海藻

はじめに

健康志向、食物繊維、ノンカロリー、アルカリ食品・ダイエット食品・・と言えば、即「海藻類」と答えざるを得ません。 その代表的な五種類を、特集してみました。関心のある海藻から勉強してみて下さい。


こんぶ わかめ ひじき あらめ のり



HomePage

のり

INDEX
のりの歴史
のりの養殖の母はイギリス女性
のりの生態
のりの品質
のりのサイズ
のりと食品の成分比較表
健康の為の海苔の注目点
のりの共販実績

◆のりの歴史

のりという言葉は、まだ日本に文字がなかった頃から伝わっている言葉で、はっきりした史実はありません。 文字として残っている最も古いのりの記述では、地方の風物を記した「陸奥風土記」の中の霞ヶ浦の静かな浜辺に、 日本武尊(やまとたけるのみこと)が見た、黒々としたのりを一面に干したのどかな風景描写の箇所位です。
その後、飛鳥時代から奈良時代に仏教が広まるにつれ、殺生が戒められ、より海藻が食べられるようになってきました。 大和朝廷が徴収する税や、神に捧げる供物に海藻が尊ばれ、702年2月6日(海苔の日)に施行された 大宝律令の調(みつぎと読み税制のひとつ)の規約を示した賦役令(ぶやくりょう)にも、 紫菜(むらさきな)の名称で、海藻の評価基準の高さを伺わせる記録が残っています。
平安時代の延喜式(えんぎしき)に、儀式の式場で支給された貴族の階級別の食事情でも、のりは最貴重品としての扱いで、 五位以上の貴族に限ってのみ支給されていました。
こうしたのりも中世までは、天然の自生に頼り、生で食べたり適当に押し広げて乾燥させて、保存したりしていた程度の 食品だったのですが、それが江戸時代に急速に生産量が増え、貴族階級に限らず庶民にも口にすることができるようになったのは、 いろいろな偶然があったのです。
それは、徳川家康が江戸に幕府を開き、品川の漁民に日々将軍家に、ご膳魚を献上するよう命じたために、 人々は悪天候や不漁に備え、いつも鮮魚が差し出せるように、沖合にいけすを設けました。ところが、その枝竹で作った棚囲の棚に、 のりがよく繁茂することを漁民が発見し、次々に内海に枝竹の棚を立てて、今日の養殖の原点ともいうべき大量生産が始まったのです。
そうして、現代に伝わるすきのりの形に仕上げたのは、亨保2年(1718年頃)浅草紙の紙漉き製法にヒントを得て、 浅草人ののり抄き製法が考案され、そのお陰で浅草は、海苔の集散地として多くの商人を育て、 家康の祈願所だった浅草寺の加護や、観音様の門善市での口コミなどで、海苔産業に名を残す人気を作り上げてきました。
その後安永年間(1770年代)にのり巻きすしが考案され、のり料理の多様化が始まります。 明治維新当時の我が国の人口は約3,000万人で、この頃東京・大阪の海苔問屋が扱ったのは、 約5,000万枚位でした。大正時代には「ソダヒビ」から「水平ヒビ」昭和に入って「コイルヤーン」(椰子網=ナギの木を組んで作った網) が発明され、昭和11年頃から「網状のヒビ」が主流になり、生産枚数も6億枚になり、 戦後21年頃には「浮きヒビ」(竹を使ったスダレ状のヒビ)が使用されるようになってきました。 それが飛躍的な量産体制へとつながるキッカケは、イギリス女性でした。

◆のり養殖の母はイギリス女性

第二次世界大戦が終わって二年たったある日、のりの生活史を研究していた九州大学の 故・瀬川宗吉教授のもとに、 親交のあったイギリスで紅藻類の研究をしているキャサリン・メアリー・ドリュー(1901〜1957)という女性から、 一通の手紙が届きました。この手紙こそ今日ののりの養殖法に革命をもたらした、人工採苗技術への第一歩となる、 貴重な発見を記述した便りでした。
これまでの研究では、のりの胞子は春先にのりの成体から海中に放出され、秋になって再び胞子がノリヒビにつくということは、 解っていました。しかしどうやって夏を過ごすのか、この期間が解りませんでした。ところが、ドリュー女史からの手紙に 「ある日、マンチェスター大学の研究室から、海岸に出ると、ちょうど干潮で岸壁にのりが見えました。 近づいてみると、のりはカキ殻に生えていて、その部分は薄黒いのです。採集して顕微鏡でのぞくと、糸状になった 植物体が見えました。・・・・日本の研究者は、のりの果胞子は、胞子のままか、あるいは夏のりの形で夏を過ごすと考えておられますが、 日本の海苔もやはりコンコーセリス(カビ状の糸状体)になるのではないでしょうか・・・・?」この一説でのりは夏の間は、 糸状体になって貝殻に穿孔して過ごすことが突き止められました。 この発見は、のり養殖の大きな発展の起爆になり、その後コンコーセリスの研究や実験が、東北産研究所や 岡山県水産試験場で成功し、その養殖技術の進歩によって、人工的にのりの種を付着させる 人工採苗法が確立されてきました。
このドリュー女史の功績をたたえ、熊本県の宇土市では、毎年4月14日、ドリュー祭が行われています。 そして ドリュー女史の記念碑が建つ住吉灯台の高台に、のり関係者が集まり、ドリュー女史の、 のり養殖に与えた革命的な発見と功績をたたえています。
そうした研究の結果、昭和31年には30億枚、昭和39年には冷凍保存網の技術の出現で 安定生産が可能になり、昭和42年には浮き出し養殖法が開発され、昭和44年度には何と 60億枚の生産を達成するに至りました。そして昭和53年に全自動の海苔製造機が造られ 今日の100億枚の時代を見ることになりました。

◆のりの生態

成熟したのりの葉に雄と雌の細胞群ができ、それが受精して果胞子となる。果胞子はカキ殻などの石灰質に穿孔し、カキ殻糸状体として成長する。 現在の養殖技術では、果胞子を滅菌海水を入れた三角フラスコ内に入れて、フリー糸状体(マリモみたいなもの)として保存し、 細切りしてカキ殻に蒔きつけます。カキ殻に植え付けられたフリー糸状体は、カキ殻糸状体として成長を続け、 夏〜秋にかけて胞子のう内に殻胞子(タネ)を造ります。10月初旬 水温が22〜23℃台になると、 カキ殻糸状体から殻胞子を放出します。それがのり網に付着し、のり葉体として大きくなります。大きくなった のり葉体は、無性的に再び自分の様体から単胞子を出し、のり網に付着します。(一般に二次芽の着生と呼んでいます) これらのことを繰り返しながら、成長を続けます。

◆のりの品質

品質の規格基準
品  質原藻及び抄き方の優秀なもの 優等・特等・1等

2等・3等・4等

5等・6等・7等

の9ランクに等級分けされる

色  沢黒褐色濃く、光沢の優秀なもの
香  味優秀なもの、良好なもの
形  態縦21cm、横19cm
重  量300g前後
乾 燥 度水分量15%以下
1束の枚数100枚

検査格付けの区分
区分定        義
同一等級のを二階級に細分する場合の上位のもので4等までとする
褐色濃く光沢あり、焼色、味共に良好と思われるもので3等まだとする
普通等級と同程度又は、それ以上の風味を有するが、光沢が不足しているもので3等までとする
結束不良、選別不良、乾燥割れの軽微なものが混入しているもの(黄色結束紙)
重過ぎ、厚過ぎにより普通等級と同一格付け困難なもので、3等までとする(原則として350g以上)
1束の重量が270g未満のもの
穴あきのものが混入しているもの
水洗い不足、乾燥等によるくもりの軽微なもの
あおのり類が7%未満混入しているもの
あおのり類が7%以上混入しているもの
赤芽のりで色浅く、普通等級と同一格付け困難なもの
珪藻が混入しているもの
1束の中に縮みの混入しているもの(赤色結束紙)
1束の中に破れ、乾燥割れの混入しているもの(黄色結束紙)
F破れ、横割れ、欠けが6cm以内のもの(Fと明記する)
規格外寸法不足(原則として縦21cm、横19cmに満たないもの)

◆のりのサイズ

基本的にはのりのサイズは横19cm×縦21cmと中途半端のように思えますが、昔の尺貫法で計りますと、 横五寸×縦五寸五分となります。今のメートル法に表示が変わっても、のりをすく木枠の大きさや 簀(す)の大きさなど、道具を全部作り替える訳にはいかなかったのです。
もっと昔の江戸時代は、採れる浜や村ごとに大きさや厚さもまちまちでしたが、浅草のりが 浅草紙の形を真似て長四角になったのも、まだ100年の歴史です。それまでは手で押し広げた程度の 不規則な形にすぎませんでした。
現在は、半切、三切、五切、八切、十二切の5通りの切り方ともみのりときざみのりの7種類が 主なサイズです。その各種類の大きさに、乾燥しただけの乾のりと、焼き上げた焼きのりと、 味付けされた味付けのりが有ります。それを又商品としてパックする段階で、5枚、7枚、 8枚、10枚詰めと単純なものから、例えば5枚詰めが6袋とか、10袋とか、30袋とか、 多くは800袋とか・・・・のりの品質の等級が160種類あるのですから、焼きのり、 味付けのりの切り方と組合せの方法は、無数に考えられます。たかが19cm×21cmののりですが、 されど19cm×21cmののりなのです。

◆のりと食品の成分比較表

可食分100g当たり
成    分乾のり焼のり味付のりわかめ大豆鶏卵乾椎茸
水   分(g)11.16.24.613.012.574.710.3
たんぱく質(g)38.840.938.415.035.312.320.3
脂   質(g)1.92.02.83.219.011.23.4
炭水化物 糖 質(g)39.541.739.735.323.70.952.9
繊 維(g)1.81.9 1.82.74.508.9
灰   分(g)6.97.312.730.85.00.94.7
無機質 カルシュウム(mg)3904102109602405512
リ ン(mg)580610600400580200270
鉄 分(mg)12.012.712.07.09.401.84.0
ビタミン A(IU)14,00013,00012,0001,800-6400
B1(mg)1.151.101.000.300.830.080.57
B2(mg)3.403.202.901,0150.300.481.70
C(mg)100957515000

◆健康の為の海苔の注目点

のりの主な栄養素
たんぱく質大豆に匹敵する位海藻のなかでは必須アミノ酸が一番多い。のり1枚で牛乳の1/5本、卵の1/5個分のたんぱく質を含む。
ミネラル骨や歯の生成に大切なカルシュウムはしらす干しより多い、貧血を防ぐ鉄分、甲状腺ホルモンに必要なヨウ素がバランスよく含まれている。
ビタミン A,B1,B2皮膚の角質化を抑え、疲労回復に効果がある。Aはうなぎの3倍、ほうれん草の8倍程含まれている。
ビタミンCシミ、ソバカスを防ぎ美容によい上、ガン予防に効果がある。野菜や果物並で長期保存が効く。
食物繊維30%もの食物せんいを含み老化を遅らせる。のりの食物せんいは柔軟で、胃腸の壁を傷つけることなく、有害物をつくるウエルシュ菌の繁殖を抑える。
脂質肥満と動脈硬化の敵の飽和脂肪酸やコレステロールの値を下げる。
EPA(エイコサペンタエン酸)血中コレステロール値を低下させ、動脈硬化を始めとした心臓疾患を防ぐ働きがある。
タウリンコレステロールの増加を防ぎ、高血圧や胆石の予防に有効。

◆海苔の共販実績

平成1年〜6年
年度共販数量(単位:百万枚)共販金額(単位:百万円)
東日本瀬戸内九州全国合計東日本瀬戸内九州全国合計
平成1年2,6333,6763,70010,26027,50827,55148,628115,881
  2年2,0473,2563,3978,93920,44432,76736,20691,563
  3年2,1033,4043,8769,63222,92434,46048,034107,731
  4年2,3453,4653,7609,81525,34235,52044,196107,401
  5年2,5453,8384,07010,65728,11338,55452,763121,473
  6年2,0103,4434,2479,94017,91230,72740,59591,080


 【調  味  料】  【海   藻   類】 
みそ 醤油 植物油 わかめ ひじき あらめ 昆布 のり
インスタント ラーメン 小麦粉 食物せんい 緑黄色野菜 トマト はちみつ コーヒー



 
HomePage