おもちゃドクター入門講座 導入偏
第6章 電池と電源

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6−1 電池の種類
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おもちゃによく使われる電池
電圧注意
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化学電池
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一次電池
  充電できない。破損する場合がある。
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マンガン乾電池
1.5V かっこ記号 単1型から単5型がよく使われる。
積層型の006P 9V も使う。
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アルカリ乾電池
1.5V
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ニッケル系一次電池
1.5V注意 (オキシライド乾電池)
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リチウム一次電池
CR 3.0V かっこ記号 ボタン電池
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アルカリボタン電池
LR 1.5V
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酸化銀電池
SR 1.55V
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空気亜鉛電池
PR 1.4V
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二次電池
  充電は、専用の充電器で行う。
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ニッカド電池
1.2V かっこ記号 小型二次電池
(充電式電池)
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ニッケル水素電池
1.2V
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リチウムイオン電池
(ポリマー電池含む)
3.6V
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小型シール鉛蓄電池
2V
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鉛蓄電池
2V
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燃料電池
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物理電池
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太陽電池

注意 オキシライド電池は公証電圧1.5Vですが、初期電圧が1.7Vと高いため一部の機器で適切な動作をしない場合があり、電球用に使うと電球の寿命を縮める。
     
(2009年生産販売中止)
使用電池に指定がある場合を除いて、おもちゃには安全なマンガン電池を使用するのがよい。
  アルカリ電池は、液漏れの場合に化学やけどをする恐れがある。過充電・逆向き充電に注意。
  リチウム一次電池は、ボタン電池の他に円筒形もあるが共に電圧が3.0Vあり注意が必要である、おもちゃにはほとんど使用されていない。

  充電式のニッケル水素電池には、安全性を高めたホビー用も販売されている。

6−2 電池の正しい使い方

(1) 機器に乾電池を入れたまま放置しないでください。
(2) 一つの機器には同じ種類の電池を使用してください。
(3) 電池の取り替えは一度に全部替えてください。
(4) 機器または説明書により指定された電池の種類や本数を使用してください。
(5) 電池を機器に逆(プラス、マイナス)に入れないでください。
   (数個を直列使用する機器で1個だけ逆に入れてしまい、その電池が使用中に充電され重大事故(破損・やけど)を起こした事例があります。)
(6) 乾電池にハンダ付け、分解したり、加熱したり、火の中に入れたりしないこと。
(7) ショート(短絡)させないこと。
(8) 充電式でない電池は充電しないこと。アルカリ電池は充電式電池では有りません。
(9) エボルタ電池は、一部のおもちゃで不具合が生じる場合があります。 電池を出しにくい、動作しない等

6−3 電池の事故

(1) 電池の液漏れ事故
 おもちゃの電池が液漏れし、幼児が化学やけど
 アルカリ電池は充電されると構造上、安全弁が作動し液が流出するようになっており、液漏れの原因は「回路不良」により一部の電池が充電されたと思われる。 回路不良の原因については、おもちゃ内部の回路接点同士がハンダによりショートしたことによる。
 使用済み電池の放置(過放電)でも、液漏れを起こします。また、電池の誤使用による事故も少なくないことから、電池の商品特性に関する知識の習得も大切です。

(2) ボタン電池の危険性
(1)ボタン電池の種類
ボタン電池と呼ばれる電池には、形状によりコイン形とボタン形があります。コイン形の多くは、ボタン形に比べると厚さが薄く、直径が2cm 前後と大きく、硬貨によく似た形状をしています。
また、電池の中でもリチウム電池は、放電電圧が高く(3V)、電池を使い切るまで一定の電圧を保持する特性があります。
いずれも子ども用の玩具だけでなく、時計やタイマー、LEDライト、体温計、家電製品のリモコン、電卓など日常生活で子どもが簡単に手にできる様々な製品に幅広く使われています。

(2)誤飲事故の症状
電池を飲み込んだ際に、消化管に接触した電池から電流が流れると、電気分解により電池の外側にアルカリ性の液体が作られ、短時間で消化管の壁に損傷が起こります。そのため早く取り出さないと、消化管に潰瘍ができたり穴が開くなどのおそれがあリます。特に、コイン形のリチウム電池は、平たく幅が広く、食道等に停滞しやすいだけでなく、電池を使い切るまで他の電池より高い電圧をそのまま保持する特性があるため、誤飲した時の危険性はより高くなります。
また、胃内では、胃液で電池の金属皮膜の腐食が起こります。電池の中身(電解液)自体にアルカリ性液を使っているアルカリ電池などでは、アルカリ性の液体が流出して消化管の壁を損傷するおそれも指摘されています。

(3)消費者庁に寄せられた事故情報
医療機関ネットワークには、子どもがボタン電池を誤飲したという報告が平成22 年12 月から平成26 年3月31 日時点までの間に51 件、誤飲の疑いの報告も含めると93 件寄せられました。年齢別では、3歳以下が91 件(約
98%)と大半を占めており、中でも1歳児の誤飲が54 件(約58%)と最も多くなっています。
被害程度は、中等症が約2割で、軽症が約8割ですが、2カ月の入院を要する重大事故も起こっています。
右図  ボタン電池誤飲年齢⇒
国民生活センター HPより抜粋

6−4 電池事故の防止

(1) 電池は幼児・子供などの手の届かない場所に保菅してください。
   ボタン電池は飲み込みやすいので、特に注意が必要です。
(2) 使用済みの電池は、速やかに所定の方法に従って廃棄してください。
(3) 液漏れの電池を扱う時はビニール手袋をして液が付かない様にしてください。
(4) 乾電池(アルカリ電池含む)は充電しないでください、液漏れの原因になります。
   アルカリ電池用充電器が市販されていますが、絶対に使用しないでください。
   アルカリ電池の液は触るとひどい科学やけど負い、目に入ると失明の恐れもあります。

ボタン電池を使用した商品に注意
乳幼児の誤飲による事故がおきています。
子どもを対象にした玩具では、一般社団法人日本玩具協会の玩具安全基準「ST基準」で、「ボタン電池の蓋は、工具等を使用しないと容易に開かない構造でなければならない。」などの記載があり、STマークのある玩具については一定の安全性が担保されています。一方、それ以外の商品については、JIS C8513:2010「リチウム一次電池の安全性」において、「リチウム一次電池の電池室は子供が簡単に電池を取り出せない構造にすることを推奨しているほか、一般社団法人電池工業会が安全確保のための機器設計に関するお願いとして、幼児が簡単に電池室のふたを開けることができない構造を求めていますが、参考扱いであり規格基準ではありません。
家庭内ではおもちゃのほかに、リモコン、キッチンタイマー、体温計など様々な商品にボタン電池が使用されています。これらの商品内のボタン電池や、買い置きや廃棄まえの電池単体での誤飲事故も起きています。
国民生活センター HPより抜粋

6−5 救急処置

(1) 電解液が漏れて、なめた場合、水道水等のきれいな水でうがいを充分してください。
(2) 目に入った場合、きれいな水で充分洗った後、直ちに医師の治療を受けてください。
(3) 万一電池を、飲み込んだ場合、飲み込んだと疑われる場合には、直ちに病院に行ってください。短時間で重症になる場合があります。

6−6 電池の良否判断

 乾電池(1次電池)には「使用推奨期限」が電池本体(側面・底面)又は梱包の部分に表示されていますが、使用中の電池の性能を保証する期限ではありません。使用した電池は期限内でも液漏れを起こす恐れがあります。使用後すぐに電池を取り出すようにしてください。良否は下記でチェックするか、実際に使用して判断してください。
 充電式電池(2次電池)には、使用推奨期限はありません。説明書にしたがって取り扱ってください。

 「使用推奨期限」の表示は月2桁−西暦年号(2010年2月の場合、02-2010)です。(劣化の少ない一部の電池は「製造年月」で表示したものがあります。)
 JISでは「使用推奨期限」を「その期間内に使用を開始すれば電池は正常に作動し、JISに規定する持続時間等の性能を満足する期間」と定めています。「使用推奨期限」は、保管状態の電池を常温で保存できる期限で、期間内に使用を開始すればよく、期限が過ぎれば使用できないという意味でもありませんが、なるべく使用推奨期限内に使用を終えるようにしてください。

(1) 市販の電池チェッカー(100円ショップで売っている)
(2) 豆電球を利用した手作りチェッカー
(3) テスターで計る場合は要注意(無負荷状態では高めにでる)。電池テストレンジを使用する。
   テスターの電流レンジを使用するのは、ショートさせると同義。行わないように。

6−7
アダプター

(1) 専用のアダプターと汎用アダプターがある。
(2) 専用品以外を使用する場合は、
   入力電圧・出力電圧が使用条件に合っている
   定格出力電流が負荷電流より大きい
   プラグの形状・大きさ・+−の極性が合う必要がある。
(3) 使用しない場合は、コンセントから外しておく、使用しない場合でも電気を消費している
(4) アダプターの種類
   AC-ACアダプター AC負荷に使用
   AC-DCアダプター アダプターといえば、このタイプ。家庭用電源で使用する。
   DC-DCアダプター カーアダプターに使用。12V乗用車用と24V大型車用がある。

6−8
電池の廃棄方法

(1) 使いきりタイプの乾電池(マンガン乾電池・アルカリ乾電池・オキシライド乾電池・リチウム一次電池)は、もともと有害ゴミではありません。使えなくなったら電極にセロファンテープを貼って(ショートすると危険なため)、燃えないゴミとして捨ててください。ただし、市町村により捨て方のルールが異なる場合がございますのでその指示にしたがってください。
(2) ボタン形電池(アルカリボタン電池、酸化銀電池、空気亜鉛電池・等)は、回収しております。電池販売店に「ボタン電池回収箱」を置いてありますので、その箱に入れてください。
(3) 小型二次電池(充電式電池)(ニカド電池・ニッケル水素蓄電池・リチュームイオン電池・等)はリサイクル法で指定されている回収する電池です。収集専用袋などに入れて、リサイクル協力店(電気店など)に設置されている「充電式電池リサイクルBOX」に入れてください。リサイクルマークが付いています。 
(4) 自動車用バッテリー(鉛蓄電池)は、回収・リサイクルしています。「リサイクル協力店ステッカー」の貼ってあるカー用品のお店やカーバッテリーショップ、ガソリンスタンドに持っていってください。

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編集 津おもちゃ診療所