像」が安置されています。そして、その鑑真和尚の偉業をたたえるかのように、また安らかな眠りを祈るかのように、故東山魁夷さんの障壁画で静かに彩られています。
以前から東山魁夷さんの絵が観てみたくて、特にこの唐招提寺の障壁画については、何年も前に見たテレビの特集の場面が、すっと頭に焼きついていたもので、本当に目の前に障壁画が現れたときには、思わず「うわぁ〜…」と声をあげてしまったし、しばらく後頭部がゾクゾク震えっぱなしでした。でも、さらに感じたその絵の素晴らしさは、その絵が「絵」を主張していない…ということでした。
鑑真和上が拝観できるその宸殿の間の障壁画は、襖一面に描かれた海の絵で、本当に力の入ったものです。でも不思議と心が静かになっていきます。そして、しばらくすると鑑真和上に対する東山魁夷さんの純粋なお気持ち、祈りのようなものが迫って参ります。聞こえてくる波の音とともに、はるか昔に海を渡って日本にきてくださった鑑真和上坐像に対して、宗教の象徴としてではなく、本当に手を合わせたくなって「ありがとうございました」と言っていました。宗教心を持ち合わせていない私のようなものまで無意識にそうしてしまったのにも、おそらく東山さんの絵の力が関係しているのでしょう。絵を通してですが、東山魁夷さんが大好きになってしまいました。来年もまた、6月は奈良に行きます。幸せな一日でした。
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