おもちゃドクター入門講座 導入偏
第2章 おもちゃの病院について

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2-1 おもちゃの病院の運営形態

運営形態は、大きく分けて営利目的と非営利があります。
営利目的のおもちゃの病院は、ほとんどが会社組織の運営となっています。
1. おもちゃ修理の技術料で利益を出す。
2. イベントの出し物として有料で請負う。
 の2つが主な収益元となっています。
 1、の場合は修理料金が数千円以上と高額になりますが、思い出のおもちゃをよみがえらせたい人を対象としています。2、の場合は費用の全部またはほとんどを依頼したイベントの主催者が負担するため、おもちゃの修理代は無料か少額になります。

非営利のおもちゃの病院は、多様です。
(1) 運営形態でみると
1. 企業・NPO・行政などがサービスの一環として直接運営するもの。
  ほとんどの場合、無償のボランティアドクターを募集して行っている。
2. 企業・NPO・行政などの補助を受けてボランティア団体が運営するもの。
1、のドクターたちがボランティア団体を立ち上げて、移行する場合もある。
3. ボランティア団体(NPO法人もある)または個人が運営するもの。など、・・
おもちゃの病院のみを行なう、複数の活動分野の一つとして行なう、おもちゃの病院は付属の活動である団体など、おもちゃの病院の団体内での位置づけも様々である。

(2) 修理(参加)費用でみると
1. 無償で行なう。一部交換部品代は実費を含む。
2. おもちゃ毎に、低額の基本料金が必要。
3. 任意金額で、他団体への寄付金や自おもちゃの病院へのカンパ金が必要。
4. おもちゃの病院の開院場所が有料の施設内にあり、施設利用料が必要。
5. インターネットで受付、送料負担が必要。など、・・

(3) 構成員でみると、
1. 年齢、性別、居住地域などの制限がない。
2. 年齢(シニアのみ)、性別(女性のみのおもちゃの病院)、居住地等の制約がある。
3. 企業の現役またはOBのみ、学校の学生のみ等組織内限定。など、・・

(4) 開院日時・場所でみると
1. 開院場所固定で、定期的に開院する。複数箇所の場合もある。
2. 開院場所固定で、常時に開院している。有料の施設内、個人宅に多く見られる。
3. 受付は常時行なう(常勤職員が兼務)が、修理は日時を決めてボランティアが行なう。
4. 郵送のみ受け付ける。個人の病院に多い。
5. イベントに合わせて開院。定期開院を行っている団体が臨時で行なう場合が多い。
6. 他団体(子育て支援団体など)の要請に応じて、随時往診する。など、・・

(5) 開院する施設でみると、
公共施設、/ 商業施設
特に商業施設で開院する場合は、集客を見込めるため、場所の提供と共に支援金の提供を受ける場合が多く、団体の活動資金の一部にあてられている。
運営形態3、の団体は、状況に応じて色々と組み合わせている。

2-2 津おもちゃ診療所の運営形態

2-1の下線部が津おもちゃ診療所の運営形態で、会費無料・入退会自由・独立歓迎・相互協力が特徴です。ぜひ、修理代をと言われる方には、「修理代はありがとうで十分です、お心は、なにかの寄付をする機会がありましたら、上乗せで」とお願いしています。また、「チョボラで結構です」からと、ボランティア活動でのお返しもお願いしています。

開院時に心がけていること
営利を目的としないボランティア活動での開院であることから逸脱しない。
開院場所は、おもちゃ診療所の趣旨を理解してもらえる所に限ること。
営利企業主催または営利目的のおもちゃの病院には、協力しない。
営利企業の協力・支援は、おもちゃ診療所の趣旨に賛同ししてもらえる所に限ること。

2-3 津おもちゃ診療所の特徴

津おもちゃ診療所は、
『おもちゃの修理を通じて、子供たちの「物を大切にする心」
「科学する心」を育てると共に、「ボランティア活動」の啓発を行う。』

          ことを目的にして活動しているボランティア・サークルです。

乳幼児〜小学生対象のおもちゃの診察・治療
会費が無料・個人専用道具は自己調達。
入退会自由・独立歓迎・相互協力

設立年月日 2004年5月25日 
設立時メンバー 34歳〜84歳までの5名(平均年齢67.4歳)
設立当初の活動場所 津センターパレス(自主開院・いきいきサロンおもちゃ医院)
     その他 (環境フェア・往診)
2015年現在の開院場所
  津橋南市民センター/子育て応援広場'はぐはぐ'(ジャスコ久居店1F)
(資料参照) 津おもちゃ診療所案内・津おもちゃ診療所規約

2−4 おもちゃ診療所の効能

 おもちゃ診療所とは、ボランティアのおもちゃドクターによる,乳幼児〜小学生対象のおもちゃの診療「診察と治療(修理)」活動で、次のような効果が得られます。

・ おもちゃの診察・治療は、子供たちと喜びを共有し合えます。
・ おもちゃの診察・治療は、子供たちの「物を大切にする心」を育てます。
・ おもちゃの診察・治療は、子供たちの「科学する心」を育てます。
・ おもちゃの診察・治療は、省エネ・省資源で環境保全に役立ちます。
・ おもちゃの診察・治療は、生涯学習の場・生きがい作りの場として機能します。
・ おもちゃの診察・治療は、あなたの得意技を生かせます。
・ おもちゃの診察・治療は、適度な刺激や好奇心を起こし、若さを保ちます。

2−5 おもちゃドクター・ナースの心得

(1) ボランティアとしての心構えに加え、次のことを心がけましょう。
(2) おもちゃの保護者は子どもです、できるだけ子どもと対応しましょう。
(3) イスに座るかしゃがんで、目線を子どもの高さに合わせましょう。
(4) 分解治療をする前に、傷が残る場合やさらに悪化する場合があることを納得してもらいましょう。「インフォームド・コンセント」*注
(5) 故障原因・治療結果や注意事項をわかりやすく説明(カルテに記入)しましょう。
(6) 診療に興味を示すように、分解中の中身を見せてあげましょう。
(7) 診療道具・材料やおもちゃそのものでけがをする危険があることを、認識させましょう。
   特にハンダゴテは、やけどをする危険があることを教えましょう。
(8) 子どもの疑問に応えられるように、常に勉強しましょう。生涯学習

*注 「インフォームド・コンセント」 
 医療分野で使われることが多い。「十分な情報をあたえられた上での承認」が日本語訳です。
 単なる同意ではなく、これから受ける診療の検査・治療・予後を始め、生活上の注意、その他、あらゆる療養上の注意、指導を患者のわかる話し方で、十分説明してもらい、納得を得た上で治療を開始されることを指します。 その上において、患者の人権や真実を知る権利などを尊重する法律的なものを含みます。

2-6 三重・おもちゃの病院連絡会
(ボランティア・ネットワーク)
三重・おもちゃの病院連絡会は、
ボランティアでおもちゃの修理等を行っている団体間の連絡を密にし、
相互の連携と協力により、
ボランティア活動の質を高め、
社会に貢献することを目的としています。

本会の趣旨に賛同する
三重県および近在でおもちゃの病院活動をしている
ボランティア団体(ボランティア登録している個人を含む)であれば
加入することができます

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編集 津おもちゃ診療所