●タニコメ旅日記●
エベレスト街道を行く 3月16日(4日日)

――ナムチェバザール(3440m)を目指して――

 ※※  登竜門
 5:00起床でパクディンの朝を迎えた。  6:40頃外へ出てみると、白いピークが朝日に映えて輝いている。 コンデ・リ(Kongddi Ri 6187m)らしい。 素晴らしい夜明けだ、昨日の春霞みが懸かったような空気から一転してクリヤーな空気になったのも嬉しい。  山の高さも何となくリアリティーが出て来たように感じる。  8:00一寸前、3440mのナムチェバザールを目指してパクディン(2610m)を出発。  今日は標高差830mを登る日だ。
  特に後半の半分ばかりは、「ナムチェ坂」としてトレッカーに恐れられている標高差600mの急な登りが待ち構えている。  これを登り切ってナムチェバザールに達しなければ本当の山にはお目に掛かれない。  だけど余り張り切りすぎてもヤバイ。  急に高度を上げるのは高山病の元だ、馴化しながら登ることが大事だ。 昔の表現では、登竜門のような今日の行程だ。  それだけにサーダーもガイドも今日は『ビスタ−レビスタ−レで!』(ネパール語でユックリユックリ)と、頻りに言っている。  決して粋がったりして早足にならないように!。  私達にはその心配は無用だが・・・。

※   付くなッ!
 前半は川沿いの道で平坦だから皆の脚は軽い。 特に、昨日からやたら脚の早い人にペースを合わせているようだ。 そんな列の末尾ではあるが、付いて行こうとしてバタバタ歩いて行く明子に怒鳴った。 『付くなッ!』。
 そんな無謀な人に付いたら潰されてしまうぞ!。 おれ達にはおれ達なりのスピードがある。 特に、入りの30分や!。 ここで失敗したら一日中ガタガタになるに決まっているんや!。 離れろ!。
 時々吊り橋を渡りながらドゥド・コシの右岸左岸を行く。 チュモアで休憩した辺りまでは平坦な道だ。 9:00頃タムセルク(6623m)の全容が見えてきて感激。 私達の足は遅い、他の人達とは離れて進みながらあちこちキョロキョロ。 大きな材木を運ぶポーターやいろんな色のシャクナゲ、山の変化などあれこれ写真なんかも撮りながら結構楽しんで登っている。 10:20分ごろ?、チュモアで休憩。 遅れおくれながらでも、休憩地で追いつくパターン。 陽の中では暑いが日陰では背中がヒンヤリ。 長い吊り橋を渡り、道はやや登りになってドゥド・コシを高巻きし始めるとクーンビラ(5761m)がよく見えてきた。
 

エベレスト街道の地図はこちら EVEREST REGION

 10:35、モンジョ(Monjo 2820m)着。 ロッジ SUMMIT HOUSEで昼食。 先ほどからクーンビラが松の木越しに綺麗に見えている。 シェルパ族には「聖なる山」として崇められ、決して登らない山なんだそうだ。 クーンブ地方という地名もここから来ているのだろう。 ガイドのクリシュナ−の話では、この山は普段雪はつかないとの事だが今日は雪が付いて一段と見事だ。 帰りには此処で一泊する予定。 チャパテイ/ジャガイモ煮つけ/小魚の缶詰らしいもの/キウリ。 皆は美味いうまいと言ってお代わりしていたが、私はアツモノに懲りてキゥリは止め。

※   入山のチェックポイント
 午後の出発後間もなく、サガルマータ国立公園の入山チェックポイントに着いて入山手続き(11:45)。 ナンボか知らないが入山料を払って手続きOK。 僅かの距離だが強烈な下りで再びドゥド・コシの川辺へ出た。 平坦ながら、河原の岩道を進んでいる時だった。 チベットから流れて来ているというボテ・コシとの合流が見えて来た13:00ごろ雨が降ってきた。 朝はあんなに良い天気だったのに・・・。 やむ無くレインウェアー上下を着ける。 間もなく雨は、みぞれになり、雪に変わったが、かなりの降り方だ、周囲の山はたちまち真っ白になった。

※   標高差600m、一気の登り
 洪水被害を避けて随分高い所に吊り橋は掛かっている。 河原から吊り橋を渡りに行くだけで早くもキツイ登りを感じながら、長い吊り橋を渡る。 左下にドゥド・コシ/ボテ・コシの合流を見ながら、道はボテ・コシを眼下に眺める急坂の高巻きに入って行った。 いよいよ問題の急登に入ったのだ!。 トド松かな「?」、針葉樹林帯の登りは続く。 道は基本的には、長い年月ゾッキョが踏んで出来たという感じの土道に時々急な岩だらけの登りが続く。 3200m辺りでの休憩までは、息はそれ程苦しくはなかったが、それ以後は休んでは登り休んでは登りで、ピッチは次第に短くなって行った。 エベレストが見えるポイントがあるとの事だったが、その辺りでは雪が降りしきり、殆ど見通しは利かなかい。 明子さんの脚も重くなるばかり。

※  ナムチェバザールや!
 14:30頃だった。 『ナムチェバザールや!』。 ようやくナムチェバザールの村が見えてきた。 しかし此処からの登りが結構シンドイ、「ビスターレビスターレ」。 ピッチは更に短くなる、明子さんはバテ気味。 雪はすっかり止んだ。
15:25分、遂にナムチェバザールに着いた。 3410m(サーダーの高度計)、よくやって来た「!」とサーダーと握手、ガイドのクリシュナ−やパサンやソナムとも握手。 屋根の雪解け水が雨のように降る中をロッジに入った。 今夜の泊まりはシャングリラロッジ(SHANGRI−LA GUEST HOUSE)。
速い歩きの人達とは何時しか離れて、私達はガイドのクリシュナ−やパサン、ソナムとの五人だけになったが「ビスターレビスターレ」で登ってきた。
よう頑張ったな「!」明子さん。 えらかったエラかった!。

※※  ナムチェバザール(NAMCHE BAZAR)(3440m)
  山の中腹に馬蹄形に広がるかなり大きな村でシェルパ族の故郷と言われている。  平地というものは見当たらないが、段々畑状に沢山の建物が整然と並んで見映えのする風景だ。  以前にもポカラ周辺の2000m辺りで「何でこんな高いところに住むのだろう」と疑問に思い、今回は遥かに高い3440mにあるナムチェを頭に思い描いて不思議に思って来たのだけれど、今此処に立ってみるとそんな違和感は無く、一瞬標高を忘れる落ち着いた佇まいだ。  ナムチェの気圧は平地の2/3、酸素は1/2程度。
 5〜60mばかりあるだろうか、目抜通りの両側にはビッシリ店が並び雑貨やお土産等ありとあらゆる商品がぶら下がっているが、勿論山の用品なんかは全てここで揃えることが出来るようだ。  毎週土曜日にはバザールが開かれ大層な賑わいなんだそうだが、物資はネパール内だけでは無くヒマラヤを越えてチベットからも沢山運ばれて来るのだそうだ。
 部屋の窓から眺めれば、屋根の所々には雪が残っており日陰は真っ白だ。
ナムチェバザール (標高3440m) の朝


  正面には尖った二つのピークが見えるがまだ名前は判らない。  シェルパが運んで来る寝袋などの荷物がまだ到着していないから、メイ子さんは寒い寒いと言いながらあるだけの物を着込んでベッドに横たわっている。  高山病が心配だが頭痛は無いと言っているから大丈夫だろう。  今日はメイ子さんにはちょっとハードな一日ではあった。

※   エエッ!やっぱり治ってなかったの!
 夕食後、何となく「大」の感じになって行って見たら、やはり「軟」だった。 昨日のクスリが効いたのか、今日日中は“もう完璧”という感じになっていたのに、やっぱり治ってなかったの「?」。  又また坂本先生の4点セットを呑んで寝た。  朝方4時頃には今回で一番酷い「急行」になった。  どうも、ネパールの山では常に下痢に悩まされ続けだ。  又坂本先生の4点セットを呑んだ、こんなに抗生物質呑んだら腸内の善玉も悪玉も全ての菌が死んでしまわないかと心配になるが、取り敢えず頼れるのはこれだけだから・・ええいママよ!。

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