第5章 環境問題と修理
5-1 | 地球環境の悪化 |
大量生産、大量消費、大量廃棄の言葉で表される、快適な生活の追及が地球環境の悪化を招いている。必要なものを長く使用するライフスタイルが、環境負荷を低減させることができるが、このためには、保守と修理が重要になる。
CO2「二酸化炭素」を増加させないと言われているバイオエネルギーの使用は、バイオ燃料を生産する作物を栽培するために熱帯雨林が切り開かれ、そこに閉じ込められいた炭酸ガスやメタンガスを大量に放出させいる。先進国でのバイオエネルギーの使用によるCO2削減が、熱帯地方での温室効果ガスの増加を引き起こしており、地球全体でみれば大幅に温室効果ガスを増加させている。
省エネ製品への買い替えを促しているが、使用時の消費エネルギーが少なくても生産時に大量のエネルギーを消費しており、現行品を寿命まで使用したほうが省エネになる場合が多い。また、省エネ製品であっても大型製品に買い換えた場合には使用エネルギーが増加する場合があり、環境負荷を増加させる。
製品の環境への影響評価は、その製品の生産・使用・廃棄の全過程を考慮(LCA:ライフサイクルアセスメント)しなければならない。
5-2 | 地球温暖化 |
化石燃料などを大量使用することで、CO2などの温室効果ガスが増加し、地球全体の気温が上昇し、この100年で0.4〜0.8℃しました。このままだと温暖化は加速し、100年後にはさらに1.4〜5.8℃高くなると予測されています。
氷河が溶けたりして、海面上昇が起こり、低地が水没する。
異常気象がおこり、集中豪雨や干ばつによる被害が増加する。
世界の穀倉地帯の気候変動が農業生産に影響し、食料危機になる。
熱帯の伝染病が温帯地域に拡大したり、生物種の絶滅が起こる。
温暖化の原因は、
温室効果ガスの増加が原因で、CO2の増大が最大の要因である。
下図右は、温室効果ガスの地球温暖化への寄与度を示している。
IPCC:気候変動に関する政府間パネル (Intergovernmental Panel on Climate
Change)
5-3 | その他の環境問題 |
オゾン層破壊 化学物質の使用は、環境ホルモンの問題や、オゾン層破壊による健康被害をもたらしている。
酸性雨 化石燃料の大量消費は、大気汚染や、光化学スモックの原因、酸性雨、温室効果ガス増大の原因となっている。
海洋汚染 家庭排水、工業排水が河川の水質を悪化させ海洋汚染の原因となっている。
熱帯雨林の減少 木材需要のための伐採や、食料増産のための耕地拡大、バイオエネルギー生産のための作物栽培地の拡大のために、大規模に熱帯雨林が破壊されている。熱帯雨林の破壊は、CO2を封じ込めていた土壌を乾燥させ、大量の温室効果ガス(メタンガス)を放出させている。
砂漠化 気候変動や過放牧は砂漠化を進め、食料危機の要因にもなっている。
野生生物の減少 気候変動、熱帯雨林の減少、砂漠化や水質汚染、海洋汚染は、生物の生息域を奪い、絶滅種を増大させている。生物多様性の崩壊は、生命の環境順応性の崩壊につながり、人類の生存にも影響する。
5-4 | 地球に優しい生活と修理 |
大量生産、大量消費、使い捨て、の生活スタイルからの決別が必要です。
商品購入の基準は、生産から消費・使用・廃棄までのライフサイクル全体をみて比較する(LCA)ことが重要です。 使用時のエネルギー消費量のみで判断できません。保全、修理も考慮する必要があります。
循環型の社会へ (4Rの推進)
第1に、(発生抑制:Reduce)
不要なものは買わないことです。
第2は、(再使用:Reuse)
中古品の流通
リターナブル容器
第3は、(再生利用:Recycle)
元の形に戻せるのが原則です。
再生可能な資源を原料にした製品を、廃棄後に元の自然に戻すことが重要です。
第4は、(修理:Repair)
修理により物の寿命を延ばし、買い替え需要を少なくして発生抑制につながる。物を最大限に活かす習慣が身に付き、活用法を考え廃棄物を減らすことができる。
修理(Repair)を行うことにより、エネルギーの使用を少なくできる。
5-5 | 破損と寿命 |
壊れるとは、その物が持っている機能が十分に働かなくことである。
壊れる原因は、故意、過失による破壊のほかに、自然劣化による崩壊がある。
物の寿命は、壊れる事とは別である。壊れても修理をすれば使える。
物は壊れなくても、寿命がくる。
陳腐化による保守不能
効率低下による非効率
能力不足による機種変更
保守費増大による不経済
など
寿命が来なくても、捨てられている。
不要なものを買ってしまったので、邪魔になった。。
新型が欲しくなって、買い換えた。
他人が持っていた。デザインが気に入った。新物食い。なんとなく。
定期的に買い換える様にしている。
予算が余った。予算化されていたので、買い換えた。
システムが変わったので買い換えた。不要なシステム変更
リユースできる物が、リサイクルに回ったり、捨てられている
リユースのシステムが中古車市場を除いて、充実していない。
リサイクル法がリユースを妨げている場合もある。