●タニコメ旅日記● |
谷 幸一 ― 雄大な眺めに惹かれて − ロックは岩、ロッキーは岩だらけの風景だ、勿論犬の名前などでは無い。ロッキー山脈は北米大陸のやや西側寄り(太平洋側)を、背骨のように南北に貫く大山脈だ、その内カナダ領内の部分がカナディアンロッキーと言われている。KANADIAN ROCKY。(ROCKIES)。ごつごつした岩山や氷雪を戴いて白銀に輝く嶺峰が延々と続き、広大な氷河から流れ出る水を湛えた氷河湖は針葉樹の深い森に囲まれてエメラルド色を呈して、観る人を魅了すると言われる。私には、何よりもその圧倒的なスケールの大きさが魅力だ。 これが、ガイドブックや写真を見ながら私がイメージした、まだ見ぬカナディアンロッキーのデッサンだった。だから今度の旅ではこのデッサンとは違うのか、或いは『そんな想像なんて目じゃ無い』と、遥かに上回るスケールをもった、“ド迫力”で迫ってくるのかを確かめてみたいものと期待を持って出掛けたのだった。 ロッキー山中での足掛け8日間のうち、6日間は連日ひたすら歩き、登り、降り、自分の足でどこまでロッキーの魅力に肉薄出来るのかが楽しみであった。時には苦しい時間帯もあったが、それ故に一層、圧倒的なスケールで迫って来る嶺峰や氷河を目の当たりにした時には、その驚きや感動はその場に立った者にしか味わえない呆然とする思いであった。出掛ける前の、僅かな資料から描いたデッサンなんかは吹き飛んでしまって、改めて我が心に、その雄大さを、迫力を定着させたのであった。明子さんも又、思い掛けない程沢山の高山の花々に驚喜しカメラを構えて走り回ったのでありました、思えば海外でこんなに沢山の花に出会えたのは今回が一番だ、歩くのに頃良い時期と花の季節とは必ずしも合わないのだが、今回こそは両方を満喫し、この人も又、満たされた旅をしたのでありました。 ― それにしてもよく歩いた − バンクーバーに到着した7月6日中に、そのままプリンスジョージまで飛び、更に4時間バスに揺られてロッキー山脈の奥深く入り込んで以後、6日間連日10km前後を歩いたのだから総歩行距離は60〜70kmにはなったであろう。到達した最高高度は2466mのザ・ウイスラーのピーク迄であったが、殆どのトレイルは2000m前後の標高であったから、これも得難い経験であった。 ― ロッキー山脈には行ったが、カナダは見られませんでした。― ブリティッシュ コロンビア州(BC州)とアルバータ州にかけてロッキー山脈には四つの山岳国立公園があるが、こういった公園には『トレイル』と呼ばれるハイキングコースが数知れずあるそうだ。数時間で折り返せる短いコースから、2〜3日かけてテントを担いで歩く数10kmのコースや、噂程度にしか知らないが、数ヶ月かけてやり遂げる超ロングなコースもあるやに聞く、高度差も大変なものなんだろう。嘗て体験したニュージーランドでは『トラック』と呼んでいた。私達は、沢山のトレイルの中から選ばれた六つのトレイルを歩いた。カナディアン ロッキーの最高峰マウント ロブソン(3954m)の麓、キニーレイク迄のコースを皮切りに、氷河ハイウエイ(ICEFIELDS PARKWAY)と呼ばれるR−93と大陸横断道路R−1をジャスパーからバンフまで約290kmをバスで南下しながら、その周辺で選ばれたトレイルを帰国の途に発つ前日迄連日歩いたのでした。 この間は常にロッキー山中に在り、滞在した唯一の町と言えば通りの長さが2kmばかりの山中のリゾートタウンであるバンフのみであった。日本の26倍もある広大なカナダの国土の中で、ロッキー山中を北から南へ僅か300km足らず移動しただけだから、ほんの『点』だけ、しかも山の中だけを訪れたトレッキング旅行でしたが、それが目的なんだから皆充分に満足したし、私達にとってはそれがカナダそのものであった。今回のトレッキング旅行も又、「朝日サンツアー」が企画した、『カナディアン・ロッキー4大国立公園ハイキング9日間』であった。参加人数は8組の夫婦を含む男女各11名、計22名と添乗員一名の合計23名であった。 添乗員は気配りの人、活発で、なかなか美形の“池田 妙 (たえ)”さんであった。 最後の最後まで、スーツケースの破損があったりして大変にご面倒かけてしまいましたが、旅の楽しさもコンダクターの対応によって左右されます、楽しい旅を本当に有難うございました。
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