第8章 ハンダ付けによる治療
8−1 | ハンダゴテの種類 |
(1) ニクロムヒーターを使ったハンダゴテ |
ニクロムヒーターというのは ニクロム 線を巻いて作ってあるんだよ。こて先を外側から加熱するタイプのものが多い。(左図) ラジコンや模型など配線のハンダ付けをするにはこれで十分。セラミックヒーターのものと比べて安価。 |
(2) セラミックヒーターを使ったハンダゴテ |
セラミックヒーターというのは タングステン で作ったヒーターをセラミックで包んだ形になっている(左図)。こて先自体がヒーターを包むようになっているから、ニクロムヒーターのものと比較すると、ほとんどの熱がこて先に伝わって、こて先を効率よく温めることができる。 長所はヒーターの温度が低いときは抵抗値が小さいこと。抵抗値が小さいと、たくさん電流が流れるから、こて先を急速に加熱することができる。20Wのセラミックヒーターだと電源を入れた瞬間には60〜70Wぐらいになる。 |
おもちゃの治療で使うハンダゴテとしては、配線用だけなら、20〜40Wのニクロムヒーターでよい。ICなどの精密電子部品のハンダ付けにも使うんだったら、15〜25Wのセラミックヒーターがよい。 |
8−2 | ハンダゴテ関連の用具 |
(1) クリーニングスポンジ付きのこて台
熱くなったハンダゴテを、そのまま置くのはとっても危険だからこて台は必要。
クリーニングスポンジは、水を含ませて使用する。こて先の余分なハンダを拭き取るのに便利。
(2) ハンダ吸取り線・ハンダ吸引器
ハンダ吸取り線は、銅線を編んでフラックスを染込ませてある。ハンダ吸取り線を、ハンダの上で温めてやると、ハンダが溶けてハンダ吸取り線に毛細管現象で吸い込まれていく。
ハンダ吸引器は、中にはピストンが入っていて、筒がシリンダーになっている。シャフトをカチッと音がする間で押し込んで、ボタンを押すと、ばねの力でピストンが押し戻され、空気を吸い込む。
ハンダ付けをミスしたときにハンダを吸取る。プリント基盤から部品取り外す時に便利である。あったほうがいい。
(3) ハンダ
太さは電子工作なら直径0.6〜1.0mm、金属加工用には直径1.2〜2.0mm。
8−3 | ハンダ付け作業時の注意 |
(1) 換気に注意する。
ハンダ付けする時にフラックスが蒸発して煙が出る。この煙を長時間・大量に吸うと、気分が悪くなることがある。
(2) 燃えやすいものを近くに置かない。
(3) 作業を中断したり、その場を離れるときにはコンセントからプラグを抜くこと。
(4) クリーニングスポンジは、水を含ませて使う。
(5) 熱に弱い部品のハンダ付けに使う(写真右)ヒートシンク
8−4 | ハンダ付けの仕方 |
ハンダゴテは、くっつけたい金属をハンダが溶けて広がる温度まで温めてやる道具。
くっつけたい金属を温めて、ハンダを送る。そして濡れて広がってハンダがくっつけたい金属の中に吸い込まれていって、その金属の原子とハンダの原子とが結びつく。
(1) より線は、ばらけ無いように手でよっておく。
(2) 線と線・線と線を巻ける端子は、予め巻きつけておく。
(3) リード線と端子を両方あたためて、それからハンダを送る。
(4) ハンダを適当な量だけ送ったらハンダを離す。
(5) ハンダが良く広がったところでハンダゴテを離す。
(6) ハンダゴテをしまうときは、こて先に付いたハンダをクリーニングスポジできれいに拭き取ってから、ハンダをこて先につけておく。(写真)こて先が、さびたりせずに長く使える。
* リード線を巻けない端子に付ける場合は、
予めリード線・端子それぞれにハンダを乗せておき、
リード線と端子合わせた上からハンダゴテを当て、ハンダを溶かす。
ハンダが少ない場合は、追加する。
ハンダが良く広がったところでハンダゴテを離す。
こて先の温度が低かったり、接合するもの同志を動かして付けた場合にダンゴのように固まって、中心部はくっついていなくてガタガタするような状態をイモハンダといいます。これは別名「テンプラ」ともいいます。基板・リード線ともにハンダがよくなじんで富士山状になるのがよい。ハンダが多すぎるとるとブリッジとなりショートするので要注意。
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編集 津おもちゃ診療所