商業文芸誌評
本記事は2026年11月発刊予定の本誌81号『あるかいどへの反響』欄に転載されます。
季刊文科 103号 同人雑誌季評After5 越田秀男
同人雑誌季評で、スペースの制約等から概要を紹介できなかった、注目作品をここに収載します。
柴犬が縁結び──切塗よしを「老犬を連れた女」(『あるかいど』79号滋賀県)同棲女出奔、会社には疎んじられ辞表……〈ぼく〉は雨晴海岸の旅に時化込んで三日目、女将「海を見てくれば」。海岸に柴犬を連れた女。ぼくもかつて飼っていた、「ワンちゃん、おはよう」。実はこの犬、人に懐かない質なのに〈ぼく〉には人見知りせず。で、女との関係が接近。すると女へ別居中の夫が離婚届に捺印して郵送してきた……結びの神、老犬の死。一つの出会いが終わり、雨晴海岸の日々はやがて思い出に化す。帰りのバス、突然「下ります」、もと来た道を激走。女「あなたまで消えないでよ!」。
※メデタシ目出度し! でも、人生としてはやっと二度目のスタート台。
第53回琉球新報短編小説賞 選考評 又喜栄吉
「オキナワロード」(久里しえ)は、少し変わった主人公の、他人にはさほど重要とは思えないような日常の積み重ねが描かれている。本土出身の主人公の目が透き通っている。人生哲学をあぶりだし、主体性を確立する。実際より大きく感じられる異郷での驚きや困難や困惑がいつしか美しいシーンになる。
第53回琉球新報短編小説賞 選考評 大城貞俊
「オキナワロード」(久里しえ)は大阪生まれの主婦が夫の帰郷に合わせて訪れた沖縄での日々を描いた作品。題材としては多くの作家たちに取り扱われたもので沖縄を発見し自己変革をしていく物語である。作品のユニークさは、発見した沖縄や、変革をしていく私の心情が、生活にしっかりと足をつけた日常の世界を根拠にしていることである。
さらに感心したのは冒頭部分と終末部分を呼応させた作品の構成に工夫があったことだ。冒頭に「ペーパードライパー」であった私を描き、最終ページでは「この土地にどっしりと根を下ろして生きてきたトックリキワタ」を発見し、私もどっしりとオキナワロードを歩いていきたいとして「ここは、私の道」「私はアクセルを踏み込んだ」とし閉じられる。言葉での大きなメッセージはないが言葉以上の深いメッセージがあり温かい余韻が残る作品である。
これまでにあった反響
これまでにあった反響の一覧です。「○○号への反響全文」をクリックすれば、反響の全文をお読みいただけます。
79号(2025年11月1日)
- 切塗よしを「ラストダンス」
- ・文芸思潮99号 全国同人雑誌評 南崎理沙
- 木村誠子「さよならブラG」
- ・神戸新聞 2026年3月22日付 同人誌 葉山ほずみ
・樹林 小説同人誌評 46 細見和之 - 西田恵理子「ほな、ね」
- ・図書新聞 同人誌時評 2026年3月7日付 越田秀男
- 切塗よしを「老犬を連れた女」
- ・季刊文科 103号 同人雑誌季評After5 越田秀男
78号 (2025年6月1日発行)
- 「花びらの記憶」西田恵理子
- ・民主文学2025年9月号 支部誌・同人誌評 松田繁郎
・樹林 小説同人誌評 45 細見和之 - 「不機嫌の系譜父・木辺弘児」住田真理子
- ・神戸新聞 2025年9月24日付 同人誌 葉山ほずみ
・樹林 小説同人誌評 45 細見和之
・三田文學 2025年夏・秋合併号 新同人雑誌評 加藤有佳織 - 「日日是日日」高原あふち
- ・季刊文科101号同人雑誌季評 越田秀男
- 「駝鳥の見る夢」切塗よしを
- ・季刊文科101号同人雑誌季評 谷村順一
・文芸思潮98号 全国同人雑誌評 南崎理沙
77号 (2024年11月6日発行)
- 「池に棲む人」久里しえ
- ・三田文学 2025年春季号 同人雑誌評 佐々木義登
・季刊文科 99号春季号 同人雑誌季評 谷村順一
- 「地底へ」渡谷邦
- ・文芸思潮96号 全国同人雑誌評 南崎理沙
・神戸新聞 2024年12月21日付 同人誌 葉山ほずみ
・三田文学 2024年秋季号 新同人雑誌評 加藤有佳織
・季刊文科 99号春季号 同人雑誌季評 谷村順一
- 「トマトスープとガーリックライス」高原あふち
- ・季刊文科 99号春季号 同人雑誌季評 谷村順一
76号 (2024年5月29日発行)
- 「アマリリス」夏野緑
- ・季刊文科97号 同人雑誌季評 河中郁男
- 「はるかかなた」高原あふち
- ・図書新聞2024年8月31日付 同人誌時評7月 越田秀夫
- 「Aハウスにて」渡谷邦
- ・三田文学 2024年秋季号 新同人雑誌評 佐々木義登・加藤有佳織
・樹林 第41回小説同人誌評 細見和之 - 「サンセットビュー」伊吹耀子
- ・民主文学2024年9月号 支部誌・同人誌評 風見梢太郎
- 「雪の匂い」渡辺庸子
- ・民主文学2024年9月号 支部誌・同人誌評 風見梢太郎
75号 (2023年11月3日発行)
- 「私たちは散歩する」渡谷邦
- ・季刊文科96号 同人雑誌季評 谷村順一
・三田文学 2024年春季号 新同人雑誌評 佐々木義登 - 「昏がりの果て」渡辺庸子
- ・樹林 第40回小説同人誌評 細見和之
・三田文学 2024年春季号 新同人雑誌評 加藤有佳織 - 「答えは 風の中」泉ふみお
- ・樹林 第40回小説同人誌評 細見和之
・神戸新聞同人誌評 2024年6月23日付 葉山ほずみ
74号(2023年 5月30日発行)
- 「水路」渡谷邦
- ・第18回神戸エルマール文学賞選評
・第18回まほろば賞選評
・三田文学 2023年秋季号 新同人雑誌評 佐々木義登
・文芸思潮89号 「全国同人雑誌評」 五十嵐勉
・樹林 第38回小説同人誌評 細見和之 - 「鼻ぐり塚で待つ-夏-」西田恵理子
- ・図書新聞 №3640 2024年5月25日 同人誌時評+α 越田秀男
・神戸新聞 2023年9月23日付 同人誌評 葉山ほずみ
・樹林 第38回小説同人誌評 細見和之 - 「崋山先生の画帖第一画 母の面影」住田真理子
- ・樹林 第38回小説同人誌評 細見和之
- 「雑踏の中にいる」切塗よしを
- ・季刊文科 93号 同人雑誌評 河中郁男
- 「オレンジ色のスカート」渡辺庸子
- ・民主文学 2023年9月号 支部誌・同人誌評 松田繁郎
73号(2022年11月2日発行)
- 「長い写真」久里しえ
- ・三田文學 2023年春季号 新同人雑誌評 加藤有佳織
・季刊文科90号 同人雑誌評 谷村順一 - 「その週末」渡谷邦
- ・三田文學 2023年春季号 新同人雑誌評 佐々木義登
・季刊文科90号 同人雑誌評 谷村順一 - 「レッスン」切塗よしを
- ・樹林第36回小説同人誌評 細見和之
- 「白いシーツは翻る」西田恵理子
- ・民主文学 2023年3月号 支部誌・同人誌評 岩淵剛
- 「あぐねる」高原あふち
- ・神戸新聞 2023年1月27日付 同人誌評 葉山ほずみ
72号(2022年5月17日発行)
- 「鳩を捨てる」住田真理子
- ・文芸思潮86号 全国同人雑誌評 殿芝知恵
・三田文學 2022年秋季号 新同人雑誌評 佐々木義登
・季刊文科89号 同人雑誌評 谷村順一
・神戸新聞 2022年7月22日 同人誌評 葉山ほずみ
- 「面会時間」切塗よしを
- ・文芸思潮86号 全国同人雑誌評 殿芝知恵
・樹林第34回小説同人誌評 細見和之
・民主文学 2022年9月号 支部誌・同人誌評 草彅秀一
- 「オーロラ」池誠
- ・文芸思潮86号 全国同人雑誌評 殿芝知恵
- 「明るいフジコの旅」渡谷邦
- ・三田文學 2022年秋季号 新同人雑誌評 佐々木義登
・第17回神戸エルマール文学賞「島京子特別賞」受賞
71号(2021年11月1日発行)
- 「ラストデイのような日」渡谷邦
- ・三田文學 2022年春季号 新同人雑誌評 藤有佳織
・三田文學 2022年春季号 新同人雑誌評 佐々木義登
・季刊文科87号 同人雑誌評 河中郁男
- 「海には遠い」切塗よしを
- ・神戸新聞 2021年12月24日 同人誌評 葉山ほずみ
・季刊文科87号 同人雑誌評 谷村順一
- 「降っても晴れても」高原あふち
- ・神戸新聞 2021年12月24日 同人誌評 葉山ほずみ
・季刊文科87号 同人雑誌評 河中郁男
- 「塀の外の空襲」住田真理子
- ・季刊文科87号 同人雑誌評 谷村順一
- 「紅い破片」渡辺庸子
- ・季刊文科87号 同人雑誌評 谷村順一
