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第3章 診療事例
| 3−06 | ギヤ割れ(ピニオンギヤ) |
| プラレールなど動力伝達にギヤを使ったおもちゃで、 モーターが回っているのに動かない、負荷を掛けると止まるなどの原因の多くはギヤの割れである。 参考:ベルトドライブの場合は、ベルト切れとベルト外れが多い。 ギヤ割れの原因:多くは、ギヤを軸に圧入した時の歪によると考えられる。過重による破損、歪と過重の複合しての破損、経年劣化もある。 修理方法:新たなギヤとの交換が一番よい。 交換用のギヤがない場合の補修方法: 1. 分解して割れたギヤを取り出す、ギヤ軸共に汚れをとる。 2. ギヤを外した状態で、割れ部分が開かないように針金を巻いてで固定する(写真1)。割れ部分が開いているとその部分のピッチが大きくなり回転がスムースに行かなくなるので、ピッチが均等になっているか注意する。 3. ギヤの軸穴をやすりで少し拡げて(写真2)、軸にゆるく入るようにする。(圧入による変形を防止する。) 4. 2液式ボンドで軸とギヤを接着、半日以上まってから針金を外す。 4’. 即日返却の場合は、瞬間接着剤を使用するが、大きくな力が加わるギヤの場合は入院とするほうがよい。 5. はみだした接着剤を処理してから、組み立てる。 ポイント: ギヤ穴と軸の間にボンドが薄く入るようにする。ギヤ穴、軸共に汚れのない荒面がよい。完全に固まるまで動かさない。 接着後はギヤの位置を変えられないので、固定位置の確認は分解前に行っておく。 金属ガラス用2液式ボンドがよい結果を得られた。 他の補修方法:(以前行っていた方法) ギヤを加工して針金で縛るタガによる方法は、圧入時に変形が起こりやすく、接着を併用する方法も含めて現在は行っていない。 |
![]() 写真1 ![]() 写真2 |