おもちゃドクター スキルUP講座
教  養  編
第2章  知っておきたい部品の特性

目次へ 第3章へ 

2−1 極性のある電気・電子部品

 2端子部品で極性のある部品は、接続を間違えると動作がおかしくなるだけでなく、破損などの重大事故につながるので十分注意する必要がある。(3端子以上の部品は各端子に特有の働きがあるので仕様を確認して使用する。)

電池:電池は極性だけでなく、出力電圧も色々あるので指定品を使用し向きに十分注意すること。DCモーター
初級編P-4「電池と電源」参照

モーター:おもちゃに使用されているモーターは、ほとんど外磁に永久磁石を使用
した3極ローターの直流モーターである。電源の「プラス」と「マイナス」を入れ替えると逆転する特徴がある。

各種ダイオード
記号 カソード     アノード


ダイオード
:順方向電流を利用した整流用や検波用のダイオードや、逆方向の耐圧電流を利用した
ツェナーダイオードなどあるがいずれの場合でも接続方向が重要である。
 帯状の印が付いているリード線側がカソード側を示す。
写真の一番上と二番目のものは電流の整流用途のものです。
上が6Aの電流が流せるもの、その下が1Aの電流が流せるものです。
三番目の赤っぽいものは、ON/OFFの切り替えが高速に行える、スイッチング用です。
一番下のものはツェナーダイオードで6Vのものです。


発光ダイオード[LED]
:順方向(アノードに+、カソードに−)電圧を加えるLED(発光ダイオード)
と点灯するが逆方向では灯しない。(LEDを2個以上組み合わせて色々な動作をさせているものもある)
光ダイオードの極性の確認方法は新品の場合にはリード線の長い方がアノード側、短い方がカソード側になります。

    
電解コンデンサー:極性と耐圧が表示されている。大容量コンデンサーである。
マイナス側の電極を示す表示があります。(写真左の2個)
タンタルコンデンサーも極性がある。(写真右)リード線のプラス側を示す記号がコンデンサ自体に記されています。

電解コンデンサ タンタルコンデンサ
 その他のコンデンサーはほとんどが無極性である。

フォトトランジスター:通常トランジスターは3端子素子であるが、フォトトランジスターは1端子
が入力光となっているために外見上は2端子であり極性がある。

スピーカー:おもちゃのスピーカーはほとんどダイナミックスピーカーで極性に関係なく使用できる
が、多くの場合信号だけでなく直流分が流れる回路となっているため、コーンが一方向に引っ張られる。このため、音が小さい場合接続を逆にすると大きくなる場合がある。
(2個以上使用している場合は音の干渉を考え極性を合わせる必要がある。)

そのた:+−の極性表示がある部品はその指示によること。

リード線の色:通常マイナス側(接地側)が黒色、プラス側(電圧側)が赤色や青色である。
「注意:家庭の100/200V屋内配線の色は接地側が白色で、電圧側が黒色・赤色であり、黒色(赤色)の線に触ると感電する。」

2−2 トランジスターの極性

 トランジスターは半導体の組み合わせにより大きくPNPタイプとNPNタイプがある。
また、トランジスターは用途と上記のタイプにより以下のような名称が付けられる。
2SAXXX  PNPタイプの高周波用トランジスターの記号
2SBXXX  PNPタイプの低周波用
2SCXXX  NPNタイプの高周波用
2SDXXX  NPNタイプの低周波用
小型のトランジスターでは、2Sを省略して表示する場合が多い。
 トランジスターの種類によってリード線の内容が違うので、マニュアルなどで確認する必要がある。
2SC1815の場合(写真左)
 品名が印刷されている平らな面を手前にして、トランジスタの外観2 トランジスタの外観1
 左よりエミッタ コレクタ ベース
 で、ECB(エクボ)と覚える。

2SD880の場合(写真右)
 品名が印刷されている面を手前にして。
 右が エミッタ
 真ん中が コレクタ
 左が ベース

注意:おもちゃに使用されている中国製のトランジスターの足の配列は、左よりEBCが多いが、代替品の日本製は上の左写真のようなECB配列が多いので交換する場合は注意が必要である。
参考:電界効果トランジスター(FET)
  昔の真空管に似た原理で、入力の電圧で出力の電流を制御する特性を持っている。

ピアノ基盤の参考写真

2−03 外国製トランジスターについて

 図は、ラジコン等で使用されているブリッジ回路によるモータードライブの一例である。
 海外産と国産のピン位置の違いに注意して使用する必要があるが、S8550,S8050はピン位置が国産と同じものと、コレクターとベースの位置が入れ替わったものの2種類あるのがわかった。
 交換する場合には、同じ型番でも足配置が異なる場合があるので注意が必要である。

説明図

2−4 2次電池(充電電池、バッテリー)

(1) ニッケル・水素充電池
 おもちゃ内部に組み込まれて、交換不可能な充電電池はほとんどニッケル・水素電池である。
 一般使用の電池でも繰り返し使えるため、1次電池(乾電池)よりランニングコストを下げられ、近年ではラジコン等の電池としての利用も多い。単4、単3型が多く使用されている。

おもちゃで使用される主な理由
リチウムイオン充電池より爆発の危険性が少ない。(携帯、PCで使用)
有害なカドミウムを含まないため、ニカド電池より環境負荷が低い。(初期のラジコンで多用)
技術改良により、欠点が少なくなってきた。

短所
過放電に弱く、完全に放電してしまうと電池を傷めてしまう。ただしダメージが比較的少ないタイプも市販されている。
メモリー効果(現象)がある。メモリー効果が小さいタイプが増えている。

充電は、ニッケル・水素充電池用を
日本の大手家電メーカーのNi-MH充電器では、一般的に「デルタピークカット」方式によって充電量が調整されている。これは満充電時に観測されるわずかな電圧低下(デルタピーク電圧、−ΔV)を感知して充電を終了する仕組みである。

ただし、すべての充電器がデルタピークカット方式とは限らず、安全タイマーや過熱防止などの安全機構が採用されているとも限らない。メーカーによって説明書や公式サイトに書いていない事も多く、詳細はメーカーへの問い合わせが必要である。安価な充電器はこのような安全機構が採用されていない場合が多く、過充電によって電池の寿命を縮めてしまう可能性がある。

(2) 長年使用したおもちゃへの対応
 
初期のニッケル水素電池
過放電に弱く、完全に放電してしまうと電池を傷めてしまう。
自己放電が大きく、充電して数週間も放置するとほとんど放電してしまう。
 充電可能回数が200回〜500回程度と少なく、寿命切れの場合が多い。
 おもちゃ内部に組み込まれて、交換不可能なタイプは使い捨てが基本である。
 交換不可能なタイプの電池は、特殊タイプで交換品の入手が困難で、高価である。

ニッケル・カドミウム蓄電池(ニッカド電池)
 充電不可、短寿命の場合は電池寿命である。新品に交換。現在も入手可能。
ニッケル・水素充電池を使用する場合は充電器を交換する必要がある。
このため、充電器内臓タイプのおもちゃではニッケル・水素充電池を使用できない。

密閉型鉛蓄電池(乗用おもちゃで使用)
充電不可、短寿命の場合は電池寿命である。新品に交換。現在も入手可能な場合がある。
注意:鉛蓄電池は、過放電に弱いため、完全に動かなくなる前に充電する必要がある。
放電しきらない状態で再充電を行ってもメモリー効果は表れない

目次へ 第3章へ  このページの最初へ
編集 津おもちゃ診療所