古くから親しまれてきた屋根の仕上げ材です。20年程前まで各地域で瓦を焼いていて、この地域では津市久居地区が盛んでした。 三州瓦 ( 愛知県 ) 、淡路瓦(兵庫県)、石州瓦 ( 島根県 ) が日本三大瓦産地です。銀色に輝く「いぶし瓦」は、淡路島が日本一の出荷高を誇ります。
木造建築を重厚に格調高く仕上げ屋根材として、昔から重宝されてきた瓦。いまではそのほとんどが機械生産になっています。
仏教と共にやってきた「瓦の歴史」
日本で最初に瓦が葺かれたのは、奈良県の飛鳥寺 ( 法興寺 ) とされます。 6 世紀中ごろに蘇我馬子が建てたこの寺は、日本最初の本格的寺院でもありました。 造営にあたり朝鮮半島の百済から多くの技術者たちがやってきて、それまでの日本建築にはない、堅牢で壮大な伽藍を建てたといいます。 その技術者のなかには 4 人の瓦師もいて、日本で初めての瓦を制作し、寺の屋根に葺いたそうです。

粘土を練って成形し、窯を使って高温で焼いた瓦を、何種類も組み合わせて葺いた瓦屋根は、当時の人々にとっては驚嘆するものだったでしょう。 耐久性があり、長い年月を経てもほとんど変わらない瓦は、以来、寺院建築を中心に全国に広まり、 戦国時代には大名の城郭建築や豪族の屋敷などに用いられました。織田信長や豊臣秀吉は、 表面に漆を塗って金を張った金瓦までつくらせたというから、驚きです。

とはいえ、その当時、つくるのにも葺くのにも手聞がかかる瓦は、長い間、庶民にとってはなかなか手の届かない高価な屋根材でした。 江戸時代に簡略化された桟瓦が発明されると、やっと民家でも瓦がれ茸かれるようになりました。明治以降は機械化が進み、 多くの住宅に瓦が用いられるようになりました。いまでは日本建築といえば瓦屋根を思い浮かべるほど、 日本人にとってはなじみ深い屋根材になっています。

古い時代には松葉でいぶしてつくったそうで、16世紀に安土城の瓦をつくった唐人の一観が製法を伝えたといいますが、 いまは焼成の最終段階でブタンガスを注入してつくられています。

つい最近までは、土地によって葺かれる瓦の色にも特徴があり、土地ならではの風情を感じさせてもくれました。
いぶし瓦のなにがいい?
  • この数十年の聞に、屋根材にも次々と新素材が生まれ、安くて施工の簡単なものを用いる家も増えています 。
    それでも、昔ながらの瓦の格調高い雰囲気や、年月を経ても色あせない耐久性を好む人は多くいます。


  • 土から生まれた自然素材ならではの断熱性や通気性など、健康住宅としての面も見直されてきています。


  • 和瓦でも、いぶし瓦、素焼き瓦は環境性も良く、リサイクルでき再び瓦などにすることが出来のも特徴です。
    特殊な焼成で表面につくられた炭素膜が、いぶし銀のような色つやを見せる瓦で、飛びぬけて防水性や耐候性に優れています。


  • いぶし瓦は、端正ですっきりとした印象の屋根に仕上がるため、日本建築では好んで用いられてきました。


  • 現在では、形や種類も増えてきて、その特徴を生かしさらに使いやすく進化しつづけています。