「鬼の話と同和問題」                     

これは以前に私がある機関誌に掲載した記事の焼き直しである。
●鬼とはだれか 

 
賤民とは
最近になって、部落史の見直しが行われています。それに伴い従来から言われていた被差別部落の「近世政治起源説」は影を薄くしていっています。

「八瀬童子」のこと
昭和天皇の葬儀の時はテレビで大々的に放映していたが、その時のことを覚えている方はいるだろうか。天皇の柩を担いでいたいた人はなんと呼ばれていたかを。彼らは「八瀬童子」と呼ばれていたのです。童子とはすなわち「鬼」のことです。酒呑童子(大江山)、や茨木童子(羅城門)は有名ですね。滋賀県の伊吹山にも「伊吹童子」という鬼がいたことが史書には残されています。八瀬童子のことをもちろんテレビでは鬼の子孫なんて言ってませんが、知ってる人は知っているのです。八瀬童子と天皇家との結びつきは、遡ること南北朝時代に後醍醐天皇が吉野に移り住む時に輿を担いだことが縁であると言われています。八瀬童子が表の歴史に姿を現した瞬間を感激して見ていたことがいまでも思い出されます。

 「もののけ姫」の住人
宮崎駿の「もののけ姫」をご覧になった方も多いとおもうが、ハンセンシ病の人やタタラの人をどのようにご覧になったでしょうか。また蝦夷の若者も登場しますが、彼らは都や里の者からみれば異邦人でありました。彼らは独自に里から離れアジールを形成して生活していました。そして外からのサムライ等の外敵からの進入には一致して守ろうとしています。彼らも「鬼」と言われていたことを知っておいてください。もののけ姫とはそういう意味が含まれているものすごい物語なんです。

「宗像教授伝奇考」を読む
星野之宣氏が書いているマンガ本であるが、大変興味深いことが多く示されていて参考になります。「瀬ぶり(セブリ)物語」という映画がありましたが、そのなかに出てくる「サンカ」という人々の生活は、大変にカルチャーショックを受けたものです。なぜなら彼らは明治時代まで山に住み、化外の民といわれた人々だったからです。彼らの歴史考証の参考とするべきものが、マンガではありますが「宗像教授伝奇考」なのです。それを読むと日本民族って何なんだろうということになります。


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