集う  
集う

集う。

私にとってあまり得意なことではない。

なぜかというと、私が興味を示すものはすべて一人で楽しむことだった。

家にこもって一人で何かコツコツと作っていた。

目覚まし時計をいくつ壊したことか。

蓄音機も壊してしまった。

小学校の高学年になると電気に興味を持ちだし、電磁石やブザー、モーターなどを缶詰の空き缶とニクロム線でたくさん作った。

そのうちにラジオに興味を持ちラジオ少年として育っていった。

まったく一人プレーだった。

だんだんと人間嫌いにもなっていく。

「集う」こととは縁遠くなり、サークルや祭りなどは特に避けていた。

でも高校になりアマチュア無線を始めたころからは、その人たちの集まるミーティングは楽しく、いつも出席していた。

それから屋根の上に無線のアンテナ、といってもビニール線が1本張られているだけでも無線をやっている私にはアンテナだと分かる。

そんなお宅を見かけると「無線をやっておられる方いらっしゃいますか」と突然の訪問をしたことも幾度かあった。

こんな形で知り合った友と50年もお付き合いしている。

集いが苦手な私にとって不思議なことである。

パソコンも20年余り続いているが、これも自分だけの世界だった。

しかし近年はインターネットとなった。

メールは知り合いだけの世界だけど、掲示板を立ち上げることで未知の友がどんどんと増えてくる。

さらに趣味を同じくする仲間が集まると、ネット上だけに留まらず岐阜や広島から申し合わせてわが家に遊びに来てくれる。

実に楽しい集いのひとときだ。

集うことから逃れていた私にも、集いはあった。

(2004.6.28)