おもちゃドクター スキルUP講座

第1章 診療事例

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1−22 ラジコン

 故障内容:後退はよいが前進はすぐ止まる。ギヤのかみ合い不具合の音がする。
 修理後、返却したがすぐに再発した事例です。


原因:中間ギヤの軸が前進時に軸押さえより外れてせり上がりギヤの噛み合わせが外れる。
    後退時は中間ギヤの軸に下向きの力が加わるため軸受けより外れることは無い
   最初の診察で、ギヤボックスの緩みと見立て違いをしたのが原因で再発入院となってしまった。
  ギヤボックスの緩みが原因であれば後退時にも同様の不具合が生じるはず、症状を吟味する必要あり。 


診療及び処置
 1.ギヤボックスを開けてギヤのかみ合い具合を確認する。かみ合い具合及びギヤ単品の歯の状態も問題なくスムースに回転する。
 2.ギヤボックスの締め付けが緩んでいないか確認して組み立て修理完了とした。

 3.返却後すぐに症状が再発したので、入院してみる事にする。

 4.本体を持ち上げた状態では前後共に正常だが、実走行では前進時空転で進まず、後退は正常だと判る。負荷が大きい場合に具具合がでる。
 5.前進時と後進時の違いはギヤに加わる力の向きが逆、したがって、ギヤ軸に加わる力の向きも逆になる。
 6.中間ギヤ「写真」の軸には後退時には軸受け方向の下向きの力、前進時には軸押さえ方向の上向きの力が加わり、負荷が大きいほど強くなる。
 7.前進時に軸押さえより中間ギヤ軸が外れてせりあがり中間ギヤと車軸のギヤの噛みあわせが外れる事が推察できる。「写真の大ギヤはモターのギヤで押えられている」
 8.中間ギヤ押さえ「写真の上側」の側面にせり上がりじの傷がわずかに確認できた。
 9.対処法として1.ギヤ押え面を増やす。2.ギヤ押さえ面の位置を変えるなど考えられるが、写真で判る様に中間ギヤの軸長が短く外れ易いことも一因だとわかる。
10.中間ギヤの長い軸に替えて「0.5mm程度長い」修理完了する。

1−23 よくばりボックス

症状:長く放置されていtおもちゃで、経年劣化のためほとんどのボタンが反応しない症例である。約30個の接点の内、どうにか反応するのが5個のみである。
    破損部やすべりの悪い症例は通常の処置で対応した。

処置:押しボタンやキー等の操作時に出る音のスイッチは全て導電ゴムを使用した押しボタンスイッチである。
    基盤の清掃、導電ゴムスイッチ面の清掃を行っても完全に回復しない。
    導電ゴムにアルミ箔をある、鉛筆で修復する方法では時間がかかりすぎる。良い方法はないか。
   今の導電ゴムは全体が導電性のゴムで作られている。ならば、導通不良になっているのは接触面のみで内部は正常と思われる。接触面をヤスリで少し削るだけで劇的に導通不良が改善した。
 
 導電ゴムの修復は接触面をヤスリで少し削る を作業標準する。

ヤスリはミニルーターに取り付けたダイヤモンドヤスリを使用した。100均購入品でOK

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津おもちゃ診療所 2019/01/18