設計監理業務
一般に施主と施工者との中立の立場にあります。施主によって設計を依頼され、
それによって完成した設計図書を施主の代理者として施工業者に見積りをしても
らい、適切な技量・価格の業者を選定し図面通り正しく施工されているかを監理
し互いの財産を守っていくという立場にあるため、施工業者と結ぶ工事契約とは
別に設計契約(依頼)をしてもらうことになります。
従って、施主が払うお金の流れは費用に関して工事費と設計監理料との二本立
てになります。この設計監理料は建物の規模や用途によっても変わってきますが、
工事費に対して何%というように決まっています。支払い方法は一般に基本設計
完了時に30%、実施設計完了時に40%、完成引渡し時に30%になります。
工務店やハウスメーカーに直接依頼した場合は設計料はサービスされているよう
な印象を持ちがちですが、これは工事費の中に含まれていると思って間違いない
でしょう。また、工事費の支払い方法は業者や建物の規模によっても変わります
が工事請負契約時に3分の1、上棟時に3分の1、完成引渡し時に3分の1とい
うのが一般的なようです。
家づくりのプロセス
ヒアリング
施主の生活スタイルや住まいに対する細かい希望についての聞き取り、打合せ
を必要に応じて数回行います。
ヒアリングは住み心地の善し悪しを決定する最も重要な作業となります。
⇩ 「ヒアリング」と同時期に敷地の状況を調べる「現地調査」を行います。
現地調査というのは敷地の測量や樹木の位置または増改築の場合は既存建物の
調査を行うことです。構造が鉄筋コンクリートや鉄骨造の場合は地質を調べる
ボーリング調査が必要な時もあります。
基本プラン打合せ
これまでの打合せをもとに間取りなどを明らかにした基本プランが完成します。
⇩ 平面・立面・断面図・模型が作成されます。これらを提示され、更に話し合い
を繰り返していきます。
打合せ
基本プランをもとに細部にわたり打合せを重ねます。水廻りの使い勝手は良い
か、収納スペースは足りているかなど、できれば家族全員で確認したいもの。
⇩ ここまできて大きな設計変更は予算超過になりかねません。基本プランに入る
前の段階でしっかり話をしておくことが大切です。型にはまった考えを捨て、
建築家を信頼し、任せる気持ちを忘れないで欲しいと考えます。
基本設計完了(設計監理料30%)
素材や色、形も含めたおおよその仕上げも決まり基本設計が完了。この時点で
⇩ 設計契約書を取り交わし、基本設計料として設計監理料の30%を支払います。
実施設計(設計監理料40%)
基本設計が完了すると確認申請のための図面と並行して実際に工事を進めるた
めの図面が作成されます。平面・立面・断面、各部屋ごとの展開図や構造図、
⇩ 設備図などです。実施設計完了後、実施設計料として設計監理料の40%を支
払います。
施工業者決定(工事費の1/3)
本来は数社の工務店に見積を提出してもらい最も適切だと思われる業者に依頼
する「入札」を行いますが、規模が小さいものは最初から1社に見積を提出し
てもらうことが多いのが現状です。この時点で初めてはっきりとした見積額が
⇩ 知らされ設計事務所はその金額が適正であるかを見極め、また予算を超過して
いるならば減額などの調整をします。そして金額が決定した時点で建主と施工
業者との間で工事請負契約を結びます。そのとき施工業者に工事金額の1/3
を支払います。
工事着工
確認申請許可が下りると着工。それに先立って地鎮祭を行う場合もあります。
地鎮祭は建主と設計事務所、施工業者の立ち会いのもとに土地の神様に挨拶を
⇩ する儀式。行うか行わないかは建主の自由です。しかし、着工に先立って近隣
への挨拶は忘れてはなりません。
上棟(工事費の1/3)
建物の骨組が出来上がったところで棟上げ。工事関係者へのねぎらいも含め、
⇩ 工事の無事を祈って上棟式を行います。この段階で施工業者に工事費の1/3
を支払います。
工事完成・引渡し(設計監理料30%)(工事費の1/3)
建物が無事に竣工した時点で、完了検査を行います。図面通りに仕上がってい
るか、打合せと大きく違っている部分はないかなどをチェツクし、設備機器の
使用方法の説明を受けます。工事中にも建築家とのコミュニケーションを十分
⇩ にとっておくことが大切、ここで設計監理料の残額30%、施工業者に工事費
の1/3を支払います。また追加工事や細かい変更などで生じた見積額との差
額を清算します。
アフターケア
建物は春夏秋冬をひと通り過ごしてみないと、その本当の良さや問題点が見え
てきません。雨漏りなど、生活に支障をきたすトラブルはすぐに報告しますが
その他の細かい部分についてはメモしておいて、ある程度まとめて報告すると
対処しやすいでしょう。家は竣工してから住まう人によって完成させていくも
の、その意味でも建築家とは一生のお付き合いが続きます。