●タニコメ旅日記●
グランドキャニオンを目指して(6日日)

§  10月17日(日) ―― アーチーズ国立公園へ ――

        ※※  黄金色に輝くブライスキャ二オン
 しつこい人達ばかりだ。 「夕日に染まる」「あるいは朝日に輝く」というようにブライスキャ二オンは光との関係で趣きが変るといわれている。 冬支度で早朝から出かけたサンライズポイントで見た光景は確かにガイドブックや人の話を裏付けるものがあった。
「黄金の殿堂」。 朝日に輝くブライスキャニオン 2010.10.17.

 7:30 向こうの山から日が昇って暫く間があったが、朝日に輝く尖塔群はまさに“黄金に輝く殿堂”の趣があった。 一方昨日夕方曇り空の下で見た同じ光景は“いかにも寂しげな”雰囲気を醸していたような気もするが・・・。

※ 今朝は不機嫌
 昨日よりは幾分良くなったけれど体調は余り感心しない膨満感があり尿の出も悪い。 自宅に居た時とは生活状態は変ったけれど、関係の有る無しは判らないまま差当たり経験の無いクスリを止める事にした。 足に痛みは出ていないから【プロナード】と【痛み止め】を今日から止めた。 【健王丸】と【ビオフェルミン】【坂本先生の胃薬】を今日から始める。
 ところで、昨夜は上の階のヤツ等が遅くまでドタドタと喧しくて寝付けなかった。 何で部屋の中をあんなにドタバタ歩き廻らんならんのや!。 このドアホが!。 今朝はフキゲン。 だけど一つは良い事があった、快便が出た。

※※  先ずキャピトルリーフへ寄ってからだ
 サンライズポイントから帰ってバタバタと朝食後9:00 出発。 先ずは途中にあるキャピトルリーフ国立公園へ向かってR−12を北上する。

※ 見事な全山“アスペン”の黄葉に歓声
 引き続き山岳地帯を走っていたが、11:00高度を上げて峠にさしかかった時に見た光景に歓声を上げたのだった。見える斜面は一面アスペンの黄葉であった。 此処は標高2800mのボルダ―(Boulder)の峠だ、此処はユタ州のド真中。 高橋Qちゃんのボルダ―とは違う場所。
全山「アスペン」の黄葉をバックに“イエーい”。 2800mのボウルダーの峠にてゴキゲンの明子サン。 此処はユタ州。 2010.10.17.

日本名は【ヤマナラシ】 木肌は真っ白で一見シラカバと見間違えそうだが、葉がやや大きくポプラの仲間、 山下さんの解説では、この木は竹のように地下茎で繁殖するのだそうだ。 DNAを調べると森のかなりの部分が同一であったりするそうだ。
 峠を越え長い下りに入った頃、強い雨が降ったが直ぐに止んだ。 この大陸では標高の高いところでは時々は雨があるようだ。 左に見える山は雪。

※ 初めて美味いハンバーガーに出会った
 途中の店【SUB WAY】で昼飯の買出し。 “具”をチョイスして作ってもらうハンバーガー屋さんで要領が判らずオロオロ。 ターキーハム/トマト/レタス/オリーブ/味付けはマスタード。
 10分ばかりで着いた公園のコットンウッドの大木の下で今日もピクニックランチ。 この国に来て初めて美味いハンバーガーを食った。

※ キャピトルリーフ国立公園
 白や赤の層が年輪のように積み重なった岩山に囲まれた国立公園。 私の眼には今まで見てきた岩山のスケールと比べてドエラク目立つ景観でも無いように見えたが、人気の秘密は別にあるようだ。
 入植した白人が建国してから未だ歴史の浅いU.S.Aにあっては、800年前に文字を持たない原住民族が岩に刻んで残した不思議な絵は貴重な歴史資料として人気があるようだ。 明らかに【人】の形をした絵と【鹿のような動物】更に【不明な絵】が横一列に並んで手を繋いでいるように見えたが・・・。 この絵が何を意味するのかは現在も判明していないのだそうだ。
この点日本における西暦1200年とはかなり意味合いが違うようで面白い。

※※  いよいよアーチーズ国立公園を目指して
 14:10 いよいよアーチーズ目指して出発、道はR-24を東進。 相変わらずの荒涼とした原野と低い岩山の横スジが目立つぐらいのものだ。 他には何もなし。 目に入るのは広漠たる原野に続く一本の長い長い道と大きな空だけだ。
 R−70に合流して間もなくの15:00 グリーンリバーの街で休憩、私は此処でもアイスを食べたが明子は腹具合が悪いようで好きなアイスもパス。 間もなく渡った川(グリーンリバー)は名前とは違ってレッドリバーみたいであったが、こんな砂漠地帯を流れる川にしては水量は豊かであった。 コロラド河の支流という事だ、ここで初めてコロラド河という名を耳にした。
 広野の中で鉄道線路を高架で跨ぐのも、むしろ変った風景に見える。
 車窓から見るどんな変った形の岩山ももう驚きは無い、少々の変った風景ではアリキタリになってきたのだ。 15:40、道を右にとりR−191から更に―313へとった。 両側が只の枯草色の平原から多少の疎林地帯を登って間もなくの16:20、見た所何の変哲もない小さな広場にジョシュは車を停めた。

※ ウオ―ッ これがコロラド河かぁ―
 それは突然であった、何の変哲もない平原の出っ張りと思っていた足下がいきなりバッサリと切れ落ちた断崖があった。 デッドホースポイントだ。 広漠たる平原にナイフを突き立て、ギリギリと大地を断ち割ったようにして出来た断崖の下600mを流れるコロラド河は急角度に方向を変え、極端なヘヤピンカーブを描きながら流れていた。
ウオ−ッ! これがコロラド河かぁ−!。 水面は遥か600m下。 けれどグランドキャニオンは未だ遥かな彼方だ。 ユタ州東部デッドホ−スポイントにて。 2010.10.17.

『そうかぁ―、これがコロラド河かぁー』。
『とうとうここ迄来たんやなぁ』。
 初めてコロラド河を眼下に見る断崖に立った時、長い時間車に揺られてようやく「コロラド河流域に入った」という喜びがこみあげて来たのであった。 それでもここは未だ随分と上流、グランドキャ二オンは遥か何百キロの彼方だ。
「コロラド河」という声を聞いて、何となくグランドキャニオンに近づいた気分やなぁー。 ユタ州デッドホースポイントにて、ちょっと嬉しくなった二人。 2010.10.17.

 河の蛇行との見合いで削られて出来た半島のような台地、ボトルネックの何十メーターだけに柵を作れば馬の放牧には打ってつけの場所になる筈であった、“水が無い”という只一点の欠落を除けば・・・・。 絶好の放牧場を見つけたと思ったが、馬も水なしでは生きられない ここはデッドホースポイント(馬も死ぬところ)。

※ 今度こそアーチーズへ
 7:00、時間も遅くなった先を急ごう。 今見た景色で何となく心が穏やかになった。 朝は冬だったが、ここではこの時間でもTシャツで丁度いい気持。
 カーブの多い下りを走りながら、車の中では山下さんお好みのナツキングコールの娘さんが歌うリズム&ブルースが掛かっている。 俺達の時代はエルビスプレスリーのロック、シクスティントンズ、監獄ロック。 けれどスタンダードナンバーでは、よく父親の「Smoke get in your eyes 」が掛かっていた。

※※  夕暮れ迫るノースウインドウやサウスウインドウを散歩
 17:30頃アーチーズ国立公園に着いた。 柔らかい下層(ナバホ層)の上に硬い上層(エントラーダ層)が乗った地層の下層が雨で溶けた後に残ったアーチや微妙なバランスを保った巨大な積み石が無数に集まっている山だ。 アーチとその向こうに見える空や雲とのコラボレーションが見所。 日本で言えばさしずめ“メガネ岩”と云うようなサウス/ノースウインドウなどを見ながら暫く散歩を楽しんだ。

※ 今夜の泊まりはモアブの街の【Best Western 】
 モアブはそこそこ大きな街のようだ。 ホテルに着いたのは既に19:30頃と遅かったから、そそくさと夕食に。 今夜はちょっと雰囲気を変えて、イタリアンレストランでシュリンプ入りのパスタやピザでの夕食。 私は地ビール2杯、明子はバドワイザー1杯夫々中ジョッキ。 TAX込で18$。 一応美味しく戴いた。
 今日は大分遅くなった割にはスケジュールは進んでいない。 明日は一寸無理して早や発ちの予定。
 今日は実際には車での移動が殆どであったから全くの受身のView Pint観光になってしまったが、その割には気分的には楽しい一日であった。 私なりには、見れば見るほど西部アメリカの広さ大きさに圧倒され、20億年前からの大陸の生い立ちを垣間見て地球の歴史の一端に触れ、そして何よりコロラド河をこの眼に映したことでグランドキャニオンの気配を感じたことであった。

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