7. 【建て方 [建前] 】 
刻みが終了した部材を現場で組み上げます。平面状で計画していた家が立体になる瞬間ですから、 まさに木工事の華といえる場面で、毎回気持ちが高まる作業です。流れは下から上へ組上げていきます。 土台を据え、柱を敷地の奥から立てていきます。梁や胴差し、 丁物(差し鴨居)など横材のほぞを柱に開けたほぞ穴へ差し込み、込み栓やダホを打ち込んで固定していきます。 材のかみ合いも考えながら組み上げられるので、作業順序も知識と経験が必要となります。小屋梁を掛け、小屋束を立て、 棟木を載せ、垂木を掛けると、建物の全体像が見えてきます。しっかりとした横材が組まれ、通し貫の入った棟は、 このとき筋交いなしで二階や小屋組の上へ乗っていても、しっかりとした安定感を感じます。

8. 【屋根、かわら工事】
小屋組みができ野地板が張られたら、下が濡れないために防水紙(アスファルトルーフィング)を葺きつめます。 木造住宅の屋根材にはいくつか種類がありますが、環境性の良いもの、修理のしやすいもの、酸性雨に対し耐久性が高いこと、 熱を下地材に伝えにくいこと、などを理由にいぶし銀の和瓦を葺くことがほとんどです。 屋根材は防水性、耐久性などに優れたものを選びたいですが、家の工法やバランスによって選ぶ必要があると思います。

9. 【小舞掻き、粗壁工事(土壁工事) 】
柱の間と柱間に通した貫に、竹でできた壁の心材を縄を使って編みつけていく作業、これを小舞掻きと言います。 竹は乾燥しても収縮せず、粘り強く折れにくい性質に、土壁とのなじみも良いので、古くから小舞として使われています。 次に、粗壁(土壁)を竹小舞に塗りつけていきます。土壁とは、砂目と粘土質のバランスのとれた土に稲わらを切ったスサなどを加え練り合わせたものを言います。 土壁の乾燥には3〜4週間かけます。これにより壁面と家に、強さと粘りを与えます。

10. 【造作工事】
床組みや天井、階段など構造部以外の木工事を大工さんが行います。
この造作が始まるころに、流れにあわせ各設備工事が入ってきます。



11. 各工事
【板金工事】  屋根工事が終わったら雨樋を取り付けます。庇の屋根や水切りを鉄板やカラー鉄板を加工して付けます。外壁を仕上げるときもあります。
【水道、配管工事】 床下や壁の中へ給排水の配管等をしていきます。外部も同様です。
【ガラス工事】  各外部のガラスやサッシの取り付けなどをします。
【電気、配線工事】 電気器具などの配線、取り付けをしていきます。

12.【左官工事】 
瓦や外壁の漆喰仕上げ、和室や廊下のじゅらく、珪藻土塗り、玄関土間、犬走りなどがあります。 最近では和室や日本建築が減り、漆喰や、じゅらく仕上げが少なくなりました。
この自然素材で出来たものの良さ、左官道具を使った技術のすばらしさを見直す必要があります。

13. 【建具工事】
建具職人により木製ドアや内部建具を製作します。 造作工事が最終段階にかかるころに、建具屋さんが現場で採寸し、製作にかかります。木工事終了後に建具を搬入し入れていきます。 建具は木材や仕上げで表情や部屋の雰囲気も変わります。内装仕上げの決め手にもなる部分なので、製作前に施主様や建具屋さんに意図を確認し打ち合わせます。

14. 【畳工事】
畳は一見すべて同じ寸法に見えますが、実はほぼ全て寸法が違い決められた所に置かれています。
見落しがちになりますが、よく見ると一畳ずつ細かく手を加えられているのです。
畳には特有の弾力性と手触り、温かみが在り和室に限らず洋間や居間に敷くことも有ります。
特に小さいお子様が見える方は畳の良さを実感していただけると思います。
15. 【竣工】
最後に仕上げの掃除などして完成します。