●タニコメ旅日記●
グランドキャニオンを目指して(7日日)

§  10月18日(月)  ―― 一寸長いハイキングを楽しんだ後モニュメントバレーへ ――

※※  デリケートアーチへ5km程のハイキング
       頑張って7:00AMにホテルを出発、再びアーチーズ国立公園へやってきた。 今日は一寸本気のハイキングだ。 生憎の小雨になったから、私は上だけ明子は上下共レインウエア姿になった。 8:00デリケートアーチまでのハイキング(Delicate Arch Trail)に出発。 幾らも行かない内にジョシュは風邪でダウン、リタイア。
 歩き始めて間もなくからコースは全山岩山のコースになった。 巨大なスラブの斜面を行く長いハイキングコースは今まで見た事は無い、勿論日本には無い。 霧雨に濡れて、遠目にはテカテカ光るスラブの登り降りは見るからに滑り易そうで心配されたが杞憂であった。 此処は日頃は乾き切ったアメリカ西部の岩場だ、コケ類や地衣類も殆ど着いていないから見掛けとは違ってトレッキングシューズの裏はしっかりグリップが利いて快適な登りだ。 長いスラブを登りきり一段と斜度を増した長い廊下のような岩場の路。 幅1mばかりの左側は崖、右側の岩壁を回り込んだ時それは突然目の前に現れたのだった。
その岩の角を廻ったら!! アッと驚く光景に出会ったノダ−!。 デリケートアーチが見える直前の明子サン。 アーチーズ国立公園にて 2010.10.18.

 テカテカの岩山のテッペンに微妙なバランスを保って聳えるアーチ状の岩、デリケートアーチだ。 何時からこの逆U字の姿で存在しているのかは知らないが、よくぞまぁ―こんな所で、こんな姿で立っているものだ!。地震の無い大地だからこその景観といえるだろう。
 雨は止んだが滑りやすそうな岩場でへっぴり腰になりながら、我が明子サンは無邪気に遊んだのでした。
何で!?。 こんな所に立ってラレルの!?。こんな山の上で!。 岩盤のルートを登ってきたらこんな不思議が・・・。 アーチーズ国立公園。 2010.10.18.

アメリカ西部の気候は、事前の情報では大分冷え込んでいるから冬支度が必要とか、時には暑くてたまらん場面もあると云われて大分身構えて来たが、今日までのところ朝はやや冷んやり日中は一寸暑いという程度で大阪の10月中旬と大きくは変わらない。

※ 差し渡し93mの巨大なランドスケープアーチを見に
 既に天気は回復、陽がさして暑くなった中、岩のトレイルをトントンと快調に下って来た。 2時間半ばかりの愉快なウォーキングであったが、車で一寸だけ移動してもう一度ハイキング。
 11:00、今度はデビルスガーデントレイルで(Devils Garden Trail)で砂の中のハイキング。 砂漠の中に生えたように立つ奇怪な姿の岩山の間を縫って、歩き難い道を進むと間もなく巨大なアーチが現れた。 差し渡し93mだというアーチは見た所ほぼ半円に近い感じ、流石にこれは見事であった。 何時崩れ落ちてもおかしくないような薄い部分も見えて危うい感じもするが・・・。
 俺たちが知らない昔からずーっとこの姿で突っ張っているのだろうからそんな心配は無用。 岩山が生成した過程の偶然というのか、神のイタズラというのか判らないが力学的に最も強い円形に硬い層が積層した不可思議を思う。
 ほぼ直下まで来ていながら生憎曇り空だから惜しい!。 スッキリした青空を透かしたランドスケープアーチは見事だろうな!。
差し渡し93mもあるんダッテ!。 落ちないのが不思議ネ!!。 やっぱり大きいランドスケープアーチをバックに。 アーチーズ国立公園デビルスガーデンにて。 2010.10.18.

 12:20、1時間半ほどだったけれど少ない時間の割には印象深いウオ―キングであった。 朝から続けて二つのトレイルを歩き、夫々に不可思議な光景に出会いはしたが、やはり自身の脚を使って出会った場面だけに一層印象深い時間であった。 カナダでもそうであったが、アメリカでもハイキングやトレッキングコースは“トレイル(Trail)”という。

※※  モニュメントバレーは想い出の西部劇の舞台だった
※ モニュメントバレーにはビール売ってない
 最後にこの公園の代表的な一つバランスロックに立ち寄った、3600トンもあるという、人の頭のような格好の大岩は微妙な姿勢で首をかしげて乗っていた。
 とにかく一日中これでもかこれでもかという程岩の中だ、歩いても車で走っても常に岩山の中。 一旦戻ったモアブも岩山に囲まれた街であった。
 スーパーで昼食などの買出し。 ナバホ族自治区であるモニュメントバレーにはアルコールは売ってないが、レストランやホテルの部屋で飲むのはOKだとのことなので昼食と一緒にビールも仕入れようとしたが小缶のバラ売りは無い、半ダースセットしかなかった。 仕方なく710ml缶も2本仕入れて、これでよし!。

※ この“おイナリさん”はちょっと喰えんなー
 今日は時間が無い。 車の中での昼食になったが、メニューはなかなか宜しい。 明子サンが見付けた“いなり寿司”とアボガドが入った“のり巻き”、それに売り場が判らなくてスーパーの兄ちゃんに聞いてやっと探し当てた“グリーンティ―”。
 ところが、のり巻きはまぁー何とか喰えるものであったが“おいなりサン”はとても喰えたシロモノではなかった、寿司メシがまるで糊みたい、これでは【舌切りすずめ】ではないか(これ、ちょっと古過ぎる?)。 おまけにやっと探し当てた“グリーンティー”がいけなかった、何となく緑茶色はしているのだけれど、お茶の味がしないばかりか丸で砂糖水だ、甘くて飲めたものではなかった、何とこれが又710ml缶。 缶には漢字で【緑茶】と書いてあるだけでなく【ウメの模様】まで描いてあったのに・・・。
 外国で【グリーンティ―】という物に騙されたらアカン!。 だけど、これって何時か何処かの国で飲んだのと同じような味だ!。 こんな事なら只の水の方がナンボか良かったなぁ―と、後のまつり。

※ 遥かなる大平原の道
 ナバホ族の管理地区に向かってR-191を一路南下している。 ジョシュの運転は凡そ60〜75マイル/H(凡そ100〜120km/H)。 周りは相変わらず多少の起伏のある広漠たる砂漠(デザート)だ。
 15:20ブランディングでトイレ休憩。 山は遥か地平線の彼方に去り一面の大草原の中を走る一本の直線、これがユタ州の道だ、何度も云うが「他には何もない」。 確かに恐ろしく広い大地だけれど、このスゴイ面積でも○○エーカーで数えるのかな「?」、数え切れんやろ。 何千平方マイルかな「?」。
 時々ほんの一部だけ牧草地帯はあるけれど、他はブッシュと疎らな雑草があるだけ他には何もない。 それでも道路の周りには防護柵か境界かの鉄線が張ってある、何するの「?」。 ウシの一匹も見えんが・・・。
 映画で見た何百頭何千頭の牛なんてーのはどんな牧場に飼ってるの、今日まで一度も見ていない。 せいぜい10頭とか30頭ぐらいがタムロしているのを見掛けただけだ。 この程度では我々の家庭菜園風に言えば「家庭ウシカイ」みたいなもんだ。 ジョシュの話ではこの辺りには牧場は無い、大牧場があるのはもっと上(北)の方アイダホとかオレゴンの方だとの話。

※ ナバホネーション(ナバホ族自治区)(ナバホ居住区)
 所謂【インデアン】と呼ばれる原住民は562部族あるらしいが、その一つの部族のナバホ族30万人位が居住する区域。 合衆国政府の保護の下に、どの州からも全く独立した行政区になっている。 地理的にはユタ、アリゾナ、コロラド、ニューメキシコの四州に跨る広大な地域のようだ。

※ まさに西部劇の世界
ビュートの陰から矢が飛んできて、幌馬車が倒れ、インデアンの襲撃だ!。 みたいな風景。 此処はユタ州とアリゾナ州にまたがっている。 モニュメントバレ−にて。 2010.10.18夕方。

 「バラバラッっと飛んで来たインデアンの矢、ドーッと転げ落ちる御者、暴走する幌馬車、倒れた幌馬車を盾に銃で応戦する白人、荒野の向こうに見える台形や塔のような奇怪な岩山」 50年以上も昔の、カスミがかかった記憶に残っている西部劇の舞台だ。
 16:30サンワン川を渡ってナバホ居住区に入った。 次第に見えてくる台形や塔のような岩山はまさに映画そのものだ。 しかし現場で見る姿は、広漠たる原野に突如として屹立している巨大な岩塊だった。
ここでジョシュの解説。
ビュート:四角い椅子のこと(台形の岩山)。
メイサ :横長(横長の岩山)。
スパイア:教会の尖塔(高い塔)。

ナバホ語のお勉強。
 今日は     :ヤッテへ
 さよなら    :ナイ
 さよならマタネ :ハコネ
 ありがとう   :アヒヱへ
 すごい     :スゲへ
 はい      :オウ
 おいしい    :ハラカン

※ しばし若き日の想い出に浸ったって
 17:40、ナバホの兄ちゃんが運転する四駆に乗ってビューポイント巡り。 暴れ馬に乗っている如くに跳ね回る車にしがみついて山道を行った先は何と「ジョンフォードポイント」、ジョンフォード監督が映画の撮影によく使った場所。 まさに西部劇の舞台になった風景を眺めながら、暫し若き日の想い出に浸ったのでありました。 今も記憶にあるインデアンはアパッチ族やコマンチ族シャイアン族などだが、西部劇の想い出は何故かジョンウエインと重なるのであった。
 「事実は小説より奇なり」と云うけれど、別段小説のストーリーでなくても、此処に立てば【神がこの大地を創造するにあたって一寸イタズラ心を起してみたけれど、まさかこんな姿になると迄は想定しなかったのではないか】と思われるような実に奇抜な景観であった。 だけど、岩が突出したのでは無い、周りが溶けてこれだけ残った姿なのだ。
 遥かな平原の向こうから突如として立ち上がった不可思議なる岩の台地や林立する尖塔など、異界を見る思いで眺めていた。
砂漠の中に岩山が出来たのではない。 周りが溶けて平原になり、岩山が残ったのデス。 ユタとアリゾナの州境。 モニュメントバレー。 2010.10.18。

 毎日々岩の世界を見ているのに、行程を進める毎に夫々に特異な世界があり新たな驚きがある。  映画では無く今目の前にある雄大な景観。  アメリカ西部は広い!雄大だ!。

※ インデアンディナーの夕べ
 すっかり暗くなった砂漠の岩山の下。 仮設テーブルでナバホの人達が造ってくれた“タコス”を戴いた。 ドデカイ台生地に/ビーンズの甘煮/レタス/トマト/オニオンのこま切れを載せたものに/焚き火で焼いた網焼きステーキ。 ドリンクはコーラなど。
 暗闇の中で、乏しいテーブルランプの下で戴いた。 食後のコーヒーはいわゆる【アメリカン】、ちょっと甘かった。
 ところが残念なことに折角買ってきたビールはホテルの冷蔵庫に入れたまま。 この食事のために買ってきたのに・・・。 けれど、例え此処へ持ってきていたところで冬支度して寒さを凌ぎながらの食事だったのだから、冷えたビールどころではなっかたから、まぁイイか!。
 食後は、太鼓とタテ笛の伴奏でインデアンの伝統衣装でインデアンの踊り、最後は私達全員も入って「ホッホホッホ!」と叫びながら輪になっての踊り。 ホテルに帰ったのは20:30であった。

※ 一寸違和感を感じる “THE VIEW HOTEL”
 真っ暗な砂漠の中に燦然と輝く不夜城のようなこのホテルの佇まい、リゾートホテルと思えば宿泊客の私達には快適だけれど余りの立派さに違和感があった。 観光は、他に定職を持たないナバホの人達の貴重な収入源だからこれも致し方ないのだろうけれど、ナバホの伝統を売ったり古いしきたりを擲ってまで生活の糧を得る手段にするのは複雑な気持やろな「!」「?」。

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