いざというとき"心強く"
地震の時、人をつぶさない家
台風や地震にみまわれる日本の家は、災害時の安全の確保がされている必要があります。
安全性はとにかく家の"強度"としててられがち、今の建築基準法はそれを重視しています。 しかし、その基準も震度4〜5に耐えられるようにする基準です。震度7以上を記録した阪神大震災の後、家はひしゃげても、 その中にいる人が押しつぶされないような空間を保つことの方が本当の"安全性"ではないか?と言うことが言われはじめ、 伝統工法の見直しにつながっています。接合部を、がちがちに留めて強度をもたせる在来工法の家とちがって、 木組みの家は材同士が全体としてカを分散させる『総持ち』 でなりたつ構造をもっています。
土壁も、大きな力を受けた時に真っ先に、はがれおちることで衝撃を吸収し、全体の構造を守ります。 木の家づくりに関わってきた者には経験的に分かっていることですが、これを実証的に裏付けるため、実験を通して、 伝統工法の安全性の検証が各地で始まっています。ゆくゆくはその結果を法律に活かしてもらいたい、と考えています。
火事で、有毒ガスを出さない家
現在、木は燃えやすいということで、不燃材料として認められていません。
火がつきやすいのは確かですが、十分な厚みの材を使っていれば、表面が燃えても内部までは火が通りませんので、 簡単に焼け落ちることはありません。また、火事が起きた場合、焼け死ぬ場合だけでなく、 建物が燃えて発する煙やガスに巻かれて一酸化炭素中毒などで命を落とすことも多いのです。
ビニールクロスなどの石油系素材を使った家は、燃えて有毒なガスを発生します。施工のしやすさや、 価格から安易に化学素材を使うことは、命取りになりかねません。
木で家を建てる。"なぜ?"
理由はたくさんありますが、"老朽化"これも大切な理由です。

まず、「鉄骨造」の老朽化は、錆びの問題です。新築の際に錆止めを塗るなどの対策はありますが、20〜30年でその効果は切れてしまいます。
建物の内部にある鉄骨は塗り直しが困難なので、いずれ錆が始まり、錆びて強度が下がると強い力が加わったときに、 せん断、つまり切れてしまうこともあります。
「RC造」は、コンクリートの中性化という問題があります。基準法の改正後、鉄筋量を増やすことになりましたが、 それで強固な構造としたところで、コンクリートの中性化が15〜20年で進みはじめ、中の鉄筋が錆びて膨らみ、 それによりコンクリートにヒビが入ってきます。中性化というのは、遅らせることはできても止めることはできません。 一般に、強いと考えられている、コンクリートや鉄骨を使った建物でも、老朽化による強度の低下は防ぐことは出来ません。
一方、「木造建築」は、木は腐るか、燃えるかしなければ、 100 年以上持つ素材です。
ここで重要なのは、樹種の選定や使い方。これさえきちんとしておけば、木造建築は老朽化により弱くなるということはありません。 また、同じ"強度"つまり建築基準法に定められる"耐震性"をもたせたときの建物重量が軽い。軽いということは、地震力に対して有利になります。
「RC造」「鉄骨造」では、重い分だけ地震に対しての重装備が必要になり、より頑丈につくる必要が出てくるわけです。
木造は、少ない材料・安いコストで基準を満たす建物をつくることが出来るといえるでしょう。