10式戦車
<ひとまるしきせんしゃ>
SD



 戦車は一度作ってみたいと思っていたんだけど、まともなスケールモデルのキットはあまり作る気にならず、サイズといい着手ハードルの低さといいこれが最適だった。会社の女の子が、「興味はあるけど塗装がなあ・・・」と言っていたのもちょっと手に取ってみたくなった理由の一つ。
 個人的にも、”迷彩塗装”と”履帯塗装”は一度やってみたかった。
 普段作るガンプラだと、色分けは基本的にパーツごとで、迷彩塗装のような色の分割はない。
 履帯は、真面目に汚すとどんな感じなのか、そもそも使用感のある履帯というのは何色なのか、いずれ手を出してみようとは思っていたので、今回作ってみた。想像上の産物である「ガンダム」を中心に作る事はこの先も変わりないと思うが、SDとはいえ、実在するものの感じを掴んでおくのはプラスになるはず。
 今回は塗装と、店頭で見かけた「ウェザリングペースト」がどんな物なのか試してみる事以外はそのまま組んでみるつもりで製作開始。
 

 ウェザリングペーストすげー。
 油絵具みたいに、盛り付けて泥土の汚れを表現できる。昔だと、溶いたパテを筆でポンポン叩くようにして塗装してたのかなあ。恐ろしく便利な物が出てきたな。
 組立は、砲塔、本体共に2パーツを嵌め合わせるだけ。履帯は一体成型。そこに転輪やら駆動輪やらを取り付ける。
 履帯を取り付けた後で側面装甲を取り付ける都合で、履帯のウェザリングに先行着手したんだけど、ここでウェザリングペーストすげー、てなった。
 全体のバランスを見る事なくいきなりウェザリングという作業順が正しいとは思ってないけど、完成後は大半が見えなくなる部分なので失敗した所で特に問題はない。結果は見ての通り、初めてでも簡単。ウェザリングペーストの蓋を開け、筆の自重で付着する量でポンポンと履帯を叩くだけ。食いつきがかなりいいんで。つけ過ぎは禁物。少量ずつで様子を見ながら。
 参考資料に、イスラエル軍主力戦車「メルカバ」の写真集を買ってきたのだが、やはりというか、履帯はほぼ100%土の色だった。全体にまんべんなくペーストを盛った後は、履帯後端駆動輪付近の側面装甲には駆動輪が跳ね上げた泥汚れをポンポン。雰囲気は悪くないと思う。
 ウェザリングペースト、単調にならないようにダークブラウンとライトブラウンの二種を買ってきたんだが、どちらか一種だけでも良かったかも。上から塗装で泥を着色しても良かったか。なにせ一つ500円オーバーの高級ペーストなんで。色々買うと出費がな・・・。
 

 迷彩塗装については、塗装図を見ながらシャーペンで色の境界をパーツに書き込み筆で塗るという手順で。
 塗装図は前後左右と天面が掲載されていたのだが、どうも天面図と側面図で色の境界が繋がらない所があるような?会社の女の子には「一発塗りでいけるのでは」と言われたんだけど、ここは書き込んで確認してから塗装した方が良さそう。
 それと、塗装図を見てからインターネットで10式戦車の画像をいくつか見たのだが、どうも塗装境界が図と実車で違うようだ。時期によるのか、配備先によるのか。ここはあまり拘らず、アレンジしても面白そう。
 着手前は、「一色目塗ったら上からマスキングしてそれから二色目塗ろうか。でもどうやったらうまく迷彩塗装の縁にマスキングできるかな?」とかずっと考えてたんだけど、結局のところ二色共フリーハンドで問題なく塗装できた。そんなに難しくもなかった。少々は塗料の乗っていない部分があっても、ウェザリングで隠せると考えていたので気楽に作業できた。実際、隠せたし?迷彩塗装、結構面白かったぞ。
 ちなみに墨入れはブラウンで。全体に泥土汚れの感じを出したかったので当初からそうするつもりだった。
 細かい部品としては、フロント左右のライトのみと言っていいくらい。鬱陶しいのは、砲塔後部の荷物置きバスケット。
 板一枚一枚を嵌め込んで組み立てる上に迷彩塗装あり。写ってないけど、バスケット中央に針金みたいな細さの支柱が一本あって、案の定折れた(笑)
 ここは手持ちの真鍮線を瞬間接着剤固定で置き換え。ダボ穴を少し広げてから組み立てる、とかした方が良かったのかも。
 

 シールは、車体前部の桜マークと前後下部の所属番号、左右のV字マーク(Vの向きで中隊を識別してるんだったか?)、砲塔左右の部隊マークと砲身の夜戦用白線で全部。左右均等な位置に貼付するのは、そこまで難しくはなかった。
 ただ、シールの余白が比較的大きく、細かく区切られた装甲パネル内に貼ろうとすると少し縁がはみ出しそうな気がするサイズだった。ガンプラ同様、できるだけ余白を切り取ってから貼付したので個人的には問題はなかった。多分錯覚だろうけど、心なしかシールの厚みもガンプラより少し厚いような気がした。粘着力には問題なし。
 そうやって貼り付けたシールなのだが、何となくガンプラの物よりテカリがあるようだった。表面が滑らか?つや消しクリアーを薄く5回くらい吹いてから見たら、さすがに周囲と馴染んでいた。白いマークが多く、余白カットする時に見づらくて正面の桜マークの一部に目立つ余白部分があったのだが、上からウェザリングペーストで叩いたら何ともなくなった。便利だわこれ・・・。塗料だったらシールの縁に浸透して目立ってしまうもんな。
 

 ほぼそのまんま組んだだけなんだけど、主砲身が正面から見ると塞がっているのがわかってしまう状態だったので、ピンバイスで開口した。そして砲身基部にある覗き窓。これが単に凹みを付けてあるだけだったので、手持ちの輪型のディティールアップパーツを使って、それっぽくしてみた。中は黒塗りなんでパッと見それらしければ大丈夫。まあSDだしな。
 友人に画像を見せた所、車体に比べて砲塔の汚しが少なく感じると言われた。感覚的には同程度にスミ入れ、ドライブラシをかけたつもり。しばらく話してみて、砲塔は明色のサンドブラウン部分が多いので、汚しが目立たないのだろう、と。多分その通りだと思う。
 他の戦車キットを知らないので、このキットのみでの感想だが。
 初めて作る戦車模型にちょうどいいんじゃないかな。色々勉強になるし、少々の失敗はウェザリングでカバーできるから悪い仕上がりにもなりにくいし。割とお勧めかも。
 ちなみに車体前後に貼付した所属ナンバー?のシールと砲塔左右のマークなんかは、実車と整合しているかは不明。この辺はガンプラモデラーのいい加減さが出てるな(笑)
 
●架空設定みたいな。
 10式戦車
 架空設定特になし。
●塗装メモ
 緑→ RLM82ライトグリーン(ラッカー・122)
 茶→ サンディブラウン(ラッカー・19)
 履帯→ ダークアイアン(ラッカー・MC214)
 泥除け→ タイヤブラック(ラッカー・137)
 ライト→ シルバー(ラッカー・8)、上塗:クリヤーオレンジ(エナメル・X-26)
 
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