今の住まいができるまで
今、私たちが住んでいるような家、つまり居間や台所、ダイニングのある家の作り方は、実は戦後にはじまった住まいの間取りです。
本来、日本の家は柱と梁から成り立つ「軸組み」と呼ばれる骨組みにより、地震や台風に粘り強く抵抗して倒れないという考え方が特徴でした。 つまり、「柳に風」的な東洋的考え方で、建物が大きく変形しても倒壊にいたるには大変時間がかかり、 しかも変形後も元に戻ることのできる復元可能なつくりでした。
明治以来、政府が欧米化目指して召喚した外国人建築家からは、日本の家は変形しやすいので、 家全体に「筋交い」を入れて地震や風に強く抵抗するような構造に改めるようにと、指導されていました。大戦後、いよいよその考え方が法制化されたのが、 現在の建築基準法の始まりです。
昭和25年に制定された建築基準法は、旧来の日本の大工技術の既得権として保護するものの、あまり評価してなかったようだと聞いています。 このあたりに、現在の日本の家づくりに内在する構法的な混乱の兆しが見られます。
また、忘れてはならない変化があります。それは、何よりも家に対する住まい手の価値観の変化ではないのでしょうか?
木造の仕組み
木の家の構造には、軸組み構法、枠組み構法、丸太組構法、パネル組構法などがあります。ここで気を付けて頂きたいのは、 "伝統工法と在来工法は違うものだ"ということです。その中より軸組み構法から、伝統工法、在来工法。枠組み構法から、 2×4工法を説明します。ちなみに「プレハブ」と言うのは、「あらかじめ工場で作ってくる」生産プロセスから呼ばれる名称です。
≪伝統工法≫
柱を立て、土台、梁、丁物(差し鴨居)、貫など横架材でつないで骨組みを作る軸組み。大きな間口をとる事ができ、 木の粘りを生かした柔構造的な工法といえます。丁物(差し鴨居)とは柱間にささる柱以上の太さをもつ材のことを指します。
≪在来工法≫
普及したのは戦後で、基本的には伝統工法と似ていますが、いわゆる変形版というものです。 貫や丁物がなく筋交いや構造合板で固める西欧的に強度を求めた工法といえます。工程が省かれるので早く仕上がります。
≪2×4工法≫
アメリカ生まれの工法で2インチ4インチの規格材を基本とし、仕口や継ぎ手の無い、パネルと釘や金物を使って形成する梁や柱のない面構造ともいえる工法です。 その材のほとんどは輸入材が使われています。部材が単略的で施工が簡単です。