●タニコメ旅日記●
カナディアンロッキー トレッキング紀行  7月6日(初日)

 ―出発、大阪の梅雨空を逃れて―
  集合が13:50という事だから、予め空港で昼食をとっておかねばならないと思って少し早目に家を出たが、蛍ヶ池からのバスは予定より一台早いのに乗れたので、空港では大分時間が余った。曇り空ながら薄日がさして先ず先ずの天気だが、今日も大阪は蒸し暑い。  暇つぶしに通貨交換、本日のレートは112,50/C$、取り敢えず3万円出したら29250円分で260C$くれた、こういう時には最近の円安はこたえる。やがてガイドをしてくれる“池田 妙”さんともご対面、明るそうな人で良かったなあーと、二人でヒソヒソ言いつつ荷物も揃って出発ゲートへ。
 エアーカナダでは、エコノミークラスの事をホスピタリテイ―クラスと呼ぶんだそうな。そんなら、ビジネスクラスは何て呼ぶのかなあ、なんて話したり、AC機の赤いメイプルリーフをバックに写真をとったりしているが、これも単なる退屈しのぎだ。  本当は今が一番嬉しい時なんだが・・・。
locky
エアーカナダに乗って、さあ出発

  15:50エアーカナダ AC−036便は、鬱陶しい大阪の梅雨空を逃れるように関空を離陸、一路バンクーバーに向かって飛び立った。一時間ほどした頃、ようやくドリンク。私はビール、「パシフィック ドライ」なる、余り美味しくないビールだった、プリンスジョージの北太平洋醸造製と書いてあった。取り敢えず何でも良いのだ、早く飲んで早く食って、眠りに着きたいのだ、何せ時差で17時間も後戻りするのだから、私達には今夜は短いのを気にしながら。
 ビールを終えて暫くすると夕食。サーモンorチキン?、私はチキン、明子はサーモン。何も知らないで頼んだ結果論だけど、「チキン」の方はライス&ブレッド、サーモンの方はパスタ&ブレッド。私は、パスタでなくて良かった!。カレー味のチキン&ライス、野菜サラダ、アイスクリーム、パンは日本製だったから、口当たりも良く美味かった。結構ハラが減っていたので結局パンも食べた。
        夕食時のドリンクは、私はウイスキーの水割り、銘柄はJ&Bだった。明子は赤ワイン。窓の外は夕焼け、間もなく日が暮れそうだ、只今18:50、ハラも良くなったし、そろそろ眠ろう。只今日本時間12:00、現地時間では多分朝の8時ごろだろう。  大分前から外はガンガンに明るくなっている。とにかく眠ろうと思って、その姿勢をとっていたのだが、何せ日本ではまだ 夜の7時か8時ごろだったから、眠れる訳がない。
 何だか鬱陶しい感じのままカナダの朝を迎えたようだ。朝食が配られはじめた、後一時間半ばかりでバンクーバーに着く見込みだ。  

―カナダの第一日目も又7月6日(木)だ―
 9:23バンクーバー到着。バゲージを受け取り、今度は国内線でプリンス ジョージ迄約1時間のフライトだ。  パスポートや入国申告書のチェック回数がやたら多い、いちいち面倒臭いが自分達の安全確保でもあるのだから仕方ないか!。 

― 話題のボンバルデイアに乗った!−
 11:25発 バンクーバー⇒プリンス ジョージ AC−8205便は大分遅れて12時頃になったが、この辺の国内線ではドエライ事でもないようだ。使用機は4列シート×12で48人乗りのBOMBARDIER CRJ−100。日本では最近『足が出なかった』とか『何やらが折れていた』とか、とかく事故が多く話題のボンバルデイアだが、カナダの小型機メーカーらしいから使うのは当然だろうな!。
13:10プリンス ジョージ到着、原っぱのような地方空港だった。それでもプリンス ジョージはBC州の中心都市という話であったが・・・。

― シェリー (SHERRY WALKEY)−
此処で、大柄だが顔は小さい、サービス精神旺盛なオシャレな女性『シェリ―』が運転する大型バスに乗り換えて、いよいよ大陸を走る旅に出た、ロッキ―山脈に向かうのだ「!」。シェリーのバスにはこの後も全ての行程で世話になり、帰国の時のカルガリ―空港まで毎日彼女が運転してくれたのだった。マナーも良くなかなか見事な運転で、私にはとても真似は出来ないなと思った。この後は毎朝バスで出発する時の「朝の挨拶」は必ずこんな風で恒例になっていた、日本人を相手にする事が多いのだろう。私達日本人客:Good Morning SHERRY !!
シェリー: オハヨオ ゴザイマス!!。

―いきなりロッキー山中へ、マウント・ロブソン(3954m)の麓へ―
シェリーのバスは最初の二日間の基地となるマウント・ロブソン山麓に向かって約4時間の旅に出た。薄曇りの空、外気はやや冷んやりだがバスの中は暑いくらいだ。走っている道はR−16、制限速度は100kmの標識だが、その後狭い所では70や60kmまであった。
カナダの車は「右側通行」。これって、どっちが走行車線でどっちが追い越し車線!?ちょっととまどう。殆どの車はライトを点灯して走っていると思ったら、昼間もドンヨリする日が多い季節で、昼間の点灯も法律で決まっているのだそうだ。まだこの辺りは平地だが、両側に見える林の、松のような木に“枯れ色”が多いように見受けられた、後日現地ガイドに聞けば、カナダでも松食い虫の被害が多発しているのだと言っていた。
 林を構成する樹木では「シラカバ」の仲間らしい幹の白い木が目立っていた、やがて道端に「やなぎラン」のピンク色の花が目立ってきてバスの中も大分賑やかになってきた。
“ドコマーデモー ユコオー 道ハー トオ―クテモ―”こんな感じのドライブだ。
 道はいくらか起伏しながら、真っ直ぐに延びている。シェリーは、トイレ休憩のための「トイレ」を探すのに苦労している、当てにしていたトイレにはさっき寄ったが、水が出なくて使えなかった。Mc Bride(マクブライド)という小さな街でようやく買い物を兼ねたトイレ休憩、いや逆かな!?。

―カナダの消費税は外税、州によって税制も変わる―
         BC州    アルバータ州  
  国税     7%      7%
  州税     6%      0
 旅行中この税金が意外と大きく作用する事を実感した。

―今夜の宿マウント・ロブソン・ランチ―
17:30頃マウント・ロブソン・ランチに着いた、人里離れた一軒宿という風情だ。ここはロッキー山脈の最高峰マウント・ロブソン(3954m)を眺める絶好のロケーションなのだという事だが、今はガスに隠れてそのピークは見えない。この山小屋は、オープン後85年になり今は“ロッキー庄司”さんという日本人が家族五人で経営しているのだという事であった。
 この方もかつてはカナダで永らくガイドをやっていたのだそうだ。山深いロッキーの山中で、森林を切り開いた広大な敷地には今は使われていないが、馬小屋や倉庫のような建物が散在し、「ビーバーポンド」と名付けた広い池まであった。現在使われているのは、自宅や事務所みたいな建物と、営業用としてダイニングルーム以外に、コテージが8棟あるとの説明。
locky
私たちの泊まったビッグホーン・コテージ

   夫々のコテージには二つのベッドルームと、台所やリビングとバス・トイレが(一部はシャワーのみ)があり一棟を二組の夫婦で使用した。私達のコテージは“ビッグホ―ン”。富田さんご夫妻と一緒になり、早や一組の方とお近づきになれた。

― はちどり −
 ダイニングルームの軒先に奇妙な“ぶんぶん”みたいなものが飛んでいる。ハチドリだそうな。軒先にぶら下げた給水器に寄ってきている、この中には砂糖水が入っているらしい。
 高速度に羽を動かして、ヘリコプターみたいに空中で静止出来るのが特徴らしいが(ホバリング)、確かにそんな動作が見られる  翌朝私達のコテージにもやってきていた、大きい昆虫と見間違う位の小さいヤツだが、これでもレッキとした『鳥』だそうで、メキシコまで800kmの旅をする渡り鳥だとの話であった。
 私はTVコマーシャルでしか見た事はなかったが、ホバリングしながら花の蜜を吸うための長いクチバシを持った親指ほどの可愛いヤツであった。 locky
親指ほどのハチドリ

 

― ランプの灯りで歓談もまた楽しからずや −
夕食はダイニングで皆そろって。私達はビールで乾杯。パンをくり抜いた中のスープ。サーモンのソテー。ライス。アイスクリーム。コーヒー。質素だが、私達には充分なおもてなしであった。
 丁度食事を終わった頃に停電、庄司オーナーの経験では4ヶ月も復旧しなかった事もあるとの話だ。今日のは、夕方からカミナリがあっただけだから長期では無いと思われるが・・と、ランプの明かりの下でコーヒーを飲みながら暫し歓談。  
 只今8:45、外はまだ充分に明るく、今は雨降りだというのに部屋のなかでは窓の明かりを頼りにして読み書きができる。 明子さんはテラスでスケッチに余念がないが、強烈な“蚊”に襲われながら、よくやるよ!。思えば今日は不思議な日だ、 昨日から今日にかけて“今日”なのだ。
 9時間30分のフライトでバンクーバーに着き、乗り継ぎの1時間余りのフライトでプリンス ジョージに着いた。そこからは、何等時間を余す事なく大型バスに4時間揺られてマウント・ロブソンランチに着いたのだが、これだけ沢山の時間を使ったのに、まだ7月6日の17:30分なのだ。
 事実は、昨日大阪を発つ時は7月6日(木)であったが、時差17時間の関係でこちらではまだ、今日が7月6日(木)となり、何だか一日得したような気分だ、勿論帰る日にはこの借りを返すのだから損得は無いのだが、妙な気分のまま一日を楽しんだ。 locky
ロブソンランチから見るMtロブソン(3954m)

   
全く『わき目もふらずに』という感じで、早くもロッキー山脈の奥深く、しかも山脈の中で最高峰のマウント・ロブソンの麓まで入り込んだのだ。白雪に輝くMtロブソンは、今はガスに巻かれて頂上は見えないが、見えている限りの山は『岩』と『雪』の山で、まさにロッキー山脈を代表する山の感を強くし、明日からの展開が楽しみになってきた。明日からは、いよいよトレッキングの毎日が待っている。明子さんは、“ロッキーさん”が点けてくれたランプを頼りに結構遅くまでスケッチしていたようだが、私は早くに眠ってしまった。夢うつつに、夜中は強い雨が降り続いていた。

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