常識と思っている事の「ウソ」
アルカリ食品で体をアルカリ性に!
人間は酸素を吸って生きています。酸素による酸化反応でエネルギーを造り
活動しています。
しかし、アルカリ性食品で体内がよりアルカリ性になるようなことは絶対ありません。
つまり、何をしても体内の ph は、ほぼ変化しないということです。
そこで酸化すると人間は酸性に傾くだろうからアルカリ性食品を体に入れて
元に戻すと非常に安直に考え、この様な広告等を作ったのでしょう。
食べ物で ph (酸性、アルカリ性を示す単位、 ph 7が中性)は変わらないのです。
人間には体内の ph を一定に保つ酸塩基平衡と呼ばれる機能があり、
ph を7.4±0.05つまり±0.5ではなくさらに一桁低い±0.05と非常に狭い範囲に
とどめるようになっています。
この範囲( ph =7.4±0.05)を逸脱すると病気と言うことになります。
まあ、体内は ph 7.4ですから弱アルカリであることは間違いありませんが、
食品で体内の ph が変化するように考えるのは間違いです。
食べ物で体内の ph が変化するのであれば、人類は病気になり、地球上から
すでにいなくなっているはずです。
常識と思っている事の「ウソ」
アレルギーは突然起きるのではなく次第に出る?
病院でアレルギー(鼻炎、結膜炎、皮膚炎、ジンマシンなど)と言われ、
「今までアレルギーはありません」と反論される方がおられます。
アレルギーは体質であり、体質が変わることはありません。また、アレルギーは
原因となる物(アレルゲン)との接触があって初めて出現します。
アレルギーは子どもの頃に発症しそれが慢性化していると考え、ある日突然出てくる
ものではないと考えているようです。
ですから、アレルギー体質でもアレルゲンとの接触がなければ一生アレルギーが
出ないこともあります。
逆にアレルゲンと接触すれば、その時、突然に症状が出ます。
現実にはアレルゲンに対する感受性が関係し、感受性が高ければ最初の接触で
アレルギー症状が出ますが、低ければ何度かの接触の後に出現することもあります。
常識と思っている事の「ウソ」
皮膚のかゆみは皮膚の汚れから!
年配の方で、かゆいのは皮膚の汚れらかと考えてか、お風呂でかゆい所をゴシゴシ
こする方がおられます。
一般に皮膚のかゆみの主因は、皮膚の乾燥にあります。
ですから、ゴシゴシ皮膚をこすると皮脂も取れ皮膚も荒れてしまいさらに乾燥しやすく
なります。
できれば、タオルなども使わずに手でやさしく洗う程度で十分汚れは落ちますし、
適度に皮脂が残りますし皮膚も荒れません。
風呂上がりに保湿効果があるクリームなどを使用するとさらによいでしょう。
体に湿疹が出来て、「内臓の病気からですか」と尋ねる患者さんをよく見かけますが、
一般的に内臓の病気で湿疹が出来ることはありません。
テレビなどの影響で情報過多となり、なんでも内臓が原因であるように考えられる方が
増えています。
かゆみは内臓特に肝臓に障害があると出現することは有名ですが、この際に湿疹は
見られません。
また、肝臓に障害があるとジンマシンが出やすくなりますが、これも湿疹と異なりしばらくすると消えてしまします。
中耳炎とは耳の奥にある鼓膜の向こう側の部分(中耳)で起きる炎症です。
耳の入り口から鼓膜までを外耳と呼び、この部分は皆さんが耳掻きをするところで、
ご存知のように皮膚で出来ています。
耳に水が入ると、外耳の皮膚に水がついた状態となります。
ところが、耳に水が入ると中耳炎になると考えて、無理に水を取ろうとして外耳にキズを
入れてしまい、外耳道炎を引き起こすことが多いようです。
ところで中耳炎は、どのようにして起きるかと言うと、鼻の奥に中耳と通じている耳管と
呼ばれる管があり、鼻から細菌などがこの管を通じて内耳に入ることでおきます。
体の皮膚に水がついても、水は自然に乾燥し皮膚に炎症を起こさないように、
外耳の皮膚に水がついてもそのうち水は蒸発乾燥し炎症は起きません。
つまり、「耳に入った水を取ろうとして外耳炎おこす」ということです。
特に子どもはこの耳管が短いので、細菌が中耳に入りやすいのです。
大人でも鼻をかみすぎると耳管を通じて細菌が中耳に入ります。
ですから、耳に入った水が原因で中耳炎になるのではなく、鼻の病気や鼻のかみすぎでおきます。
常識と思っている事の「ウソ」
魚の骨は喉に刺さった時、御飯を丸呑みする!
これは強ち誤りとはいえません。骨がアジなどの青物で魚が小さい場合は、
一度試してみる価値はありますが、タイなどのように硬い骨の時はしないでください。
のどに続く食道はスルメのように縦に裂けやすくなっています。
直接喉を見て取れそうだったら一度取るように試みてください。
ここにタイなどの硬い骨が無理をして通ると、場合によっては食道が裂けて
心臓・大血管・気管支・神経が通っている縦隔と言われる部分に炎症をおこすことが
あります。
この場合は胸とお腹を開ける大手術が必要となることがありますし、放置しておくと
死亡することもあります。
何度もやりすぎると骨を深く刺すことになりますので、適当にあきらめて病院へ
行きましょう。
また、見えない場合は病院へ直行してください。
常識と思っている事の「ウソ」
骨折じゃなくてヒビでよかった!
骨折の一つ前の段階としてよくヒビがあると考えている方が多いとおもいます。
医学的にはレントゲンで骨にヒビが入っていますよって、診断は骨折です。
つまり、ヒビと骨折は同じことです。
時々、骨折の中でも、玉ねぎの皮をむいた様なハクリ骨折をヒビと表現される先生もおられますが、
当然これも骨折です。
「頭をケガした時、出血すると大丈夫で、出血しない内出血は危ない」
とおっしゃる方がおられます。
特に、吐き気と頭痛が広がったり強くなったら、頭の中のキズが疑われますので必ず病院へ行ってください。
おそらく内出血を頭蓋内出血(脳出血など)と考えられてのことでしょうが、
頭の表面のキズからの出血の有無は脳の状態とまったく無関係です。
脳は頭蓋骨というヘルメットを被っています。
頭の皮膚はヘルメットに被せた布にあたります。
つまり、工事現場など事故でヘルメットを覆う布が破れているから大丈夫、
破れてなかったからあぶないなどと言わず、すぐに救急車を要請するように、
頭をケガした時は出来るだけ病院で診てもらってください。
我々は、指の脱臼の際には指を引っ張って、元に戻しますが、
これを見ていた方が、物知り顔で「突き指の時は指を引っ張る」
と言ったのかもしれません。
ですから引っ張ると切れ掛かった靭帯が切れてしまったり、骨折した部分の
ずれが起き、病状が悪化してしまいます。
または突いたのだから元の位置に戻そうと考えられたのかもしれません。
突き指は、指を突くことにより関節が過剰に曲げられることで起こります。
そこで、関節部で骨と骨を繋いでいる靭帯とこの靭帯がくっついている骨の
部分に無理がかかり靭帯が伸びたり、きれたり、また骨が欠けたり(骨折)
するのです。
突き指をした時は、動かさずに冷やして様子をみてください。
腫れや痛みが強い時は病院で検査をしてもらってください。
どうしてこの様なことがいわれているのか、由来は分かりませんが、これはまったく無効です。
鼻血がでたら鼻の孔に詰め物をして鼻の柔らかい(軟骨部)を両側からつまんでください。
さらに、鼻を冷やしてあげればよいでしょう。
姿勢としては寝転んで高枕がよいでしょう。上を向くと鼻血の血液が喉に落ちて気分が悪くなる方が
おられます。鼻血には時々医療機関でもてこずるものがあります。
鼻血と馬鹿にしないで、止まらない場合は耳鼻咽喉科で診察を受けてください。
転んだりして、手をついたときなどに「動くから骨折はしてない」と無責任に言う方がいます。
骨折しても多くの場合、骨折部より先の部分は痛みを伴いますが動きます。
我々は、動かない時は、神経にキズがあるのではと考えます。
神経のキズが骨折によることもあれば、打撲によることもあります。
打撲した場合、動く動かないに関わらず痛みが強い場合は病院で検査を受けてください。
大工さんからよく聞く話です。おそらくは、キズを叩くことにより出血させそれで中に入った細菌を
外に出すためだと考えられます。
釘を踏んだ場合に一番恐いのは、空気が嫌いで土の中に棲んでいる破傷風菌がキズに入ることです。
釘を刺したキズは小さく、また表面の皮膚がふさがりやすいため中に細菌が残りやすいのです。
ハンマーで叩き出血させる程度ではキズの中に入った細菌は外に出ませんし、
皮膚の下の柔らかい脂肪などが壊れて細菌の餌になったり、細菌をさらに押し込むことになり
かねません。
そこで我々は、十字切開といってキズを中心に十字架状にメスで切れ目を入れキズを大きくします。
これにより細菌が外に出やすくなることと、キズの中に空気が入って空気が嫌いな破傷風菌が増えるのを抑えることが出来ます。
常識と思っている事の「ウソ」
蜂(虫)に刺されたらアンモニア!
試験管内の実験ではアンモニアで昆虫毒を中和することもあります。
ところが、アンモニアは皮膚に染み込んで昆虫毒がある皮膚の下に達することはありません。
しかし、実際の虫刺傷は、昆虫の針によって皮膚の下に毒が打ち込まれています。
そこで、皮膚の下までアンモニアが染み込む必要があります。
また、アンモニアの濃度が高いとかえって塩酸や硫酸で有名な化学物質によるやけどを起こして
しまします。
蜂に刺された時は、刺された部分のことよりもむしろアレルギーによるアナフィラキシーといわれる
全身症状(時に死亡者が出る)に注意が必要です。
全身性のじんましん・吐き気・全身倦怠などが診られたらすぐに病院で処置をしてもらってください。
「やけどをしたら、アロエをつける」と言う言葉をよく聞きますし、実際、やけどをしてキズ口に
アロエをつけてこられる患者さんを見かけます。
これはアロエの水分による冷却効果と保湿効果に期待したものでしょうが、その程度の冷却や
保湿は流水で充分で、これに勝る処置はありません。
また、アロエでやけどが治ったといわれる方もおられますが、おそらく軽症のやけどで何もしなくても
治ったものと考えられます。
時々、アロエでカブレを起こすこともあり、また、薬草全般にいえることですが、
土の中に棲んでいる破傷風菌をキズ口に入れることとなりかねないので、
薬草類のキズ口への使用は避けてください。
キズから出血するのは、当然のことですが、人間の体には出血を止める機能があるのでことさらに
出血を止める必要はありません。
出血を止めるために何か(軟膏・薬草など)を塗ったり、まして、縛ったりしないでください。
出血を止める手助けとしては、キズを3分間圧迫してあげるだけで充分です。
これで、止まらない出血は病院で処置してもらってください。
縛ると出血は止まりますが、縛った所から先に血液が流れなくなり、指が腐ることもあります。
キズは消毒するに越したことはありませんが、水道水で異物(砂・泥など)を洗い流すだけでも充分です。
また、みなさんが消毒と言えば思い付くオキシドールは、正常な細胞も細菌と一緒に破壊することがあり、
出来れば最初の消毒としての使用は避けてください。
過ぎたるはおよばざるが如しで、色が着く消毒薬や、粉末の消毒薬は、キズの状態を隠し判断ミスの
原因となります。
どうしても消毒をと考えられるのであれば、一般に市販されている透明な消毒薬(マ○ロ○)が
よいと思います。
ともかく、気になるキズは何もしないで病院で処置してもらってください。