●タニコメ旅日記●
スイスさわやかハイキング8日間 8月31日(4日目)

    ――アイガーが見える村ミューレンへ ――
  小雨に煙るツエルマットを発ち、途中エッシネン湖に遊び、夜にはアイガーの見えるミュ―レン入る。昨日一昨日と、どうしても見られなかったマッターホルンの全容を、モルゲンロートを今朝こそ見ようと思ったが、今日も生憎の曇り空、とても見えそうも無くてガッカリ。
 AM6:30頃には、かなり降りだした、ツエルマットは今日一日降るだろう。今朝のテレビでは、昨日行ったゴルナグラ―トも霧雨で何も見えていなかったから、昨日は一時霧雨もあったが、山を眺めた午前中は好天に恵まれ、素晴らしい迫力ある眺望を満喫出来たのはラッキーだった。
 今日の行程も、9:10のBVZでBrigまで1時間10分、SBBに乗り換えてカンデルシュテーク迄1時間余り、雨or霧で無ければ、ここでチェアーリフトに乗り換えて山上に登り、エッシネン湖(Oeschinennsee)までハイキングの予定だが、 行って見なければわからない。“抜けるような青空をバックにスックと立ったマッターホルン”に思いを残しながら、小雨の中、中途半端な気分でツエルマットを発った。
 この地方の家の屋根が面白い、まるで鉄平石の大きいのみたいな平たい石板を、あたかも魚のウロコのように敷き詰めて瓦がわりにしている。随分な重量だろうから風には強いだろうが、骨組みが余程しっかりしていないと重量に耐えられないだろうな!、一寸変わった風景だ。
 エッシネン湖に遊ぶ。カンデルシュテークでは、霧雨が降ったり止んだりの中を、急勾配の二人乗りチェアーリフトで山上へ。  足元は恐ろしく急勾配の牧草地だ、なんぼ牛は四駆とはいっても、よくもまーこんな所まで登って草を食うもんだ!!と驚きながら空中散歩。
 周りは、よくスイスの写真に出てくるように牧草地と、モミの木?カラマツ?クリスマスツリーのような、傘を半開きにしたような姿の木の疎林の風景だ。濃い霧の中をエッシネン湖目指して、片道約30分のハイキング、何とも冴えないスタートだったが、間も無くエッシネン湖という所まで来た時、何たる幸運か!!。
 一気に空は晴れ上がり。モルゲンホルン(3627)、ブリュ―ムリスアルプホルン(3663)、ビッシュフラウ(3650)エッシネンホルン(3486)など3000m級の山並みをバックに、プルシヤンブルーに輝くエッシネン湖(Oeschinensee,1600m)が目の前の視界に飛び込んで来た。
 ガスで閉ざされていた視界からは想像出来なかった予想外の素晴らしさに、暫し我を忘れて見惚れていた。陽が射すと暑く、陰ると寒いという感じの湖畔のレストランテラスのカレー風味のスープも珍しく美味かった。山に抱かれたような、なかなか雰囲気のある湖だが、冬には凍結し雪に覆われて、この辺一帯はクロスカントリーのコースになるそうだ、カンデルシュテーク駅の辺りも積雪が多くこの地方の冬はクロスカントリーが盛んだ、との原田氏の話しであった。
 カンデルシュテーク駅に戻り、再びSBBに乗って後は一路アイガーの向かいの村ミューレン(Murren)に向かうばかりだ、と簡単に思っていたが、なかなか、すんなりとは着かなかった。今日は随分と沢山の乗り物を乗り継いで17:00時過ぎに、氷河が削り取ったU字谷の絶壁の上の村(町?)ミューレンに着いた。
 途中はくたびれる程色々な乗り物に乗り継いだけれども、ホテルは駅から徒歩20歩という絶好の立地で、しかも今回初めての四つ★の、老舗“アイガー(Eiger)だ。
 真向かいにアイガー、メンヒが見え、一寸横にユングフラウが見える絶好のポジションに建っている。夕食には未だ間があるので、荷物も解かずに散歩に出掛けた、急斜面に張り付くように“アイガー”とか“ユングフラウ”とかのホテルや、シャレ―と呼ばれるこの地方独特の建て方をした3〜4階建ての建物が点在し、所々にシルトホルン行きのゴンドラやトラムの基地がある、絵葉書で見るような小さな村であった。
 散歩の途中から、俄か雨に降られてあわてて逃げ帰ったが、アイガーは姿を見せなかった。それにしても、今日は沢山の乗り物を乗り継いだ、朝から順に
 ツエルマット→ブリーク      BVZ電車      乗り換え
 ブリーク →カンデルシュテーク  SBB電車      途中下車
 カンデルシュテーク⇔二人乗りチェアーリフトでエッシネン湖
 カンデルシュテーク→シュピーツ  SBB電車      乗り換え
 シュピーツ→インターラーケンオスト   電車    乗り換え
 インターラーケンオスト→ラウターブルンネン 電車  乗り換え
 ラウターブルンネン→グリュッチアルプ ケーブルカー 乗り換え
 グリュッチアルプ→ミューレン  電車FLM鉄道   ホテル アイガー到着。

 シュピーツ迄のSBB(国鉄)以外は、夫々〇×鉄道とかの名前があるのだろうが判らなかった。ただ、インターラーケンオスト(オストはイーストで東、ベストはウエストで西)から乗った鉄道は乗る車両を間違えたらエライことになる、後ろの一両はベンゲンで切り離されてグリンデルワルト行きになる。
 まるで能勢電でイネムリしていたら、いつの間にか「日生中央」へ行ってしまうようなものだ。ホテル“アイガー”でのデイナーの最中、19:30分頃、 夕方此処に着いてからズーッと雲に覆われて一度も見えなかった「アイガー」が、ほんの一時、中腹に雲をたなびかせながら、真っ白なピークの姿を現わし、次第にアーベントロートに染まって行く様が見られ、慌ててカメラに収める幸運にも恵まれた。
 朝、ツエルマットを発つ時の雨降る中の寒寒とした気分に比べて、エッシネン湖での奇跡的な晴れ間、加えてこの夕方のアイガーの夕映えに出くわした事で、この旅も次第に盛り上ってきたような感じがした。サア―、明日はアイガー、メンヒ、ユングフラウを見ながらのハイキングと、ユングフラウヨッホ3573mに、例え電車で登るとは言え、我が人生で一番高いところへ立つ日だ!!。  今度こそ、見事に晴れた一日を期待して、オヤスミ。現地 10:30PM。

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