●タニコメ旅日記●
世界最高峰ヒマラヤの大地を歩く 11月13日(8日目)

〔ネパールを離れる日〕
** エベレスト遊覧飛行
  カトマンズ滞在中には遂に一度も山らしい山を見ることはなかった。それの埋め合わせという訳ではないけれど、オプションで一人160US$を払って“世界の屋根のテッペン”であるエベレストを上空から眺める遊覧飛行が計画されていた。
 11日にポカラからの遊覧飛行でアンナプルナ山群を見た時には、離陸したのが既に10:20分になっていて私達の「ヒマラヤを見る法則」から外れていたことで雲が出て今一であったから、今回は早朝の飛行を望んでいた。
 6:30分空港着、待つほどもなく搭乗、ここまでは順調だ。天気も上々。Buddha Air 104C便は7:35分カトマンズを飛びたった。視界は最高!。
 山,山、々、ランタン山群からエベレスト山群へ・・・ランタンリルンが!チョーォユーが!次々と現れ、やがてエベレストが!・・ヌプツエを従えて・・右側にはローツエも現れた!・・・・。
 『エベレスト サイコ―!!』と私が叫ぶ。
 『エベレスト サイコ―!!』とパイロットも叫ぶ。
ヒマラヤ
憧れのエヴェレスト(8848m)右、ローツェ(8516m)左、ヌプツェ(7885m)

 大騒ぎの一時間足らずだったが、最高峰8848mのエベレストの雄大さは違う。ロッキーも雄大だったけれど、見えるのは肉眼の範囲だ。今飛行機という手段を使って眺めた“世界の屋根のテッペン”は、やはり違いが判る凄い迫力だった。山は、そこにあるだけで、常に表情を変えて私達に感動を与えてくれる。

** 帰国の途に
   上空からエベレストを見て、ネパールでの全てのスケジュールを終わった私達は、暫くホテルで休んだ後いよいよ帰国の途に着くべくトリブヴァン国際空港に向かった。バンコクまでは14:05発 タイ航空 320便。

* 大トラブル
 出国手続き時、私と明子のパスポートにだけ「ビザ―入国査証」が貼り付けられていない事が判明して足止めされてしまったのだ。ネパールへ入国時、何故か私達夫婦の分だけが抜かっていた。添乗の松田氏が係官に説明してくれるのだが、『手続きを済ませて許可証が出ているなら入国時に払った30ドルの領収書を見せろ』との話。
 私達は今まで7〜8回の海外旅行経験だが、ビザが必要な国へは行っていなかった。今回が始めての経験だったから、入国時に査証をパスポートに貼り付けてもらうというような仕組みは勿論知らなかった。従って私は、入国してしまえば領収書をはじめ,幾つかの書類も全て不要のものと考えていた。
 昨夜帰国に備えてスーツケースのパッキングをしていた明子にも、『そんなもの捨ててしまえ』と言ったのだった。それでも、念のためと思って取っておいた明子だったが・・・。今は手許には無い、スーツケースの中だ。
 これは大変だ!。スーツケースは空港に着いて直ぐに「荷物預け」の手続きを済ませたから大分時間が経っている、受け取り場所は関空だ。参った!これが取り戻せる所になければどうなるんだ!。
 松田氏が交渉してくれて走って行った一階の荷物発送場では、私達のスーツケースはすでにコンテナーに詰め込まれて搬送車に乗っていた。どう話をつけたのか判らないが松田氏の交渉で、折角詰め込んだコンテナーから苦労をして私達のスーツケースを取り出してくれた。
 まさに“間一髪”で私達は助かったのだった!。
 こうして探し当てた領収書を持って最初の検査官の所へ。しかし、ここから先も事はテキパキとは進まなかった。ビスターレ ビスタ―レ。
 一式揃えられた書類は、担当官から順次エライさんに廻され、ようやく査証を貼りつけてもらい、最後に担当事務官と『サンキュー』と言って握手するまでには小一時間かかった。この間、同行の人達には待合室でジッと待って戴いたのだ。
 相手国側のミスとは言うものの、私達の無知も重なってのトラブルであり誠に申し訳なく平謝りに謝ったのだった。搭乗まで割合時間があったので、乗り遅れるとか焦るとか、実質的な損害はなかったのだが、私達にとって初めての“危うい経験”であった。松田さんには大変ご苦労とご迷惑をかけてしまって申し訳ありませんでした。本当に有難うございました。

  * 順調なフライトでバンコクまで
 やっと一安心。TG―320便は14:20駐機場から滑走路へ向かって動き始めたところだ。気になっていた下痢もようやく幾分良くなって来たようだったが,機内での昼食はご飯をほんの少し食べるだけにして警戒した。食後には最後のビオフェルミン止しゃ薬を呑んだ。
 順調なフライトで、夕焼け時のバンコク国際空港に着陸したのはネパール時間17:32分だった、ここで1時間15分の時差を調整して18:47分に時計を合わせた。

*大活躍の“明子サン”
 ネパールからの機内にいる時からしきりに『バンコクに着いたらお土産を買おう』と言っていた明子サンであった。
 行き掛けにも品定めをしていたが、随分と悩んだ末の買い物をし、手持ちのUS$は早くも使い果たして、尚且つ足が出る結果になり遂にカードでの買い物となったのでした。
 この旅行中での“めいこサン”の行動では最も真剣かつ頑張った一時であったような気がする。トランジットの長い待ち時間にも少しは慣れた。
 TG−320がバンコクについた18:47から関空便TG−622の出発23:00まで約4時間ある。買い物の後はC1―Aのソファーでゆっくりしよう。今回は不思議とあまり退屈を感じない。

* 関空へ、そして我が家へ
 TG−622便は現地時間23:00,オンタイムに始動を始めた、関空までの所要時間は5HRとアナウンスされている。現地時間0:00頃ワインを戴いたが、間もなく軽い夜食が出る筈だ。0:01に時計を進めて日本時間の2:01にセットして、最早日本気分だ。
 眠い!ウツラ ウツラしながらワインを戴いている、食事が済めば寝るつもりだけれど、果たして眠れるかしら・・・と気になる。
   熟睡とまでは行かなかったが、夜食後は直ぐ眠りについて気がついた時には朝のドリンクが配られていた。早や関空着陸まで30分あまりのところまで来ていた。
 AM6:20分頃TG−622機は早朝の関空に無事着陸した。スーツケースのハンドルが無くなるという事故があり、松田氏の指図で修理手続きをしてもらったりして多少時間をとったが、7:20発のリムジンに間に合い、愛しの“こゆき”が待つ光風台の我が家へ帰ったのは9時過ぎであった。

* ありがとう
 はじめて見る雄大なヒマラヤに感動し、モルゲンロートの荘厳さに言葉を失い呆然と立ち尽くした朝があった。この瞬間、誰もが同じ方向を向いて、他では決して出会えない場面を脳裏に焼き付けたのでした。使った全ての時間がこの場面に遭遇するためにあった。  そんな気がする旅でした。ありがとう。
 案内してくれた松田氏、ガイドをしてくれたクリシュナー氏、本当にお世話になりました。ありがとうございました。
 今回の旅の仲間の未来に幸多からんことを祈念しながらこの稿を終えよう。

 2007,11、29(木)
 庭の満天星(どうだんツツジ―昨年はじめて知った呼び方)が鮮やかに紅葉した日に。
                             幸一

(おわり)

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