●タニコメ旅日記● |
§10月20日(水)―― ブライトエンジェルトレイルを歩く ―― ※ 今日の段取り 早朝にグランドキャニオンの朝日を見た後に一旦帰って朝食、その後にブライトエンジェルトレイル(Bright Angel Trail)のハイキングに出かける。 ※※ 今日こそ待っていた日だ! 今朝は早起きだ。 只今5:45AM 起きたところだ。 時差16Hとすれば大阪はもう10月20(水)夜の9:45か。 “こゆき”も夕起に怒られんようにミャーミャ―云わんとイイ子で寝るんやデェー。 6:00 突然の雨。 かなりの降りや、日の出どころのサワギではないぞ!。 それにしても、何でや「?」。 昨夜は綺麗な上弦の月やったし、満天の星空やったのになんちゅうこっちゃ。 ブツブツ云っている内に雨は止んだ。 どうにも解らん天気や!。 ※ 雲間より朝日が! どうにかなるかも「?」の期待を込めてマザーポイントへ。 6:30 怪しげな雲行きの中暫く待つ内に雲間から朝日の気配が・・・。 覚悟して冬支度で出かけたからよかったもののかなり冷たい朝の空気の中でどうにか朝日のグランドキャニオンを見る事ができてラッキー!。 ※ この天気は「嫌がらせ」か! 一旦ロッジに帰って荷物を纏めて改めて出発。 7:45 取り敢えず朝食という事でBright Angel Rodgeのレストランに入る頃には又怪しげな雲行き。 間もなく雨、暫くは降ったり止んだりしていたが・・・。 9:10 今度は土砂降りの雨風と、雷まで、要するにえらい嵐だ。 これには参った、崖を下るどころの騒ぎではないぞ、このために来たのに!、クソッ!。 イヤガラセか!。 アリゾナくんだりまで来て! 何しに来たんや!!。 物凄い稲光、バリバリという雷鳴。 グランドキャニオンストームやな「!」。 それでもシブトク待機。 明子サンは売店でウロウロ、私は外のベンチで空を眺めて・・・。 ※ やっとブライトエンジェルトレイルを降る この辺りの天気はこういう傾向なのか、今日の気象がそうなのか判らないが天気の変化は速い。 アッと云う間に天気は回復。 ![]() 9:50 この天気が何時まで持つのか判らないが、用心してレインウエア上下を着てやっと念願の ブライトエンジェルトレイルを降りて行った。 ![]() 垂直のような崖に付けられたジグザクの道は幅が2mある無し山側は垂直の壁、反対側は落ちたら何処で止まるか判らない崖。 先程の雨で赤土の道は滑ってやや危険だ。 明子はダブルストック、私はシングル。 道にはミュールというラバの糞が落ちていて臭い。 この長い長いツヅラ折れのトレイルは、行きはヨイヨイ帰りは怖い坂。 どんどん降りて行けるが登りは中々シンドそう、少なくとも下りの2倍位の時間がかかるだろう。 遥か下に見えているプラトー(台地)までの一日での往復は止めよ!という注意の標識が立っているが、山下さんの話では少なくとも10時間はかかるし暑さで参ってしまうらしい、何人も死んでいるとの話であった。 ミュール(ロバと馬のアイの子、“ラバ”)に乗った一隊が登ってきた。 そういえばこのトレイルにはミュールツアーというのがあると聞いたな。 一見して馬と変らない感じの背中に乗ってプラトーまで往復のツアーらしいが、5〜6頭で登ってくる姿だけを見れば楽で良さそうだけれど、この急坂を下る時は一寸怖いだろうな。 10:30頃ちょっとした見晴台で休憩。 ここ迄はトントンと快調に降りてきたけれど帰り(登り)の時間を考えるとこの辺までが限界との山下さんの判断。 内心はもっとドンドン降りて行きたいが、今日は雨でスタートが大幅に遅れたのだから仕方ないか。 1マイルポイントの少し手前だけれど、ここから折り返した。 此処からでは上空を眺めても、それ程谷底からという感じはしないけれど真横に張り出した垂直の岩壁からはやはり谷に入った感じはする。 ![]() 帰りは全て山登り。 太陽サンサンの天気になり、レインウエアを脱いでも暑い!。 Tシャツ一枚になって汗を流しながら、ドロまみれの足下で11:30頃ジョシュが待つバスに帰ってきた。 ![]() 多くの日にちを費やした揚げ句、朝方の大雨が祟って幾分の物足りなさは残るけれどこんな事も ある、ようやくグランドキャニオンの内側に少しだけでも足跡を記し汗を流して行動して、念願の 半分でも果たしたことで私は一応納得、明子も満足したようだ。 『良かったなぁ―明子!』。 この時私達。 谷 幸一 72歳8ヶ月 谷 明子 68歳1ヶ月。 だからボクの旅はこれでもう終わりみたいなもの。 ラスベガスなんかはもうどうでもエエよ!。 ![]() ![]() ※ ミュールって? ロバと馬のアイの子で、“ラバ”のこと。 ジョシュの解説では、身体も馬並に大きく力持ち。 気性はオトナシイが頑固らしい。 アメリカでは「ラバのように頑固な・・・」と云う言い回しがあるとの事だった。 ※※ ラスベガスまでの長いドライブ 予定のスケジュールは終った。 午後のドライブを残すだけだが、改めてアメリカ西部の印象を心に焼き付けておこう。 ※ ジョシュの【えと】はバクか? 11:30過ぎグランドキャニオンを出発。 松林の中を走りながら、何故かジョシュの話になった。 大喰いのジョシュ。 世の中にあるものは全て食い尽くして、夢まで喰うバクのようだ。 まだ若いのになぁ―。、 『1978年9月生まれの25歳!』。 『ヱェッ!。ウソやろぅ?』危うく一杯喰わされそうになった。 『俺は1938年生まれの72歳やでェー、危ない アブナイ』。 ※ 突然“ヒョウが降って”一面真っ白 車はカイバブナショナルフォレストの中をドンドン下って行く。 グランドキャニオンのリムは2200mのかなりの高地だから平地までは長い下りだ。 11:45 深い森を抜けて、相変わらずの下りだが周りは又荒野になった頃突然の大雨。 もうエエんや、好きにしてくれ!。 俺達は間一髪のラッキーであったようだ。 12:00 ウイリアムスに程近い辺りを走行中、一旦止んだ雨は今度はカミナリを伴った猛烈な降り。 更にこの雨は“ヒョウ(雹)”に変った、たちまち道路は真っ白、周りの荒野の裸地も真っ白、まるで雪が積もったみたいだ。 10分もすると雹は雨に変り、道路も只の水濡れ状態。 12:15 雨も止み早くも薄日が射して来た、曇ってはいるがもう何事もなかったような天気。 僅か30分の間に天気は激しく変った。 私はそのように理解したが、その間も車は走り続けているのだから、この地方では天気の状態は局地的に変化しているのかも知れない。 ウイリアムスで車は大きく方向を変え西向きのR−40に入った、標識は判り難いがどうやらこの道はR-89と共用になっているみたいだ。 車に陽が射しこんで暑いぐらいだ。 長い下り、遠くに見える平原まで下ればほぼ平地かな?。 ウソみたいに真っ直ぐな道、素晴らしい片側二車線。 ※※ ヒストリックルート66の街セリグマン 13:10 R-89と分かれて間もなくジョシュはR-40を降り、オールドファン憧れのヒストリックルートいわゆる“ルート66”に入った。 『サトシ君も一度走りに来たら?』なんてウワサしながら最初の街セリグマンに着いた。 ![]() 道端に店屋があるだけの何の変哲も無い古い街で一寸した買い物など。 人気のアイスクリーム屋は行列が出来ていて諦めた、と言っても5〜6人だったが・・・。 勿論動く訳ではないが、アメリカ人にとって古き良き時代の代表みたいなダッジなどのオールドカーがあちこちに置いてあったりして、沿道沿いの店や街の佇まいは全て古いアメリカの再現だ。 突然の強風に舞う枯草。 白っぽい枯草の固まりが強風に煽られて道の上をクルクル舞う姿なんか、昔西部劇でよく見たシーンだけれどこの街の佇まいと妙にマッチしていた。 ※ どうにも慣れない【サイズ】 “West Side LILO’S”で昼食。 私はホットローストビーフサンドのハーフ、明子はターキーサンドのハーフ。 ドリンクは私はコーヒー、これは一応マトモ。 明子はコーラ、スモールを注文したが、まるでジョッキにビックリ、1リットルはありそうだ。 普通は更に大きいのだそうだ。 ジョシュに、こう云うのを「ゲイイン(鯨飲)」と言うと教えた。 ※ 台風情報 先程からTVはしきりと台風情報を伝えている。 13:45 ジョシュのケイタイにニュースが入った。 台風でグランドキャニオンは入れなくなったそうだ。 今から行くラスベガスなども嵐のようだから暫く待機したほうが良いとの情報。 『オーゥ、オレ達はついていたぜ!』 ※ “ルート66”で行こう 14:40 ハーフでも有り余るサンドやドリンクのサイズに仰天しながらの昼飯、二人で23.77$を喰って、訳のわからんブツブツが入ったアイススティックも喰ってようやく古のルートシクスティーシックスの街を後にした。 キングマンの街まではR-66とハイウエイR-40は平行して走っているからドッチを行く「?」。 R−66をチョイス。 ![]() めいこサンはサトシ君への土産に薄茶色の【R-66の標識】をカメラに収めようと懸命だ。 左に遠くナショナルフォレストを見ながらのR−66は、砂漠の中を突っ走る恐ろしく長い真っ直ぐな道だ。 ジョシュは70マイル/H(110km/H)で走っている。 右側には次から次に赤い標識が立っているが、眠気防止のためのクイズのようなものだそうだ。 それほどの長い一直線を走る、MAX65Mの標識。 16:00 キングマンの街でR−66とはお別れ。 ジョシュはラスベガスへの近道のようなR−93に入ったが、これも立派な高速道路、 何処へ行っても道路は立派、流石アメリカは自動車の国だ。 R−93はやや北向きに走ってラスベガスまで一本道、後2時間ばかりだそうだけれど、またまた道は『マッス― ― ―グ』とジョシュの弁。 16:45 ラスベガス80マイルの標識、という事は後一時間半ばかりで着くみたい。 いよいよこの旅も大詰めを迎えようとしている。 けれど今走っているのは、只の原野の中にポツポツと住居らしい小さな建物があるだけの砂漠地帯、とても一時間余りの所に一大歓楽街があるような雰囲気は感じられない不思議な感覚だ。 ※ こんな草にでも共存するための【智恵】があるのに 乾いた砂漠に生えている草の配置というのか、生え方が面白い。 測ったように一定間隔で生えている。 ジョシュの説明によると、砂漠で生命を保つために地下に張った根の先端から毒を出してお互いが他の根の侵入を防いでいる。 自身を守る水分を確保する【智恵】を持っているのだそうだ。 この話、あの狂った連中に聞かせてやりたいなと思った!。 領土や領海と名がつけば「それは我が国のものだ!」と言い張り、当り屋みたいな真似をして喧嘩を仕掛けてくる膨張主義一点張りの近隣の狂った独裁国家。 敗戦のドサクサに火事場ドロボウみたいなやり方で、武力で四つの島を占領した揚げ句「ここは古来から我が国の領土」とか嘯いているツンドラのキツネ(ホンマはハイエナと言いたいところを大まけにまけてキツネにしといたら−)の国。 こんな連中にはこの草の根でも煎じて飲ませてやらなイカンな!。 こいつ等には皆が共存するための【智恵】もないんか!。 ※ ラスベガスの気象 年間降雨量100mm以下。 年間300日は晴れている。 夏が長い、気温は40℃近くなる。 冬が長い。 春と秋は極端に短い。 ※ 郊外のカジノでちょいとトイレを借りた フーバーダムに架かる新しい橋を渡り切ったところで再びネバダ州に帰ってきた。 このダムは琵琶湖の100倍の貯水量があるとの話。 ここはまだラスベガスの大分郊外だけれど、早くもキンキラキンのネオンサインが現れた。 まるでパチンコ屋みたいな感じの郊外のカジノだ。 ここで一寸トイレを借りた、ついでに広い駐車場をチェックしてみた。 オクラホマ、カリフォルニア、テキサス、ユタ、アリゾナ、イリノイ、勿論地元のネバダ。 こんなナンバーの車が停まっていた、郊外のカジノにもアホなオッちゃんが暇つぶしに来てゼニを捨てているようだ。 けれど此処にはキャデラックは一台も見当たらなかった。 ジョシュの話ではそんな車の人はこんな郊外でなく中心街へ行くそうだ。 ※※ ラスベガスの夜 18:30 一寸したパス(峠)を越えた途端に「忽然と」いう感じで燦然と輝く夜のラスベガスのシテイ−が現れた。 昼間に通過した台風の大雨で、市内は道路まで濁流が流れて、まるで川の様相、大変な混雑だ。 年間降雨量が100mmに満たない地方ではこんな情景は滅多にないそうだから、ジョシュは停滞している車の中から、道路を流れる水に写ったネオンサインなどの色が「絵になる」といってシャッターを切りまくっていた。 ※ 久し振りの和食に満足 まだ小雨が残る市内、夕食は和食レストラン“HAMADA(濱田)”で。 私は天ぷら、明子は寿司。 ビールは朝日。 久し振りの和食に満足、ビールもすすんだ。 近所のテーブルを見るとガイジン(当たり前だけれど)同士が不器用に“箸”を動かしているのが可笑しかった。 ※ ホテル“モンテカルロ”(Monte Carlo)の夜 32諧建ての大きなホテルだ、1Fの半分ほどがご存知カジノ。 隅の方にレストランやCafeがあるが、取り敢えず明朝の食事の場所を探すのも一苦労、ジョシュの案内で、「エレベーター降りたら“Cafe”のラインに沿って、帰りは“ロビー”のラインに沿って行けという具合。 床のカーペットにラインが入っていた。 私達の部屋は19FのR#222、部屋に入ったのは20:50ごろであった。 今夜のラスベガスは台風の影響で名物のショーも中止。 勿論100万ドル稼ぎに行くという人も居ないから寝るだけ、私はそれで満足。 大きなホテルだけれど中味は悪い。 冷蔵庫無い、水のサービスも無い、コップも無い、コーヒーも無い。 まぁエエか、今夜一泊するだけ、明朝5:30にはこのホテルを後にするんや!。 要はシャワー浴びて寝るだけ。 なーんて思っていたら途端に『アナタッ!何かヘン!』と洗面所から明子サンの呼ぶ声。 行ってみたらへヤードライヤーが「ガラガラとヘンな音・・・」。 スイッチ入れたら、途端に火が出て、煙が出て・・・。 何ちゅうホテルや! 多分日本には無いな!。 大き過ぎて、総身に何とやらというヤツやな!。 只今10:45PM ラスベガスはモンテカルロホテル19FでUSA最後の夜を過ごしている。 ラスベガスの夜は予想通り部屋から眺める街の景色はキンキラキンのネオンサインに彩られて、華やかそのものだ。 多分この光景は朝まで変らない不夜城みたいなものだろう。 けれど、予定のスケジュールを終えたオレには別段興味もない。 要は明朝サンフランシスコへ移動するための空港近くというだけの事や。 明子サンは、いろんな物で膨れ上がったスーツケースのパッキングに四苦八苦して、この時間になってもシャワーも浴びられないで頑張っている。 オレは別段冷ややかに眺めている訳ではないけれど、まぁー気の済むようにすれば良いだろう。 明朝4:00のモーニングコールだから朝方は眠いと思うけれど、その後サンフランシスコから関空までの機内の過ごし方を思うと、明日はむしろ眠くなるようにしておいた方が正解のような気もする。 |
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