木の家
■ 【木の家】は京都・北山産の産直材を使った木造住宅を提供するプロジェクトです
■ 単なる健康住宅に止まるのではなく、建築物としてのシンプルさと美しさを求めます
■ 家の骨格となる木材はすべてにおいて、京都・北山産の杉・桧を山から直接供給して使用します
■ 産直材を使用すると流通経費の削減、良質材の吟味、木材の質の統一など数多くのメリットがあります
■ 京都産の杉・桧を使いますが、住宅を建てる地域は京都をはじめ、大阪・兵庫・奈良・滋賀を対象とし
ています
その他の地域は現在のところ対応しておりませんが、ご相談はお受けいたします
■木の家■
設計監理 小森博之建築設計事務所
協力 (協)京北木材総合センター
設立 2000.08.26
「木の家」の住宅
1.北山産の杉・桧でつくる住宅
■京都の木は厳しい冬のおかげで身がしまり、細かい年輪幅の材になります。
すなわち暖かい地方で育林される木よりも強度の大きなものとなります。
このような恵まれた立地で育林される木は有名な杉絞り丸太だけではありません。
柱や梁に使われる構造材ももちろん育林されています。
しかし、ブランドである北山杉(丸太)と違い、構造材となる杉や桧は他府県の木材と一緒に一般材
として流通してしまいます。
京北・育林中の杉林
■そこで、この北山産杉(北山杉と区別して)と桧を産地から直接供給することで、無駄な流通経費を
省き、適切なコストで手に入れようと考えました。
これほど近い地場産業である北山杉を使うというのは活性化、運送費などからも、たいへん意義のあ
ることです。
■一般的な方法で木造住宅を建てると、土台は米栂の防腐処理剤、柱は桧、梁は米松というように樹種
も産地も(国さえも)バラバラになってしまいます。
【木の家】が提案する住宅は構造材、造作材のすべてにおいて北山産の杉・桧を使います。
一つの山ですべての木材を揃えるということは、理想的で自然なことだと考えます。
そうすることによって、木の色・艶・目がきれいに揃い、それを化粧材として見せることで非常に美
しい家となります。
■また、木材には節の多い少ないで等級と呼ばれるものがあります。
あえて一等材と呼ばれる節の多い並材を使います。
理由として、まずコストが安いということです。
もう一つの理由として、木には枝があり、枝があるところには節があります。
等級は木材の性能とは関係ありません。単に見た目によるランクづけです。
木には節があるという当たり前のことはそのまま受け入れようという考え方です。
柱・梁に一等材を使用した室内
2.産直材でつくる住宅
■一般的な木造住宅の建て方で使う木材は、工務店まかせというのが現状です。
つまり最も大事な家の骨格である木材は、吟味されることなく、工務店の信用のもと、突然に建築現
場に搬入され、組み立てられることになります。
■【木の家】は、そういった木構造や木材のおざなりにされている部分に大いに疑問を感じ、
良質の木材を適切なコストで、木の特性を生かしたプランニングや構造の木造住宅を供給したいと
考えています。
3.真壁構造でつくる住宅
■現在の木造住宅の主流は、構造体である木材を合板やボード、ビニールクロスで覆い隠してしまう工
法です。これは施工者側にたくさんのメリットがある工法なのです。
悪い材質の木を使っても隠れてしまう。
どうせ隠れるからと、大工さんもやりがいを持たず、手間も安く、早く仕上げようとします。
仕上げ材であるビニールクロスさえきれいに貼ってしまえば、家全体がきれいだと錯覚してしまいま
す。これでは家が長持ちするはずもありません。
■木は山から切り出され、製材されて家の構造材として使われても、呼吸をし続けます。
しかし、ビニールクロスなどで覆われた木は呼吸することができません。
常に空気に触れることで、木は調湿性能という優れた性能を発揮できるのです。
木を呼吸させることが最も耐久性のある家にするための条件だと考えます。
【木の家】が提案する住宅は真壁構造といって、木の一面以上を必ず空気に触れるように、化粧とし
て見せます。そしてそれを木の肌の美しさ、力強さとして表現します。
木材を化粧で見せる真壁工法
■また、構造材が目に見えるように現れていると、腐りやシロアリなどの被害も早期に発見することが
でき、構造に影響がでないうちに補修ができるというメリットもあります。
4.無公害材でつくる住宅
■せっかく木をふんだんに使った家をつくっても、ホルムアルデヒドなどを発生させるものを一緒に使
っていては何の価値もありません。
残念ながら室内汚染化学物質をゼロにするというのは現実的には不可能かもしれません。
厳密に言えば、プラスティックすら可塑剤という有害物質が含まれているのです。
その他、合板・グラスウール・無垢でないフローリング・油性塗料・ビニールクロス・木材保存材な
どに有害物質が含まれています。
しかし、室内汚染化学物質を含まない材料を研究し、有害である材料を使わないということを、積極
的に考えています。
5.パッシブに暮らす住宅
■パッシブというのは「受身の」という意味です。
消極的な意味ではなく、自然を積極的に受け入れていこう、という考え方です。
室内の空間と外部の自然が相互に交換しあい、関わっていくことで五感で感じる気持ち良さが得られ
ます。室内のどこからも空や緑が見える、風を感じる、日差しから時のながれを感じるといったよう
な、すがすがしさや爽やかさを重点に設計を行なっています。
つまりハイテクであるより、ハイタッチでありたいのです。
■具体的に設計でどのように反映されるかを挙げますと、
・夏の日差しをやわらげ、外壁を雨などから守るため深い軒をつくる
・空気の通りを良くし、広さを感じのびのびした空間にするため、あまり間仕切り壁を設けない
・家族の気配を感じることができるように、閉ざされた個室をつくらない
・開けたまま通風ができるように、また省スペースのためにも引戸を多用する
・外に対して積極的な関わりを持つように、大きな開口部を設ける ①
・室内のどこを触れても手触り足触りのよい材質のものを使う ②
・家族室などから直接出られ、半室内的に利用できる木のデッキを設ける ③
・火を眺める心のゆとりが持てるように、暖炉や薪ストーブで暖をとる ④
といったようなことです。
6.架構の美しい住宅
■架構というのは木の骨組みのことです。
架構が美しいとはどういうことなのでしょうか。
一般的な大壁工法の家の場合、いずれ合板やボードで覆われるわけですから骨組みに用いられる木材
は粗削りで、断面も細く、金物が多用されており、上棟の時に見るとかなり貧弱に感じられます。
【木の家】が提案する構造材が化粧としてあらわれる真壁工法では、架構がそのまま意匠としてあら
われるので、骨組みに用いられる木材はカンナが掛けられ、断面も大きく、接合金物も必要最小限に
抑えられ、仕口や継手に気が使われます。
このようにして組まれた架構は上棟の段階で半ば家の完成の状態にあり、見るからに美しいものとな
るのです。これは設計という範疇を超え、木のもつ迫力ややさしさ、美しさにほかなりません。
真壁工法での上棟時の架構
■また、木というものは生きた自然素材であり、水分を含んでいます。
乾燥にも細心の注意を払うわけですが、どうしても多少の割れや隙、ひねりなどといった変化があら
われてきます。そういった点を十分に理解していただけないと、【木の家】が提案する住宅は不向き
であると言えるかもしれません。
杉の表情
■構造において、設計でどのように反映されるか以下に挙げます。
・真壁工法とします。
・接合金物は適材適所の使用とし、木は木でしめる、ということを原則とします。
・柱は仕上り寸法4寸角(12㎝角)以上のものを、梁は梁巾仕上り寸法4寸(12㎝)以上のものを使
います。
・基礎は鉄筋コンクリートとし、一般的な布基礎よりも強く、不同沈下しないように「べた基礎」とし
ます。
・建築確認申請の義務がなくても構造計算を行ない、安全の確認をします。
費用について
■一般的な方法で家を建てる場合は、施工者と直接契約をし、工事金額を支払うのが通常です。
【木の家】が提案する木造住宅を建てる場合は少し内容が違います。
■中間経費をなくすため【木の家】が木材を産地から直接供給するということになりますので、
設計監理にかかる費用と実費である木材の費用は【木の家】に支払うことになります。
また、別に施工者とも契約を行ない、木材費を除いた工事にかかる費用を支払います。
■施工者に関しては指定はしていません。
工事金額の公正さを大事にしたいからです。
ですから施工者の決定は、木造を得意とする工務店数社による合い見積により、
金額・技量をもとに住み手と相談をしながら決めていきます。
もちろん知り合いの工務店がある場合は指定をしていただいてもかまいません。
■融資についてですが、ある一定の条件を満たせば住宅金融公庫がご利用いただけます。
また京都府内で建てる場合は、京都府が定めた建設基準を満たし、府内産木材を総材積の50%以上使用
すれば、京都府地域優良木造住宅(府内産木材使用住宅)制度として900万円の京都府融資を利用する
こともできます。