海藻
はじめに

健康志向、食物繊維、ノンカロリー、アルカリ食品・ダイエット食品・・と言えば、即「海藻類」と答えざるを得ません。 その代表的な五種類を、特集してみました。関心のある海藻から勉強してみて下さい。

こんぶ わかめ ひじき あらめ のり


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こんぶ

INDEX
昆布の歴史
縁起物を運んだ「こんぶロード」
昆布の種類と特徴
昆布の生態
昆布の産地と分布
昆布の成分と効用
昆布の栄養組成
昆布の栄養素の比較目安
昆布の用途

◆昆布の歴史

昆布の保存技術が乏しく運搬手段がなかった古代では、昆布は北の海で採れる海産物の中でも、もっとも貴重な食品として 重宝されていました。しかし昆布は乾燥させることによって、長期保存が出来るようになり、江戸時代に近江商人が 「北前船」と呼ばれる松前〜大阪航路が開拓される様になって、急速に江戸中に広く用いられるようになりました。 今でもこの航路を「こんぶロード」という愛称で呼ばれ、北海道で最も重要な海産物として脚光を浴びるようになってきました。

◆縁起物を運んだ「こんぶロード」

昔から日本では、昆布を「広布」(ヒロメ)と呼び、その長い姿が縁起の良さを想像させることから、 非常に縁起の良い食品として重宝され、武家社会では「勝って喜ぶ」に通ずるものとして出陣式には 必ず昆布が飾られた。こうした昆布を縁起の良いものという習わしが、民衆に広がり、今でもお正月のお飾りや、 丈夫な子供が産まれることを願って「子生婦」と呼ばれる結納の品等にも用いられるようになっています。 このように育った起因も我々の先人(私も近江生まれ)近江商人の北前船によって、文明を運んだ「こんぶロード」の開拓が 大きく寄与していることを誇りに思っています。 こんぶロード


◆昆布の種類と特徴

こんぶは寒流系の水産植物(褐藻類)で、我が国の沿岸からは14属、45種が知られているが、こんぶ類の 大部分は、北半球にあり26属ある。南半球にはわずかの属が知られているにすぎない。
昆布の分類と品種
属  性種類品    種
こんぶ属12種真こんぶ、利尻こんぶ、細目こんぶ、三石こんぶ、長こんぶ
とろろこんぶ属2種とろろこんぶ
ミスジこんぶ属1種厚葉スジこんぶ
アナメ属2種アナメ
ネコアシこんぶ属1種ネコアシこんぶ
スジメ属1種スジメカジメ属
カジメ属1種ツルアラメ
アイヌわかめ属4種アイヌわかめ、チガイソ
わかめ属2種わかめ、青わかめ

★こんぶ属の中には、元来同一の種でありながら成育環境の違いから、種類が分かれたと思われる、
 @真こんぶ、細目こんぶ、利尻こんぶ、おにこんぶ
 A三石こんぶ、長こんぶ
 の2つのグループに分けることが考えられる。又 近年こんぶの養殖事業が進むにつれて、 いろいろの種類の交合交配が研究され、消費需要に応じたこんぶを作り出すことも可能となり、 この分類も変わってくることも考えられる。



昆布の品種と特徴
品   種特     徴
真こんぶ褐色肉が厚く幅が広い。昆布の最高級品。
上品な風味はまさにこんぶの王者。
利尻こんぶ黒褐色真こんぶより硬い感じがするが、真こんぶに次ぐ高級品。
旨味は真こんぶよりやや薄いが、塩味がかかって味は良い。
利尻系えなが
おにこんぶ
茶褐色別名羅臼昆布と呼ばれ、真こんぶとは対照的な風味を持ち、
評価は高い。
三石こんぶ
日高こんぶ
緑に黒みを
おびた黒色
煮えやすく軟らかく、昆布巻きなどの煮昆布には最適。
利尻こんぶよりは薄いが、一般的な味が親しまれる。
長こんぶ灰色をおびた
黒色
長さが6〜15mと長い。
甘味は薄いが、肉厚のものは味が良い。
厚葉こんぶ黒色白粉を生ずるものが多く、切り口は白色。
甘味は弱く、刺激性の苦味ととろろ分がある。
細目こんぶ黒色切り口は白色。甘味はすぐに消える。


◆昆布の生態

こんぶの多くは多年性で、夏の終わりころから秋の始めにかけて成長する。そして 夏の終わりころから冬にかけて放出される遊走子が、やがてこんぶの幼体となって、 翌年の夏から秋にかけて成長する。これが水こんぶといわれ、その芽付きの状態で 次年度の作況の目安とされる。水こんぶは夏から秋にかけて葉体の先端の古い部分が枯れるが、 秋の終わり頃には再び成長活動がさかんになり、古い一年目の葉体の下から新しい組織ができる。 いわゆる「突き出し」と呼ばれる現象がみられ、やがて一年目の古い葉がすっかり枯れて、翌春には 全体が二年目だけの葉になり、夏には成こんぶとして採取される。成こんぶは、一年目のもの、 即ち 水こんぶとは長さ、葉の幅、厚さなどが違うが、これは一年目のものが、そのまま 育つものではなく、全く生え替わり別個のものとなるからです。


◆昆布の産地と分布

我が国の昆布の産地は、主に東北以北で生産される。外海に面した比較的波の荒い、 水深5〜7m付近に生育するものが多い。生育水深は潮流の強さ、水の透明度などによって異なり、 津軽海峡では7〜8mから所によっては20mもの深いところで採れます。 生産高は普通年間30、000トン。通常は昆布は石数で言われる為、1石=150Kgで20万石ということになります。 この内青森、岩手、宮城の東北3県の合計は1万石(1、500トン)ですから総生産高の5lにしか過ぎず、 ほとんど北海道で生産されていることになり、重要な特産物となっています。

◆昆布の成分と効用

◆高血圧を予防する食物繊維・マグネシウム

野菜や果物、そして昆布に多く含まれている食物繊維は、高血圧に悪影響を及ぼす食塩(ナトリュウム)を、 腸管の中で吸着して対外に排出する働きがあります。又昆布に多いミネラルのカリウムは、肝臓からナトリュウムを尿中に 追い出す働きもあります。さらに昆布を始め海藻類に多く含まれているマグネシウムにも、ナトリュウムを細胞の外に汲み出す ポンプの働きをよくして高血圧を防止する効果があります。マグネシウムはストレスが多くなると減りやすく、 昆布によって補充することによって心筋梗塞や脳卒中の予防にもなると言われています。

◆大腸ガンを予防する食物繊維

食物繊維は便のかさを増して腸壁を刺激し、腸の運動を盛んにする作用があり、それによって便秘を防ぐと共に、 口から入る発ガン物質等も腸内のコレステロール、糖分、塩分とともに腸から排出してしまう効用があります。 動物性脂肪の取りすぎは、大腸ガンを引き起こすと言われています。食習慣の欧米化した日本において、 大腸ガンの増加を抑えるためにも、多くの食物繊維を取る必要があります。

◆動脈硬化を予防する銅

人体にとって悪玉コレステロールが酸化して血管壁に入り込むと、動脈硬化が起こります。 微量元素の銅は、このコレステロールが酸化するのを防ぎ、動脈硬化の防止に役立つ酸素を作ります。 銅は最低でも1日2〜3mgを摂取する必要があると言われています。そのためにも昆布を始め海藻類から その補充をすることによって動脈硬化の予防に役立ちます。

◆ダイエットによいローカロリー

昆布のビタミンAは、皮膚を丈夫にし風邪を引きにくくし、ビタミンBは、肝臓の働きを助ける毒消しの役目を果たします。 その他鉄分やカルシウム、ヨードなどのミネラルを豊富に含んでいる栄養食品でありながら、 ローカロリーという理想的なダイエット食品です。

◆お肌を美しく、顔色をよくするヨードと鉄分

ヨードは、甲状腺から分泌されるホルモンの主な原料になります。ホルモンは身体の細胞の新陳代謝を促進するので 皮膚に潤いや張りを与えて、肌を美しくしたり、鉄分やタンパク質から出来ているヘモグロビンは, 血液中の酸素を供給する役目を果たし、貧血を改善し、顔色をよくする効用もあります。


◆昆布の栄養組成

真昆布・素干し・可食分100g当り

成    分数 値
水   分(g)9.5
たんぱく質(g>8.2
脂   質(g)1.2
飽和脂肪酸(g>0.31
不飽和脂肪酸一 価(g)0.27
多 価(g)0.28
コレステロール(mg>0
炭水化物糖 質(g)58.2
繊 維(g)3.3
灰    分(g>19.6
無機質 ナトリュウム(mg)2,800
カリウム(mg)6,100
カルシュウム(mg>710
マグネシュウム(mg)510
リ ン(mg)200
鉄 分(mg>3.9
亜 鉛(mg)0.8
銅(μg>130
食 塩 相 当 量(g>7.1
ビタミン Aカロチン(μg)1,000
E 効力(IU)0.9
B1(mg>0.48
B2(mg)0.37
ナイアミン(mg)1.4
C(mg>25



◆昆布の栄養素の比較目安


昆布の栄養素の比較目安
- カルシュウムミネラル鉄分ビタミンAビタミンB1ビタミンB2ビタミンC
牛肉の142倍 19倍2倍 17倍 7倍 19倍 13倍
牛乳の71倍 23倍39倍5倍 16倍 2倍 -

◆昆布の用途


昆布の用途
葉売り用
(31.8%)
包装葉売り9,110t28.0%
山だし昆布1,250t3.8%
加工用
(60.6%)
塩昆布550t1.7%
つくだに9,840t30.3%
昆布巻2,110t6.5%
とろろ昆布3,020t9.3%
おぼろ・バッテラ1,030t3.2%
酢昆布・おつまみ1.470t4.6%
かまぼこ刻み・その他1,650t5.0%
輸出用(7.6%)2,470t7.6%


 【調  味  料】  【海   藻   類】 
みそ 醤油 植物油 わかめ ひじき あらめ 昆布 のり
インスタント ラーメン 小麦粉 食物せんい 緑黄色野菜 トマト はちみつ コーヒー



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