●タニコメ旅日記●
スイスさわやかハイキング8日間 8月29日(2日目)

  ―― ベルンからツエルマットへ ―― 
   ベルンの朝、そして今日は憧れのツエルマットへ向けて列車の旅。早朝6:30頃に朝食を済ませてベルン市内を散策、橋の上から初めてアイガーが望遠出来た、生憎の霧雨でクッキリ!とは行かなかったが、何とか見えたとい感じだ。ただ、こんな街中からアルプスが見えるというのは、予想していなかっただけに驚きだった。
 それにしても、“ベルン(BERN)”という街は流石に世界文化遺産に指定されているだけあって、石造りの古い建築物が多く整然と区画された綺麗な街であった。広い石畳の通りには昔ながらの二両連結の路面電車や、これ又二両連結のバスが走っていた、そんな大通りに面して、正に石造りの劇場があり、恐らく普通の民家(アパート)と思しき5〜6階の建物にも大抵は石の彫刻が施されて、如何にも中世の街という風情を漂わせていた。
 面白いというか驚くべき事というか、商店街の建物の表側は、幅何メートルかある石造りのアーケードになっており、しかもそれが何キロメートルにもわたって繋がっている事だ、通りを渡る時だけ我慢すれば雨の日でも傘無しでショッピングを楽しむ事が出来る、ナンボ雪国とは云っても何百年も前から、街の設計として出来ている、これは私にすれば驚きだった。帰りに雨の中で路地の朝市を見た、花や果物などを見たが“ドエライ変わったもの”は無かった。
 9:20AM頃、小雨降る中をベルンを後にし列車でツエルマットに向かった。スイス国鉄(正式にはスイス連邦鉄道と云うらしいが)は、SBB(ドイツ語)、CFF(フランス語)、FFS(イタリア語)の三つが必ず車体に書いてあるのが、いかにも多言語連邦国家らしい。
 困るのは、発車のベルが鳴る訳でもなく、どうせ聞いても判らないがアナウンスがある訳でも無く、スーと来て何時の間にやら出て行くという感じなのと、乗る列車によって乗降時のドアーが自動で開閉したり、ボタンみたいなものを押して開いたりする事だ、 慣れない旅行者はオロオロしてしまう。
 ユッタリした車内はシート毎にテーブルが、その下にはゴミ箱が付いており清潔で気持ち良い、それにしても非常に静かなのは何故ダロウ。
 列車はベルン市郊外を抜けると、後は殆どを山岳地帯を走り、時々小さな村が見える、右に左に、遠く近く見渡す山は殆ど牧場のようだ、あんな高いところ、あんな険しいところ迄牧場にせんでも、もっと平地があるやろ、スイス人は勤勉なんかなー。なんて云ってると車内販売のカートがやって来た、ビール々、あて?!、いらん要らん持っとる。
 訳がわからんから、持っている硬貨をテーブルの上にザラザラっと置くと適当にチョイスしてくれる、一缶3.5Fr位 だったと思う。  約三時間の楽しい車内であったが、11:20分頃ブリーク(Brig)着、ここからは私鉄登山電車BVZで約1時間半、いよいよ憧れのマッターホルン、モンテローザの基地ツエルマットへ!。
 スイス人は、よくもここ迄やるなー という感じのBVZ登山電車であった。切り立った斜面に岩を積み、落石防止の土堤をつくり、橋でつなぎ、とても尋常な考えでは断念するだろうと思われるような所に登山電車を通している。
 こんな危険な路線を喘ぎアエギ登って来た登山電車であったが、ようやくやや平坦な、広がった平地と言えるものがある場所、そこが目指す海抜1620mの街ツエルマットであった。
 今朝出発したベルンは600m余りであったから、今日は電車でとは云え1000m高度を稼いだ事になるが、その大半は ブリークからの“BVZ”の電車に依るものだ。
 この地は、化石燃料を動力源とする乗り物は一切乗り入れ禁止、街中には電気自動車と馬車だけが走っていた、一つ手前の駅テッシュ(Tasch)にはガソリン車などを止める大きな駐車場があった。

ホテル “ビネー(BINER)”に荷物を運び込んでもらった後、直ちに、霧雨の中を地下ケーブルカーで“スネガ展望台、2293m”へ登ったが、何じゃ、こりゃ!ガスで辺りは何も見えず、マッターホルンがドッチにあるかも判らなかった。
 勿論、ここを基点にライ湖(Leisee)経由でツエルマット迄降りるハイキングも中止。スネガでソーセージ/ポテト/スープ&ビールの昼食をしたが、余りの塩辛さに閉口した、帰りも又、地下ケーブルで下山、残念!。
バンホフ通り(駅前通)の土産物店で買い物、買いたがりの明子さんは早くも思い切り買っていた、私もスウォッチの時計を買った、90Fr。明朝には晴れてくれ!!。何としてもクッキリ晴れたマッターホルンを見たいのだ!。
ツエルマットの街はマッターホルンの麓に在り、登山の基地や避暑地として以前からいささかの憧れみたいなものを持っていたが、想像どおりの美しい街であった。
 バンホフ通り(駅前通)500mばかりの小さい街ながら沢山のホテルなど、木造風の高い建物のベランダは悉く花で飾られており、カラフルでありながら落ち着いた雰囲気を漂わせていた。教会横の橋からはマッターホルンが間近に見え、街中を流れる河は溶け出た氷河の水を集めて灰色の激流となっている様は、如何にも山の麓という風情であった。
 デイナーは、リゾート風な木の床のホテルレストランでメインディッシュがチキンステーキのフルコースみたいなのを頂いた、前菜に野菜サラダが出たが、何故かこれ以後この旅行を通じて一回たりとも野菜サラダに出会わなかった、何でダロウ、スイス人は野菜を食わないのかなー。
 でも電車で通りすがりの“家庭菜園”みたいな畑には野菜を作っていたぞー、ただ、大規模な野菜畑というのは見かけなかったなー。

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