●タニコメ旅日記●
カナディアンロッキー トレッキング紀行
 7月8日(3日目)

―ザ・ウイスラー登頂の後は氷河観光―

 今日からはロッキー山脈の間を南下しながら、あちこちの山に登る行程だ。今日は早や発ち、8時の出発だ。朝食はホットケーキにドップリとメープルシロップをかけて戴く、これにベーコンのカリカリとソーセージ、このスタイルはその後行く先々のホテルで大抵出ていた、カナダでは朝食の『定番』のようであった。 locky
はちみつたっぷりのモーニング

   昨日、一昨日と走ったR−16を今日も走っているが、この道はジャスパーで氷河ハイウエーと呼ばれるR−93に繋がる。道は長い登りになり、1113mのイエローヘッドパス(峠)で州越えしてアルバータ州に入った。この道はR−16でありながら何故か特別にイエローヘッドハイウェーと呼ばれると説明があった、地図にもそう書いてあるが意味は解らない。
 この峠越え(州越え)で又時差が+1時間となった、何せこの国では行く所で6回も時差があるというのだから私達のように時差の無い国の人間には付いて行けない。州越え時には検問があるが、私達はバスに何か表示をしてあるようで難なく通過出来た。
 ここからはジャスパー国立公園だ。アルバータ州に入った途端、さっき迄のBC州では見かけなかったガードレールが眼に入った、州の違いによるのかな?。

― はじめて実感した雄大なロッキー山脈 −
 10:00AM、約2時間の快適なドライブでウイスラー山の麓、トラムウエイ(ゴンドラ)乗り場に着いた。大分気温が低いようだ。約1000mの高度差をトラムで登ると、そこは2265m、既に森林限界を超えた岩山だった。周りのガレ場には、高山の厳しい自然条件に適合して生存するために脊を縮め我が身を変化させた高山植物が、僅かな土にしがみつくようにして可憐な花を咲かせていた。 locky
ウイスラー山(2466m)を望む

   ウイスラー山の登頂は、自分の足で登るのは距離にして僅か2kmばかりだが、急激な登りで一気に200mの高度差を稼ぐのだから結構きつい。2466mのウイスラー頂上に立ったのは12時をやや過ぎた頃だった。
 ガイドのオオタさんによれば、今日は稀に見るような暖かい、風も少ないラッキーな条件だとの話であったが、その通り頂上からの眺望は素晴らしかった。360度見渡す限りの『岩』と『雪』ばかりの眺望を満喫し、まさにカナディアンロッキー“丸かじり”の気分を味わった。
locky
ウイスラー山頂よりジャスパー周辺の湖

   昨日までの、左のピークは何で右の峰は何、と言う感じでは無く、何処までも何処までも続くロッキー山脈の雄大さを実感した一時であった。カナデイアンロッキーを一言で表現したような景色だ、やはり自分の足を使って登ってきただけの事はあったと“納得”。しかし山の天気は判らない、頂上に居た少しの時間の間にポツポツと降り出した、とても昼食どころの話ではない。眺望には満足したが、バナナ一本だけ食べて、そそくさと下山をはじめたウイスラー登頂トレッキングでした。
locky
ウイスラー登頂だ!

   トラム下で昼食。今日は『にぎり飯弁当』だ、いろいろと配慮してくれて有難いことだ。今日は移動距離が長い、先を急ごう。14:30頃「アサバスカ滝」到着。
 アサバスカ氷河から流れ出た大河が落下する様は、なかなかの迫力ではあったが、ロッキー山脈の雄大さに慣れたばかりの眼にはさほどの感銘を与えなかった。 シェリーのバスは一路『アサバスカ氷河』を一望するコロンビアアイスフィールドシャレ―を目指して標高2000m迄、徐々に徐々に登って行った。

― 黒クマに遭遇 −
locky
出た!熊だ。悠然とベアベリーを食べていた

   アサバスカ滝を過ぎて間もなく、右手に、又左の方にも『黒クマ』が見られた。好物の“バッファローベリー”という昨日キニーレイクで見た、赤く色づいたグミの仲間を、器用に手で“しごいて”食べているのだそうだ。山中を走っていると、その後もビッグホーンシープやエルクという大角鹿などを見かけた。 locky
白い尾のエルク

   シェリーは運転をしながらも注意深く左右を見ているらしく、珍しいものを見つけてはスピードを落としたり、バスを路肩に寄せたりしてサービスにこれ努めてくれていた。

― コロンビア大氷原 −
 ガイドブックに良く出てくる名前だが、本当は誰も見た事がない。ロッキー山脈中で最大と云われるコロンビア大氷原は、その広さ325k?もあり、日本流に言えば名古屋市の面積に相当する広さなのだそうだ。ホンマかいなという気もするが、私達は勿論見たことはないし飛行機からでもない限り見ることは出来ないからホントなんだろう。
 この大氷原からは六つの氷河が流れ出ている。その一つ『アサバスカ氷河』へは一人35C$(4000円弱)を払って、スノーコーチと呼ばれる雪上車に乗って直接に降り立つことが出来る。
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頼もしいスノーコーチ

  ― アサバスカ氷河観光 −
 16時過ぎ、幸い今日は好天に恵まれた。まだ暑い陽射しの中であったが、ウールのトックリセーター、冬用のジャケット、ウールの帽子ですっかり冬姿に身を固めて出かけた。行きのスノーコーチの中では汗ばむような感じで、この“イデタチ”は一寸やり過ぎかな?とも思ったが、現実に氷河に降り立って見れば結構冷たい風があり、この完全な冬支度は大正解であった。
locky
アサバスカ氷河

 
 雪上車は昔のようなキャタピラー方式の中途半端な大きさの物ではなく、超大型のスノータイヤみたいなのを着けた『スノーコーチ』と言う40〜50人乗りの大型バス並の乗り物であった。降り立った辺りは幅1kmばかりで、上流には荒々しい氷塊の折り重なりが見られた。  長さは約6km、氷の厚さは100m〜300もあると説明書には書いてあった。
 標高2200mのこの地点に立って山頂方向を眺めると、コロンビア大氷原の末端というのか切り口というのか判らないが、スノードームと言われる迫力ある氷の堆積層が見られ、圧倒的なスケールに唯々見とれるばかりであった。
locky
まさに碧く輝く氷の河でした

   冬支度の私達は良い按配であったが、薄着の人たちは堪りかねて早々に車内へ逃げ込んだようだ。氷河上僅か30分ばかりの滞在であったが、嘗てニュージーランドのフランツ・ジョセフ氷河をアイゼンを着けて登った時の汗をかいた経験とは違って、今日は寒さおも体験した氷河観光であった。

― コロンビア アイスフィールド シャレ― −
  (COLUMBIA ICE FIELD CHALET)
 今夜のホテルはアイスフィールド シャレ―。R・No−307の窓の正面には、目前にアサバスカ氷河が見え、これ以上無いという絶好のロケーションに宿泊出来たのはラッキーだった、譲って戴いた山本さんには感謝々々。
 部屋の作りも粋なメゾネットタイプで、1Fにリビングやバスルームとダブルベッド、ロフトにシングルベッド2台というのもゴキゲンだ。夕食はホテルのダイニングで中華料理(山の中の一軒宿だから他に食べる所は無いが)。私はビール、明子さんは赤ワインで乾杯!!。
 明子さんは、千載一遇のチャンスとばかりに、部屋の窓から正面に見えるスノードームやアサバスカ氷河のスケッチに余念がない。既に夜も10時と云うのに、外はまだ遅い午後という感じで山の一部には夕日が映えている。
locky
氷河正面に建つアイスフィールドシャレー

   今日は特に天気に恵まれたこともあって、ザ・ウイスラーの2466mの山頂から『岩と雪』のロッキー山脈の360度の展望を眺めて、カナディアン ロッキー丸かじりの気分を味わい、午後の観光では降り立ったASABASKA氷河の迫力に唯々呆然とした、収穫多い一日であった。ただ残念なのは、この三日間ほどはナイトキャップのワインなりウイスキーが無いことだ、いくら山の中でも何とか手に入れることは出来るだろうと、“たかをくくっていた”のが裏目に出た、今夜も売店は早々と閉まってしまったし・・・。明日は、自分の足で向かいの山から氷河を眺めるトレッキングの予定だ。お休み。

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