●タニコメ旅日記●
スイスさわやかハイキング8日間 8月30日(3日目)

   ――登山電車で3131mまで ――
 今日は登山電車でゴルナグラ―ト(3131m)まで登って、目の当たりに4000m級の山々を見、ゆっくりとハイキングを楽しむ日だ。
 6:40分頃から、マッターホルンのモルゲンロートを見ようとして教会近くの橋迄出掛けた、稜線の右側は見えるのだが左側とピークは雲に隠れてどうしても見られなかった。何とか天気回復頼む!。早朝の怪しげな天気は次第に好転し、今日は良いぞ!!の感を深めた。
 ガイドの原田氏は、「昨日の借りを返すため、昨日予定分と本日予定分をつないだようなハイキングを考えている」と意気込む。8:00出発でゴルナグラ―トへ登る登山電車に乗り込んだ。
 何と不思議な!と言おうか、偶然とは恐ろしいものだ!と言おうか、信じられない事だが、今年2月にニュージーランドの、あのミルフォードトラックを案内(ガイド)してくれた櫛部君が、同じ登山電車に乗っているではないか!!。勿論彼は、日本の夏の間はツエルマットでガイドとして働くと言っていたのだから、有り得ない事ではなかったのだが...驚いた。
 メイ子さんは大感激!!。大いに旧交を温めた、というのは一寸大げさか?!。
 ツエルマットへ入る電車“BVZ”も凄かったが、今日の電車は正に“登山電車”だ、オプト式というのか!?両側の車輪の間にもう一つギヤーの車輪を噛みあわせながら、歯を軋ませながら、という感じで1500m余りの高度差を登って行く。
 この頃には天気も上々、3131mのゴルナグラ―トからの景色は素晴らしい!!の一語に尽きる、否凄い!!というのかな?とにかく感動ものだ。
 4000m級の山々や氷河の大パノラマが、ここに立って見なければ味わえない圧倒的なスケールで迫って来る。モンテローザ(4634m)が、リスカム(4527m)が、ブライトホルン(4164m)が、クラインマッターホルン(3883m)が、その両側に大河の如き氷河を抱えて手にとるように見える、凄い!。

 ただ、あの特徴ある姿のマッターホルン(4478m)だけが、どうしても雲に隠れて上半分が見えない、この口惜しさを除けば全てが満足行くものだ。
 氷河はモンテローザからゴルナーグレッチャ―が、リスカムからはグレンツグレッチャ―が、ブライトホルンからはブライトホルングレッチャ―が流れ出し、その他の数々の氷河と合流して、立っている足元からツエルマット方面に流れる様はスサマジイ迫力ある景観を程している。
 一しきり凄いスケールに歓声を上げた後は、いよいよハイキングだ。登山電車をローテンブルクで下車し、当初は昨日の分を丸ごとリカバーすべくスネガ迄全行程をハイクする予定であったが又々ガスって何も見えなくなった、取り敢えずリッフェルベルクで昼食後一駅だけ電車で下がり、リッフェルアルプ駅からスネガまで歩いた。
 今度のハイキング計画は、全てが下り又は平坦地を歩く事になっていたが、今日だけは12〜13kmばかりの行程に少しのアップ/ダウンもあり、ややハードなハイキングになった。

 その後の何度かのハイキングを振り返ってみると、今日のコースが最もそれらしい雰囲気を持っていたように思う、一寸した林間あり岩場あり、谷ありの変化に富んだ楽しいコースであった。昨日は霧雨で何も見えなかったが、ハイクの終点であるスネガのレストランのテラスはマッターホルンの雄大な姿が目の前に見える絶好のビューポイントであった。
 このテラスでビールを頂きながら、暫し休憩後マッターホルンに別れを惜しみつつ17:30の地下ケーブルでツエルマットに下山した。
 今日は本当に歩いた気分になり、快い疲れを感じながらホテル“ビネー”に帰り着いた。スネガ迄のハイキングの途中何度も、もう少しで全容を現わしそうになったマッターホルンを眺めながら、しかし遂に一度もピークの姿は見られなかった、残念!!。明朝7:00、もう一度橋の上へ行ってみよう。
 何度も驚くようだが、昨日のツエルマットまでの電車と云い、今日の登山電車と云い、スイス人というのは、100年余も前から如何に観光に力を注いで来たかを見せ付けられた思いがする。更に驚かされるのは、あちこちのピークに大小のゴンドラやリフトをつけ、とにかく上へ上へという、この意気込みと粘り強さは感服ものだ。
 今夜は、ゴルナグラ―ト行き登山電車駅前のレストラン“ビクトリア”でスイス料理を戴いた。「ラクレット」。
 溶かしたチーズを、ふかしジャガイモに乗せて食べる。たまにはイイか!?位の美味。「チーズフォンデュ」。有名なスイス料理だ。
 猪八戒が持っている、二又の柄の長い“槍”のようなもので角切りパンを差し、鍋でグツグツ煮えているチーズ(ワインで割っているらしい)の中でコロコロ、取り皿で別のフォークに取って頂く。話の種に食ったが、それ以上のものではなかった。
 「フォンデュシノワーズ」(Fondue Chinoise)。読んで字の如く中華料理にヒントを得たもの。コンソメスープ(セロリなど野菜の刻んだものが入っている)鍋の中で、薄切り肉(この時は豚と牛であった)をシャブシャブして、10種類はあろうかというソースで食べる。
 日本のシャブシャブとまでは行かないが、今日食った中では一番。最後に、このスープを取り分けてくれた、コンソメ/野菜/肉汁が入っているのだから美味かった。
 今迄食った料理は、概して私の口に合わない物ばかりだったから、これ(シノワ)が最も美味かった、というところ。今日は、割合よく歩いたし、今朝も早々に目覚めていたので、夕食の間から眠くなっていた、ホテルに帰るとまだ10:00だったが、直ぐに寝た、グッスリ眠った。
 色々なメンバー。
 ; スイスにはもう何度も来ているから何でも知っている、と先走って訳知り顔でやたら説明したがる人。結末が先に判っている小説を誰が読むか!!。
 ; 雄大なアルプスの眺めに唯々眺め入る人。お互い夫々の楽しみ方をしましょう。
 ; ひたすら、下を向いて歩くだけが目的みたいな人。何が楽しいのかな?
   昔そんな“山おんな”を、よく見かけた。
 ; 高山植物なら何でも知っている、花を見れば何でもハイツクバッテ写真を撮る人。
 ; 山の上まで来て、これはパソコンに“ああして、こうして”とパソコンの話しばかりしたがる人。私はその場を楽しみに 来ているのです。
 ; 他の国への旅行の話しばかりしたがる人、
 カナダの〇×庭園は素的、とか。ジャカマシィわい!、ここはニュージーランドじゃ!。      あ!!違った!、これは別の旅行の時だった。ここはスイスでした。
 ; スイスパスを持っていれば、全国どこでも郵便バスに乗って旅行できるんだよ、とか、それは“こういう事や”、その花は“女性のスリッパ”という、等々知識の切り売りや、ひけらかしをする人。
 ; 私は私は、と自分の事ばかりシャベリまくる人。
 旅行で偶々同じパーテイ―になっただけや、お前の内うちのことなんかどうでもエエんや!。
 ; スイスの有名な花は?、の質問に“エンチャン”!!、あたりまえでしょ!?みたいに横向いて答える人。等々。
 余り付き合いたくない連中だ。
私は。
 アルプスを見れば、白雪の嶺嶺の美しさ、スケールの大きさに感動し、
 登山鉄道に乗れば、スイス人の粘りや執念のようなものに思いを馳せ、
 自分の見たいように見、楽しみたいように楽しむ、
 この旅行を楽しむために、偶々同じパーテイ―になっただけ、
 他人は他人、私は私、夫々の楽しみ方で楽しもう、
 邪魔せんといてくれ!!
 というほうだ。

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