●タニコメ旅日記●
グランドキャニオンを目指して(4日日)

§  10月15日(金)  ―― 岩壁の底ザイオン国立公園を経てブライスキャ二オンの宿まで 長い一日 ――

   ※※  ネバダ州を通り抜けて
 生暖かい風に送られて8:00AMホテル出発。 朝の光の中で見ると、死んだような砂漠の只中で見ると、このホテルの佇まいは一層オアシスの観が ある。
  いきなり低い岩山を越えてデスバレーを出た所でネバダ州に入った。 走っているのはR−95、此処はモハべ砂漠。 今はラスベガス方面に向かって南下しているところだ。 こんな乾燥地帯にしては珍しく局地的な時雨が降った、こんな砂漠ではお湿りにもならんだろうが・・・。 周りは相変わらず疎らな枯草の砂漠だ。
 ジョシュの話では、この辺の砂漠にはガラガラ蛇やサソリ、タランチュラも居るんだそうだ。 なにも住んでいないように見える荒野だけれど結構多くの動物が住んでいるらしい。 8:50分、さっきから15分以上も真っ直ぐな道が続いた。 “とにかく何も無い”。 見えるのは遠くの山と荒涼たる砂漠だけ、この道以外に人工物は何もない。
 怪しげな小さな街を過ぎると又何も無いノッペラボーの単調な平原、ここは制限速度70Mile/H,ジョシュは120km/H前後で走っているがスピード感を感じない。
 10:00頃山を越えたらラスベガスらしい高層建物が見えたが、流石広大な原野、LasVegasまで30kmの標識。
 10:40頃  ラスベガス郊外でトイレ休憩しただけで中心街を一気に通り抜けた、この街には最終日再度来ることになっている。  ここで道はISR−5に入って東進。  11:00頃早くも荒涼たる砂漠地帯へ出て来た。  【物欲と歓楽と喧騒の塊みたいな街中と、砂漠のこの寂寥感】、このコントラストがスゴイ!。
 この道はMAX75マイル(120km)。  何時の間にかNEVADA州を抜けUTHA州に入っていた。
 12:30セントジョージの街、“パンダエキスプレス”という中華の店で昼食。  私は焼き飯/シュリンプ/マッシュとチキン炒め。  明子は更にヤキソバと豆などの炒め物、二人で14$。

※ ザイオン国立公園は巨大な岩の台地だった
 周りの景色は次第に“赤い山”になり右正面にザイオン国立公園が見えてきた。 15:30ごろ到着。 両側にそそり立つ巨大な岩壁に挟まれた狭い谷間の川沿いを暫く園内のバスで遡上。 世界最大級の一枚岩と言われるグレートホワイトスローン(732m)は周りの赤い岩とは違って巨大な白っぽい岩肌を見せているが、名も知らない周りの岩山も圧倒される巨大さで迫ってくる。 道が終った所からが、いわば今日の本番。

※ リバーサイドトレイルを歩く
   ここから川沿いの道を往復3kmほどのハイキング。 川沿いの道は平坦、迫って来る岩壁を眺めながら、やたら上ばかり眺めるだけのハイキングコースだ。 垂直ありオーバーハングありの壁には矢張りロッククライマーが取り付いていた。 主たる壁二箇所で見かけたが、此処もクライマーには人気のスポットなんだろう。
 リバーサイドトレイルの終点は川に遮られているが、ガイドブックによれば本当はこの先にもっと楽しい場面が待っているとの事だ。  川の中をジャブジャブ歩いて狭い岩の間を行くちょとした冒険コースがあるらしい。 私達は時間の制約もあって、道が途切れた所で引き返すのだから残念。
 我が明子サンは試しに靴下を脱いでそっと川に入ってみたが・・・。  「冷たーッ!」。  「とても長くは入ってられないヮッ!」。 上流から帰ってくる人を見れば、殆どは沢登り用の靴を履いていた。  何ということもないハイキングであったが車での長い移動の間の身体ほぐしになった。
わ−冷たーい! とても長くは入ってられないヮッ!。 この奥にはもっと楽しい冒険が待っているんだけれど・・・。 ザイオン国立公園。 リバーウオークの行き止まりにて。 2010.10.15.


※※  ブライスキャ二オンへ急ごう
 かなり時間も押している。  17:35ザイオン出発、ここで時差調整一時間進めて18:36にリセット。
 最早日が暮れたR−89、ジョシュは懸命に走ってブライスキャ二オンには辿り着いたが、夕暮れ近い空は雲が多くて見映えせず引き揚げた。 公園入り口のホテルに着いたのは既に20時を回った頃であった。

※ アメリカンビーフには完敗
 車の中から見たらさっきまでの昼間の暑さが一転、外を歩いている人達が皆フリースやフード付き外衣を着ているのにびっくり。 車外はかなり冷えていた。 当たり前のことで、山を少し下ってきたとはいえ此処の標高も2000mの高地なのだ。 今夜の泊まりはブライスキャ二オン国立公園入り口の“RUBYs INN”(ルビーズイン)。 私達の部屋は7012。
 かなり遅いチェックインなので、到着早々先ずは夕食。 バイキング料理なので私達は料理はビーフシチュ―/パイナップル/ビーツ/野菜サラダ/トマト。 ビールはバドワイザー。 ビーフの大きな塊、旨いのだけれど喰う程にてこずってきて遂にギブアップ。
 初日のヨセミテのステーキ  半分でギブアップ。 二日目のヨセミテのサーロイン  6割強で同上。 三日目デスバレーのラムステーキ 完食。 四日目ここブライスのビーフ   半分でギブアップ。 
こんな具合だ。 とにかくアメリカ人は大食いらしい、私達にはとても付いてゆけそうもない“完敗”だった。

※ 次第に「うっぷん」が溜まってきて
 今日も長い移動の一日であった。 8:00AMにデスバレー出発、ほぼ12時間後の20時過ぎにホテル到着。 その間ザイオン国立公園に留まったのは14:30〜17:30の3HR。 他に昼食やトイレ休憩などで都合2HR、ブライスキャ二オンの滞在1HRとしても6HRは車での移動していた訳だ。 今日は1.時間半ほどのリバーウオークハイキングで運動不足は幾分解消されたとはいうものの、10時間の 飛行機に引き続く連日の乗車疲れで大分運動不足を感じている。
  少なくとも今日までは、蜜を求めて花から花を渡り歩く蝶のように長い距離の移動で点と点を結ぶ旅に なっている。
  車での移動中にも多くの発見や驚きはあるから決して面白く無い訳ではないし、山岳公園の奇怪な風景や岩山のスケールにも圧倒される思いはしているが、いかにもそれは観光地を見て廻るだけの「外から眺めるだけの冷めた関係」にしか過ぎない。 自分自身の行動が無いから心も動かない。 「感激すれど感動は得られない」毎日になっている。 目下のところ私自身には「うっぷん」が溜まる旅になっているのだ。
 こんなままなら今回の企画に乗ったのは失敗であったと言わざるをえない。 なまじっか「西部アメリカ・・・ハイキング」というようなタイトルをつけるから乗ってしまいやすいのだ。 主催者側とすれば集客するため、という事情もあるのだろうけれど・・・。
 いずれにしても、企画に無理があることには違いない。 こんなに盛り沢山の山岳公園を巡るのは結局他の多くの人がやっている旅行と同じことになるのではないか「?」。 何処と何処の都市を巡り、どの寺院もこの遺跡も入っている、全部で幾つの名所旧跡を巡る“上っ面”だけをなでる、【数】だけが勝負みたいな旅行と本質的に変らないことになる。 とにかく、明日からはもう少し私の満足度が高くなることを期待しよう。
 只今ユタ時間10/15(金)10:50PM。

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